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地域への想いを形にしたら、サウナにたどりつきました。【RING HIROSHIMA】

皆さん、整ってますか。

盛り上がるサウナブーム。「整う」という言葉も浸透して、サウナ施設自体も様変わりしています。
温浴施設に併設されるだけでなく、個室サウナ、テントサウナ、コワーキングスペース×サウナ、グランピング×サウナ、そして自宅にサウナを作ったというお話も耳にします。

今回のインタビューは、そんなサウナに地域の眠る資源を掛け合わせ、活性化を目指す大学生チャレンジャーとセコンドです。

流行だからというだけではないサウナの魅力は、記事の中頃で。

柔軟さと行動力で持続可能な地方創生に向かう学生チーム

福山大学人間文化学部4年生の藤本悠太さんは、同じゼミに所属する井丸竜輝さん、森山竜斗さんとともに「REBORN」を立ち上げました。地方創生への関心が高い3人は、地域活動を行う人たちと一緒にボランティアなどを行うなかで、活動する人自身が資金の確保や運営に苦労している姿を目の当たりに。

ゼミで地域の方と関わるうちに、地方創生への関心が高くなり、2022年に「REBORN」を立ち上げました。生まれ育った尾道や、田舎といわれるまちが好きだと気付いたんです。
地域で活動している人たちにたくさんお会いしましたが、ほとんどの方が苦しさも抱えていて、持続可能性が低いなと感じました。地方創生、地域活動においても、ビジネス化が大切だと痛感したんです。

藤本さん

そして立ち上げと同年の2022年、福山市で行われた「第1回せとうちビジコン」にエントリーした「REBORN」は見事、最優秀賞を受賞!

まだまだアイデア段階だった「REBORN SAUNA」をブラッシュアップするため、また今後の活動の実績づくりのためにビジコンに応募しました。
このビジコンでメンタリングを受けたことで、自分たちの考えや想いの起源を整理できました。

藤本さん

事業化への行動力、そしてエントリーまでのスピード…筆者も見習わねば…。

(株)コンセントで事業開発・サービス開発支援などを手掛けるセコンドの池村竜也さんも、広島出身。生まれ育った広島に関わりたいという気持ちから、セコンドに応募されました。

社会人になってから学生と関わることは少ないですが、最近は地域に積極的に関わる学生が増えているなと感じていますし、とてもいいことだと思います。
藤本さんは私や村尾さんの言葉をとても素直に吸収して、持ち前の行動力で進めていっています。ミーティングした次の週にはなにかしら形にして持ってくるほどのスピード感ですよ。

池村さん

同じ広島出身者として、地元に貢献したい同志として、期待が込められています!

そして藤本さんのセコンドはもう一人。昨年度2nd Boutでもセコンドを務められた(株)TAKEOVERの村尾直哉さんです。
昨年度は兄弟のように息のあった正田創士さん・長谷川忠広さん(タチマチシコウ委員会)をあたたかくサポートする親のようなセコンドとして、「The Good Partner Ship」を受賞されました。

今回は学生チームとのタッグですが…?

藤本さんは良い“学生らしさ”を持っていて、とにかく行動、トライ&エラーを繰り返す姿勢は、むしろ私の方が学ばなければと思うほどです。
最初は「やるぞ!」という意気込みが強かったのですが、メンタリングを経て、「なぜやるのか?」と内省を繰り返している時期。自らの殻を破ってこれからどう化けるのか、期待しています。

村尾さん

今回はお父さんよりも、お兄さんや先輩のような温かい眼差しを感じます。

振り返ると、RINGのスタート当初は「地域活動をビジネスで持続可能にしなければ」と思いすぎていました。村尾さんと池村さんのメンタリングを受けながら、どうしてREBORN SAUNAをやっているのか、どんな地方創生をしたいのか、改めて初心を思い出すことができました。

藤本さん


なぜサウナ?「流行ってるから」だけじゃない!

