誰もが農業の味方! 地域と人と農をつなぐコミュニティ『ミヨシのミカタ』【RING HIROSHIMA】
最近では、スーパーや産直市などに並ぶ農作物のパッケージに、生産者名や農場名が添えられていることが増えてきました。作り手の存在をより身近に感じられて、購入のきっかけになっていることも多いのではないでしょうか。
一方で現実問題として、農業の担い手不足が長らく叫ばれていることもまた事実。それはもちろん、ここ広島県においても重要な課題の一つです。
「そうした“農”に関わる現状に、新たな提案を!」と立ち上がったのが、今回のチャレンジャーです。
CHALLENGER
『農でつながるコミュニティ ミヨシのミカタ』橋本 葵さん
心の豊かさと暮らしやすさにつながる
農業のコミュニティ
大学で畜産を学び、広島県内の牧場へ就職。結婚を機に三次市へ移住後、夫の家業である和牛繁殖農家で働いている橋本さん。
家業の他にも加工所や近隣農家の手伝いなどを担い、自称「農業アルバイト」として広く農業に従事しています。
農業現場職10年以上と農業一筋でやってきた橋本さんですが、2児の子育てをきっかけに、自身と農への関わり方について改めて考えるようになったといいます。
橋本さんが、農業に関わる人同士が広くつながるコミュニティづくりを始めたのは2022年度。
『ミヨシのミカタ』という名前で、三次市と庄原市を中心に農にまつわる地域の仕事や子育てのシェア、農業情報の発信などをコミュニティ参加者とともに行っています。
SECOND①
『社長ベル』レイハーモシーラ 恵玲美さん
コミュニティの世界観を
築けるようにサポート
今回、橋本さんのセコンドとして併走するのは2人。一人は、行政書士・伴走型コンサルタントのレイハーモシーラさんです。
実はレイハーモシーラさん、橋本さんとの共通点が数多くあったそうで。
SECOND②
『株式会社ナッカサン』仲 正人さん
人と人のつながりをもう一度
中山間地域での取り組みを支援
そしてもう一人は、昨年度に続いて今年度もセコンドに名乗りを上げた仲さん。
産学官の各プロジェクトの連携コーディネーターを務めるほか、スタートアップや新規事業立ち上げの支援を行っています。
親と子が一緒に食や農業に触れて、考えて、
働くことをイメージできる場をつくる
コミュニティの活動として、2023年10月末には県立広島大学の大学祭にマルシェ出店。学生とともに農産物の販売を行いました。
大学生がどのように農との関わりを持つのか。マルシェで野菜を購入した人が、コミュニティの取り組みをどのように受け止めるのか。
橋本さんにとっても人々の反応を改めて五感で感じる場となりました。
その経験を経て、『ミヨシのミカタ』の現在の大きな活動テーマは“食農共育”です。
「農家さんと話をするうちに、子育て世代の親御さんに関わってもらいたいと考えている人が多いことに気づいた」と話す橋本さん。
RING HIROSHIMA実証期間に取り組んでいくことも、親と子どもが一緒になって食と農業に触れたり、考えたり、働くことをイメージできる場をつくることをポイントにしています。
●実証期間の活動予定
①12月頭にマーケット出店
農作物の販売と絵本の読み聞かせを実施。
→子育てをしながら、地域の中で行う副業と食の教育について考えていく。
②12月末に農業体験会を開催
橋本さんの牧場にて、親子での農作業体験会を実施。
→体験を通して親と子が一緒に学び、農作業をアミューズメントのように親しみを感じてもらう。
③1月末に映画上映会を開催
農業の多様性を伝える映画の上映と、農家との触れ合い、農産物の試食やワークショップを実施。
→農業に関わることを仕事にするイメージを醸成する。
そんな橋本さんの目指す世界に、セコンドの2人もこれまでとは違う刺激を受けているようです。
“農業のキッザニア”がイメージ!
地域と人と農のつながり方の新提案
現在コミュニティの参加者は農家、農業現場の働き手、家庭菜園を楽しむ人、食や農について学ぶ人、一般消費者など約30人。今後は参加者同士のつながりをより深めながら、農への関わり方や働き方を提案していきたい、と橋本さん。
EDITOR’S VOICE 取材を終えて
野菜好きの筆者は、毎日積極的に野菜を食べています。こうして日々おいしい食事ができるのも、農家さんのおかげ。
農業との関わりは、どんな人であれ切っても切り離せないものです。橋本さんの取り組みは、三次市や庄原市で暮らす人はもちろん、多くの人にとってそれぞれの立場で農について考えるきっかけになるはず!
(Text by 住田茜)
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