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【ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION 2023】挑戦者の紹介VOL.10⦅ナオライ株式会社⦆

「広島から、ユニコーン企業に匹敵するような、企業価値が高く急成長する企業を10年間で10社創出する」ことを目標に掲げた「ひろしまユニコーン10」プロジェクト。このプロジェクトの一環であり、事業の急成長を伴走支援するひろしまユニコーン10  STARTUP ACCELERATION 2023に挑戦中の16社に、改めて事業の概要や今後の展望などをインタビューしました。

ナオライ株式会社 代表取締役 三宅 紘一郎さん
「日本酒を『低温浄溜』した第三の和酒『浄酎』を製造販売」

代表取締役 三宅 紘一郎さん

プロフィール
呉市出身。親族に酒蔵関係者が多く、立命館大学時代に日本酒を中国に広めたいと上海交通大学に交換留学。 卒業後の9年間を上海で過ごし日本酒を広める事業に従事。2014年に帰国し、2015年にナオライを創業。 2019年特許を取得し、日本酒を「低温浄溜」する独自製法で「浄酎」をリリースする。


― 創業の経緯は ―

1950年代に全国に約4,000カ所あった酒蔵は約1,200カ所弱に減少しています。こうした日本酒業界を再生させ、多様で豊かな日本酒文化を次世代に引き継ぎたいという想いで、2015年に呉市の三角(みかど)島を拠点に創業。三角島の耕作放棄地を引継ぎ、活用する形で三角島レモンガーデンをスタート。皮まで食べられる「ミカドレモン」を自社栽培し、現在は三角島と対岸の大崎下島・久比地区で3カ所のレモン農園を運営しています。2017年にミカドレモンの果汁を使った純米大吟醸ベースの「MIAKDOLEMON Sparkling」を発売しました。三角島を拠点にした商品作りなどで、第23回広島ベンチャー助成金の奨励賞法人部門金賞を受けています。


― 現在の事業内容は ―

2019年に神石高原町の旧日本酒酒蔵を拠点に、浄酎浄溜所を開設。2020年に純米酒を低温浄溜させた「浄酎」を開発し発売しました。2021年にはオーガニック米とオーガニックレモンを使い、オーク樽で醸造させた「琥珀浄酎」を発売。立命館大学生命科学部の若山守教授(酵素工学)と浄酎の生産過程で出る副産物のアミノ酸エキスを活用した健康ドリンクや酵素など、付加価値商品開発のための共同研究も行っています。2023年5月のG7広島サミットでは国際メディアセンターで試飲用酒類として採択され、安芸高田市の川根柚子協同組合とのコラボレーションカクテルの浄酎を提供しました。広島県内の特産農産品を使った新商品開発にも取り組んでいます。

樽熟成を進める浄溜所


― 他社との違い、自社の強みは ―

「低温浄溜」という熱を加えない独自の「浄溜」技術で、2019年に共同出願の形で特許を取得しました。一般的にアルコール度数が高い酒は78~90℃くらいで、焼酎の減圧蒸留でも40~50℃で「蒸留」して造られますが、「低温浄溜」ならば日本酒(純米酒)を40℃以下でアルコール分離させることが出来るため、日本酒特有の香りや旨味を残したまま抽出可能です。このようにして生まれたのが、アルコール度数はウイスキー並みの41度と高く、常温で長期保存しやすい特徴をもつ「浄酎」で、ウイスキーのうように木樽で熟成させることが出来ます。加えて、神石高原町の浄溜所は標高約400~500㍍にあるため、夏は標高の低い地域に比べると涼しく、冬はマイナス5℃まで冷え込み積雪もある地域で、浄酎の樽熟成には最適です。現在、アメリカンホワイトオークとミズナラ、桜の樽などで熟成しています。
浄酎のビジネスモデルは、各地域の日本酒酒蔵で醸された純米酒を原料にして浄溜するものです。現在、山岡酒造、柄酒造、向原酒造など広島県や島根県、愛媛県の酒蔵から日本酒を仕入れています。新酒のほうが価値が高いと評価される日本酒業界において、新酒ではない日本酒を使ってその価値を高める画期的なビジネスモデルを広めていきたいと考えています。
さらに、神石高原町では、有機農業を進めるマリモファーム社、タナベファーム社と連携。農薬・化学肥料を使わない有機酒米を栽培頂き、「浄酎」に使用しています。日本の耕地面積における有機栽培の畑の割合はわずか約0.2%。農薬、化学肥料成分でタガメやゲンゴロウなど希少生物が田んぼから消えている現状がありますが、ナオライでは、微生物も含めた「自然から感謝されるような人や企業の在り方」をテーマにしています。資本政策では立命館大学発のファンド「立命館ソーシャルインパクトファンド」をはじめ、木村石鹸工業(大阪府)、ベンチャー支援の日ノ樹(東京)などからも出資を受けています。

新しい製法でつくる「浄酎」


― 今後の事業の展開は ―

現在広島で実証している、浄酎生産所で日本酒を仕入れて浄酎や副産物商品を創るビジネスモデルを確立し、全国展開を目指します。日本酒技術の伝統継承のほか、地域の遊休拠点活用、雇用創出、地域ブランド創出、有機米等の農産物6次産業化などにも貢献したいです。

新しい製法「低温浄溜」で、第三の和酒「浄酎」を全国展開へ


― 編集後記 ―

日本酒の「低温浄溜」という新しい製法で、日本酒、焼酎に次ぐ第三の和酒「浄酎」を製造販売するナオライ株式会社。原料となるレモンの有機栽培も行い、浄酎の生産過程で出る副産物を活用した商品作り、酒蔵見学や農業などの体験型観光にも取り組んでいます。2023年4月に中国経済産業局等が設立した「J-Startup WEST」にも採択。浄酎の生産拠点の全国展開に加え、海外への展開も見据えておられ、今後の事業推進が期待されます。

★☆ ナオライ株式会社についての参照サイト ★☆
https://naorai.co/


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