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【ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION 2023】挑戦者の紹介VOL.6⦅株式会社JOYCLE⦆

「広島から、ユニコーン企業に匹敵するような、企業価値が高く急成長する企業を10年間で10社創出する」ことを目標に掲げた「ひろしまユニコーン10」プロジェクト。このプロジェクトの一環であり、事業の急成長を伴走支援する「ひろしまユニコーン10  STARTUP ACCELERATION 2023」に挑戦中の16社に、改めて事業の概要や今後の展望などをインタビューしました。

■株式会社JOYCLE 代表取締役社長CEO 小柳 裕太郎さん
「新しいごみインフラの提供」

代表取締役社長CEO 小柳 裕太郎さん

プロフィール
東京都出身。学生時代は北海道で歌手になるためのボイストレーニングやサッカーに打ち込んだほか、フィリピンなどへの海外留学やアメリカへの交換留学に加え、バックパッカーとしてインドを旅したこともある。小樽商科大学を卒業後、2013年に総合商社の双日(東京)へ入社。1年目に駐在したパプアニューギニアの厳しい生活環境を知ったことが、環境エネルギー分野に挑む原体験となる。その後、サーキュレーションでの人材コンサル営業や大手広告代理店電通での海外インフラ事業開発、U3イノベーションズでの環境エネルギー分野の事業開発経験などを経て、2022年9月に独立。翌年3月に会社を設立した。


― 事業内容は ―

ごみや産業廃棄物を処理施設に運ぶのではなく、アップサイクルプラントと呼ばれる、ごみをバイオ炭やセラミック灰などの資源として有価物化する20~30立法㍍の小型施設を用いて、現地で処理~資源化するためのデータシステムインフラを開発することが中核事業です。例えばプラスチックや燃えるごみは、バイオ石炭というエネルギー源やセメントに混ぜて使えたり、土壌改良剤になるセラミック灰に再生します。日本では人口減少などの要因で処理場が相次いで閉鎖し、ごみ処理のコストが上昇しているだけでなく、焼却や輸送時に多くのCO2が発生しています。加えて国内のエネルギー自給率は12%程度と非常に低い。そうした問題をスタートアップとして解決するのに有効なのが可搬型の小型プラントなのですが、活用のためのシステムが構築されていません。当社では効率的なプラント運用や、効果を可視化するデータシステムインフラサービスを提供することで、ごみ処理のコストやCO2排出量の抑制につなげたいと考えています。


― 他社との違い、強みは ―

当社はプラントのメーカーと、ユーザーをデータプラットフォームを介してつなぐ存在です。直接売り買いすれば良いと思われるかもしれませんが、メーカーは中小事業者が多く十分な販売リソースが割けません。当社が一括してデータを活用してプラントのパフォーマンス(産業廃棄物処理コストカット効果・脱炭素効果)可視化や遠隔での監視・管理を可能にすることで小型プラントの普及に貢献し、地方や離島を中心としたごみ処理に関するさまざまな課題を解決できると考えています。将来的には自転車や車といったモビリティにプラントを搭載し、可搬型モビリティのシェアリングサービスのようなビジネスモデルを構築したいです。2023年秋に東京であったジャパンモビリティショーでも「クルマは動け。ゴミは動くな。」というコンセプトを発表しました。

可搬型モビリティのシェアリングサービスを構想


― 創業のきっかけは ―
社会人1年目でいきなり途上国のパプアニューギニアへ行き、劣悪なインフラ環境で暮らすことで生活の選択肢が限定される子どもたちを目の当たりにしたことが、環境エネルギー分野の必需性を感じた第一のきっかけです。その後、2度の転職を経て入社した広告代理店で、社内起業のような形でインドネシアのインフラ開発に携わりました。この分野の伸びしろを感じる一方、より専門性を高めるためには独立が必要と判断。エネルギー関連ベンチャーのU3イノベーションズ(東京)で約2年、起業を前提とした経験を積みました。


― プログラムの参加のきっかけは ―

当社の拠点は名古屋市と東京で、現状まだ広島との縁はありません。しかし提供するサービスは都市部よりも、人口減少が進む地方のほうが好相性と考えています。今回のように県庁などが行うプログラムへの参加を通じて自治体との連携を強め、地域ごとの課題解決につなげていきたい。広島県は自動車など製造業が盛んな地域なので産業廃棄物処理のニーズが高いほか、沿岸部や島しょ部での海洋ごみ問題にもサステナブルな解決方法としてアプローチできるはずです。


― 事業拡大により世の中にどのようなインパクトを残したいか ―
まずは処理コストの高い廃棄物が発生する、病院などの医療機関を主なターゲットに設定する方針です。病床数100床以上の施設の場合、年間で平均約1,000万円かかる廃棄物処理コストを当社のサービスによって約30~50%程度を削減できる可能性があると試算しています。展開初年度となる2024年は20件の導入を目指し、翌年以降は5倍ずつのペースで増加させたいですね。100床超の病院は全国で5,000カ所以上あり、全てに導入できれば約1,350億円のマーケットになります。並行して自動車部品・食品製造業や、多数の利用客を受け入れるリゾート施設など国内外に販路を拡大し、グローバル展開も早期に進めていくことで、将来は1兆円レベルの市場規模が見込めると考えています。
私のビジネスの最終目標は、自分の死から100年後の社会を変えること。社名の通り、人々の喜び(JOY)を資源の循環(CYCLE)で実現していきたい。

自分の死から100年後の社会を変えたいと話す小柳社長


― 編集後記 ―
脱炭素やエネルギー供給など、地球規模の課題に挑んでいる株式会社JOYCLE。小柳社長は数々の海外での経験に加え、一時は歌手を目指してオーディションを受けたこともあるなど非常に高いバイタリティーをお持ちです。正社員は他にいないそうですが、医療機関と関係の深い製薬会社からの出向者や、アップサイクルモビリティシェアリングサービス実現に向けてカーゴバイクの専門家、起業志望のインターン生などとタッグを組んでいます。広島県は海洋プラスチック問題を含めた環境対策を進めており、データ分析の手法を持ち込んでいただきたいですね。

★☆ 株式会社JOYCLEについての参照サイト ★☆
https://joycle.net/


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