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オープンイノベーションピッチを開催。採択企業13社が事業会社へプレゼン!《ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION 2023》

「広島から、ユニコーン企業に匹敵するような、企業価値が高く急成長する企業を10年間で10社創出する」ことを目指す「ひろしまユニコーン10」。1月25日、スタートアップと事業会社との業務提携や協業、資金調達につながる機会の創出を目的としたイベント、オープンイノベーションピッチがHiromalabで行われました。前半は「IT&IoT、ヘルスケア」、後半は「素材&環境、エンタメ&フード」をテーマに計13社が登壇。スタートアップとの協業や業務提携を考えている事業会社をはじめ、VCやアクセラレーターなどの支援者、大学関係者らオンライン参加も合わせて約120人が集まりました。各ピッチ後に質問や所見を述べるコメンテーターを東洋電装グループ・株式会社 TD Holdings CEOの桑原弘明さん、株式会社熊平製作所 新規事業開発部取締役部長の茶之原大輔さん、ひろぎんエリアデザイン株式会社 企画・広報、ソリューション・営業グループ グループマネージャーの栗栖徹さんの3者が務め、それぞれにエールを送りました。

各ピッチ後に質問や所見を述べるコメンテーター
左から、桑原 弘明さん、茶之原 大輔さん、栗栖 徹さん


株式会社Medlarks 代表取締役&Co-Founder 松浦 康之さん

松浦 康之さん

入院患者などの排尿を補助するために留置される尿道カテーテル(管)と尿をためる排尿パックの接合部や、パックの排出ポートといった部分から細菌が侵入することで起こる、「カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)」を予防する機器を開発しており、カテーテルメーカーなどの戦略的パートナー等を求めていると話されました。

コメント(栗栖さん)
入院したら誰もが感染するかもしれないリスクを予防するという社会的意義があり、市場も大きいと思います。院内感染を防ぐことができるため医療現場の方のためにもなります。年間1,000万人以上が罹患し、年間24万人が亡くなる世界最多の医療関連感染を防ぐ意味合いは非常に大きいと思います。


株式会社Forema CEO 小泉 靖宜さん

小泉 靖宜さん

腸内細菌の解析事業「byOm」を手掛けています。腸内細菌は心身の健康状態に深く関わっており、近年では人間のみならず犬や猫でも、腸内細菌に由来する健康トラブルが急増しています。創薬ではなく、有用細菌を直接摂取して増やす「プロバイオティクス」、有用菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂取する「プレバイオティクス」といったヘルスケア領域の市場で勝負したいと意気込みを語りました。

コメント(茶之原さん)
異常行動などの問題も腸内細菌が関わっていると知り、驚きました。また、安芸太田町という山間部に拠点を構え、地域に産業を起こそうという姿勢にも感銘を受けました。


株式会社 SKY MEDICAL JAPAN 代表取締役 天野 新也さん

天野 新也さん

大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症を引き起こす原因不明の病気 「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」の薬を開発されています。潰瘍性大腸炎は世界に20万人の患者がおり、トイレに行く回数が増え、痛みや不快感が続くほか、長期にわたる治療でも症状が改善せず、腸を摘出して人工肛門を付けざるを得ないケースもあるといいます。薬を一日でも早く市場投入することで患者のQOL(生活の質)向上に役立ててもらうほか、服薬で体調が改善すれば定職に就けるようになり、医療・社会保障費が減るとともに税収が増え、国力アップにもつながると話しました。

コメント(茶之原さん)
有名なところでは安倍元首相も患ったと記憶しています。一度罹患すると一日に何度もトイレに行かないといけないなどQOLが大きく下がってしまう。そこを創薬でクリアーできるのは大変良いことだと思います。


株式会社抗体医学研究所 代表取締役CEO 横崎 恭之さん

横崎 恭之さん

皮膚の構成に欠かせないコラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンといったタンパク質を作り出す「繊維芽細胞」が過剰に活動することが原因で起こる間質性肺炎や肝硬変などの「線維症」に効果のある抗体医薬の開発を進めています。市場規模は国内だけでも年間500億円以上で、人に投与する一歩手前まできており広島発の医学として、後押しをいただきたいと訴えました。

コメント(栗栖さん)
現在は根治する薬のない難病の創薬に挑まれており、意義は大きいと思います。人種に関係なく世界中で線維症が発症しており、薬ができれば世界マーケットは数千億規模になります。前臨床の段階でお金もかかると思いますが、ぜひユニコーン10を活用し、製薬会社などの協力者を集めて実現してほしいと思います。