流行りモノで人を惹きつけて地域活性化ってことかな?と考えた読者の皆さん(と筆者)。実はそこにはもっと深い理由があるんです。

三次市甲奴町の古民家に住んでいたという藤本さん。そのときの出会いが今につながります。

バイクで町内を走り回っていて見つけたのが「品の滝」でした。とても雰囲気がよくて、ここで何かできないかな?と思ったとき、YouTubeでテントサウナを見たことを思い出し、これだ!と思いました。

藤本さん

ここでも柔軟な発想で、滝×サウナという掛け合わせが生まれました。

さらに、地元の方が自宅の蔵を改装してつくったサウナに招かれたこともきっかけのひとつです。
実はもともとサウナはそんなに好きじゃなくて、入って30秒くらいで出たくなるほどでした(笑)。でもそのサウナでは、初対面の方ともコミュニケーションが捗って仲良くなれました。地元の方のお話がおもしろくて、暑さを忘れるほど楽しさが勝ったんです。

藤本さん

大学で心理学を専攻する藤本さんは、サウナにおけるコミュニケーションについても研究し、実際にサウナではコミュニケーションが活発になるというデータもとれたのだとか。
自らエビデンスを作る、研究家な一面も持ち合わせています。

昨年は三次市甲奴町を移動式サウナで活性化できないかと奮闘していました。その後、せとうちビジコンのメンタリングや甲奴町で地域活性に取り組む師匠の影響もあり、未利用資源の活用を目指すことにしました。
スタートは「滝サウナ」として、知る人ぞ知る滝、廃棄されてしまうブルーベリーや野菜などを活用するプラン。その後、寺サウナでお世話になっている黄梅院のご住職に教わった茅の実に着目しました。

藤本さん

「サウナで生まれ変わらせる」という願いがこめられた「REBORN SAUNA」。流行だからというだけではなく、地域の魅力(モノも人も)をサウナに反映して、地域を知る場所としてのサウナを目指しています。


秋の三次で、イベント「お寺サウナ」開催

11月には、実証実験として「お寺サウナ」を開催。三次市吉舎町の黄梅院で、テントサウナ、甘茶や周辺で採れるカヤの実を使ったロウリュ、寺川による水風呂、吉舎町のお米を使用した塩むすびと甘茶のサ飯、そして瞑想・座禅体験と、吉舎町と黄梅院を堪能する特別感満載のサウナイベントとなりました。

カヤの実は、縄文時代から食用として親しまれ、搾った油は整髪油や灯火油としても使用されるなど、生活に根付いたものでした。現在も庭先や寺社の敷地内でよく見られるようですが、その実はあまり活用されていません。

種を除いた茅の実

この実から採れるエッセンシャルオイルとフローラルウォーターは柑橘やヨーグルトのような香りがするのだとか。お寺サウナに向けて、水蒸気蒸留法でチームメンバー自ら抽出したそうです。

実の収穫量が思ったより少なかったこともあり、オイルは小さじ1杯弱しかとれませんでした。今後もお寺サウナを続けていくうえでこの量では難しいので、ほかの未利用資源の活用を考えることにしています。
搾油量が少なかったことは壁でもありますが、実証実験を経て得られた成果のひとつです。

藤本さん

柔軟に発想を展開していく藤本さんたちの挑戦はまだまだ続きます。

挑戦者・セコンドから見るRING HIROSHIMA

RINGでの実証実験も終盤を迎えていますが、RING HIROSHIMAという場に対して、どのように感じているのでしょうか。

セコンドとしては、挑戦者やセコンドの皆さん、サポートする方々など、いろいろな方にお会いしてネットワークが広がったことが私の中で大きかったです。
特に知らない領域の事業に関わって、メンタリングを通して新しい事業を疑似体験できる経験も貴重です。

村尾さん

普段は大企業の事業をコンサルティングすることが多いのですが、その経験や知見が、藤本さんのような“経験はないけど想いはある”人たちに貢献できるんだなと実感しました。
また、皆さん会社のトップやプロジェクトの代表なので、想いがあるだけでなく、事業やプロジェクトに対して意思決定権を持った挑戦者に対してマンツーマンで伴走できるのは、RING HIROSHIMAならではのやりがいだと思います。

池村さん

資金面の補助やセコンドからの手厚いメンタリング、そして他の挑戦者の事業も垣間見ることができる、こんなに挑戦に適した環境はなかなかないのではないでしょうか。
セコンドのおふたりのおかげで、自分だけでは気付けなかったことも見つかりました。事業を形にしたい方、僕みたいに「とにかくやってみよう!」という方、どちらにとっても挑みやすい場だと思います。

藤本さん

EDITOR'S VOICE 取材を終えて

大学4年生の藤本さんは来春卒業、就職も決まっているのだとか。
いずれ広島県外に行かれるとしても、REBORNやRING HIROSHIMAでの活動を礎に、何らかの形でこれからも広島を思ってくれたら、広島のおじちゃん・おばちゃんたちは嬉しいです!
(Text by 小林祐衣)


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