株式会社AiCELLEX 代表取締役 伊藤 賢治さん

伊藤 賢治さん

発達障害者のコミュニケーション支援ツール「FURE-i(ふれあい)」を開発し、2024年秋にリリースされる予定です。発達障害の子を持つ両親は自分たちが亡くなった後に子どもが生活できるかという不安を抱えていると言います。障害を持っていたとしても健康で豊かな社会生活が送れるよう、このツールで発達障害者の優れた能力を見つけ出し、適切な職能を支援したいと決意を語りました。

コメント(桑原さん)
障害の分野は多様性があり、対応が難しい分野だと言われています。そのためベンチャーが入りにくく、DXや5Gが進んでいない一面がある。このツールで障害者一人一人の多様性に対応し、障害者の方がより良い生活が送れる社会をぜひ実現してもらいたいと思います。


株式会社Stayway 代表取締役 佐藤 淳さん

佐藤 淳さん

士業、金融機関、事業会社、ファンドなど補助金申請を支援する事業者向けに、補助金の検索・レコメンド、申請支援などを提供するウェブサービス「補助金クラウド」を展開しています。補助金の課題は「情報がたくさんがありすぎる」、「申請が大変」、「後払い」と大きく分けて3つあると言います。これらの課題をテクノロジーで解決しようと、補助金の債権を買い取るという形で日本初の先払いサービスなどを導入しています。この仕組みを全国に広げるため、金融機関のようなその地域の中小企業を支援している企業と連携していきたいと語りました。

コメント(栗栖さん)
HPを拝見し、思わず見入ってしまうほど、かっこいいなという感想を持ちました。働いている方々も楽しそうで、スタートアップらしさにあふれています。これはユーザーインターフェースの観点からも重要です。使いやすさというところも長けていると感じます。スタートアップが事業を拡大するうえでも一層補助金の活用が広がればよいなと思っています。


CIA株式会社 代表取締役 長岡 秀樹さん

長岡 秀樹さん

 万引き行為を行う人物を精度良く特定する技術を開発しています。万引きの被害の現状は世界で46兆円、日本でも8,000億円と言われているそうです。これまでは防犯カメラの死角で犯行されることがほとんどでしたが、万引きの予兆行動から犯行までを映像として録画保存し、犯行者の証拠を残すことを可能にしました。今は大手ディスカウントストアなどで実証実験準備を行っており、2026年に3,400店舗に展開する計画を述べました。

コメント(茶之原さん)
仕事柄、防犯カメラに詳しいと自負していますが、その私から見てもよいサービス、技術だと思います。今後AIにシフトされるという話を伺い、アメリカ通販小売店の「ザッポス・ドットコム」を連想しました。ザッポス級の巨大企業を目指していただきたい。


ルラビオ株式会社 代表取締役 白川 晃久さん

白川 晃久さん

広島大学大学院統合生命科学研究科 島田昌之教授らの研究グループの「哺乳類の簡単な雌雄産み分け技術」の実用化を目指しています。Ⅹ染色体を持つ精子とY染色体を持つ精子を分離することによる産み分け法で、豚の雌雄産み分け試薬では2~3年内に実用化を図りたいと話しました。研究費用が不足しており、養豚業者、消費者、地球環境にとってメリットが享受できるこの技術を支援してほしいと訴えました。

コメント(桑原さん)
同社の技術で100年後にもとんかつが食べられるよう期待しています。一方で雌雄産み分け方は私たち投資家からもなかなか分かりにくいという印象を持ちました。牛の装置とライセンスによる産み分け技術は豚では利用できないということなので、安価に肉豚生産の効率化を図れる試薬を実用化してもらいたいと思います。


ナオライ株式会社 代表取締役 三宅 紘一郎さん(オンライン)

三宅 紘一郎さん(オンライン)

 2020年に純米酒を低温浄溜させた「浄酎」を開発し発売しました。熱を加えない独自の「浄溜」技術で、特徴として日本酒特有の香りや旨味を残したまま、アルコール度数はウイスキー並みの41度と高く、常温で長期保存しやすい点を挙げられました。約半分をバイオテック事業に回すことができ、スポーツドリンクや健康食品を研究。この技術によって200万円だった日本酒の価値が1,726万円と約8.5倍になると話しました。各地のバンカーや企業、投資家と再現性のあるフランチャイズモデルにも着手する計画です。

コメント(茶之原さん)
「浄酎」は私もいただいたことがあります。日本酒の風味がありながらもウイスキーのような強いお酒で、非常においしいですね。これは清酒が発明されて以来の日本酒業界のイノベーションだと思います。フランチャイズという新たなスキームにもワクワクしました。


native.合同会社 CEO 川本 寛之さん

川本 寛之さん


 インドで20~30代を中心とする若者向けに、真剣交際アプリ「native.」の開発・運営を手掛けています。インドでは95%のカップルが占い師を通して結婚しているそうです。川本社長の趣味である占いを基に、生年月日から性格、運勢を判断する「命学」のロジックを用い、自身の傾向と似た人物が自動的に表示される仕組みも搭載。日本でも2万人以上のユーザーを抱えるファイナンシャルプランナーや人材エージェントなどに向けたコミニケーションツールを展開しています。

コメント(栗栖さん)
未婚だったらぜひ使ってみたいと思いました。マッチングアプリは日本では当たり前の出会いの場になっています。マッチングアプリの出会いの場合、事前にお互いのことがわかり合えるなどの理由から離婚率も低いと伺ったことがあります。そこに占いの要素も入れば、より手堅い出会いとして広まるのではないかと期待しています。


株式会社マテリアルゲート 代表取締役 中野 佑紀さん(オンライン)

中野 佑紀さん(オンライン)


新素材「単分子誘電体」を使ったメモリの開発やそれを使ったコンピュータの実現を目指されています。2023年6月に設立したスタートアップ企業で、単分子誘電体メモリにより、コンピュータ消費電力の90%近い削減に寄与することが期待できるそうです。まずはエッジAI(端末のAI)等に組み込まれる「SRAM」代替メモリとして実績化し、2030年にはメインメモリに広く使われる「DRAM」、2035年までにSDカードやUSBメモリなどの記憶媒体にまで展開を計画されています。

コメント(桑原さん)
半導体の世界でのイノベーションになると感じました。半導体市場は参入するとかなり大きなビジネスになります。その中で材料物性レベルの根っこから変えるような話なので、スケールも大きいと期待しています。


株式会社トロムソ 海外事業部
 西嶋 良介さん(オンライン)

西嶋 良介さん(オンライン)

農家さんが処分に困っているもみ殻を固形化して燃料にする「グラインドミル」という装置を製造販売しています。投入したもみ殻をすりつぶして圧縮し、熱をかけることによって固形化するというシンプルな構造で、特別な技術がなくても使いこなせるのが特徴です。国内だけでなく、東南アジアやアフリカなどにも販売を拡大しており、グラインドミルで作った燃料をインフラの行き届いていない地方の人たちに提供することで、自然環境を守るとともに現地の人々の生活を支えたいと話しました。

コメント(茶之原さん)
私は安芸高田市で兼業農業をしており、もみ殻に頭を悩ませていました。畑にまく量は限られており、結局、焼却処分をしています。これを集めて燃料にするというのは非常に良いアイデアで、アップサイクルという時流にも乗っていると思います。


株式会社JOYCLE 代表取締役社長CEO 小柳 裕太郎さん

小柳 裕太郎さん

 地方や離島ではゴミを集める会社がどんどん減り、効率が悪くなり収集コストが上がっていると話します。ゴミを運ばず、燃やさず資源化できる分散型のゴミ資源化インフラは中小企業がつくっているものがほとんどで、アナログなものが多いとのこと。そこで資源化できているゴミの量やエネルギーの創出・使用量など、コストカット効果や環境貢献効果などさまざまなデータを可視化し、現場のオペレーションを便利にしていくサービスをつくられています。

コメント(桑原さん)
私たちも小さなプラントを入れたことがあるが、効果が実証できないのが課題だと思っていました。これから政府が目指す方向性にもマッチしており、新しい産廃のプラットフォームとして期待しています。次のステップとして750キロ以下のけん引免許なく移動させられるプラントの開発にも取り組まれており、さらなる飛躍の可能性を感じました。


ピッチ後の交流会では登壇者と参加者が盛んに名刺交換や意見交換を行うなど、広島における本プロジェクトへの関心の高まりを感じました。
今日のご縁がさらなる事業拡大のきっかけになることを期待しています。

活発な意見交換がなされた交流会の模様

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