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【め】 メガネを初めて買うかどうか問題

僕はいまマレーシアのイポーという街に住んでいて、滞在歴は6年以上になっている。
45歳のときにマレーシアに来て、もう51歳になった。

マレーシアは年中夏みたいな気候で、日本と違って四季がないから、旅行に行ったとしても、いつ頃に行ったかという記憶が残りづらい。
「あのときは寒かったよねー」とか「紅葉が綺麗だったよねー」とか「桜も散り始めてたよねー」という記憶として残らないという感じだ。

年中夏だから夏休みなんてものは当然ないし、お正月もない。

元旦だけ「New Year Day」という祝日になるけれど、それ以外は大晦日も三が日も普通に仕事をしている。イスラム国家なのでそりゃそうなんだけど。

今年は曜日の並びが最高で元旦が金曜日に当たるから、マレーシアに赴任してきてから初めて三が日がお休みになる。どこか旅行にでも行こうかと思っていたけれど、ちょっとそういうご時世でもないので、長い間後回しにしていた問題に手を付けようかどうか迷っている。

今まで特に大病もせずにマレーシアライフを楽しんできたのだけれど、ここ二年ぐらい小さい文字が読みづらくなってきた。

恐らく老眼というやつが僕にも到来しているということなんだろうけれど、僕はこの「老眼」というネーミングが大嫌いで、なんとかこの事実を認めないままで人生を終わらせたいと思っていたのだけれど、本がすらすらと読めなくなってきたのがホントに辛くなってきた。

前にも書いたような気がするけれど、老眼鏡は英語で「Reading Glasses」だ。文字を読むためのメガネという意味で、なんというか全く抵抗感がない。そんな便利なものがあるならひとつもらおうか、っていう気持ちになるけれど、目が老いちゃったからメガネをかけなくてはいけないという理屈になると、まだまだ老いを認めずに人生と戦っている僕からすると、すごくイヤだ。子供の時から目と性格だけはとても良かったので、老眼になっちゃったという事実を認めるのに、相当の時間がかかっている。

でも本が読めないことに対する我慢はそろそろ限界に来ていて、この三が日に「老眼鏡」ではなくて「Reading Glasses」を購入するという決断をしなければならないのかも知れない。

ここがマレーシアで良かったのかも知れない。「老眼鏡ください」と言ってもそもそも通じないし、そんな冷徹なネーミングは日本以外にはないから、老眼という事実を認めないまま、本を読むときだけにかけるReading Glassesをくださいと言えばいいだけだ。

おまえはアホか、さっさと眼鏡屋に行け。ということなのは重々承知しているんだけれど、こういう気持ちになるまで2年以上の歳月が流れてしまった。50年以上メガネをかけた経験がないので、これを読んでくれている方々が想像している以上に、この初体験に躊躇しているんです。

もう6年以上マレーシアにいるので、最近特に現地の中華系に間違えられることが多くなってきた。もし丸メガネなんかをかけたら完全に現地人と同化してしまうし、ますます中国語で話しかけられることが増えてしまうので、丸フレームだけは避けないといけない。恐らく店員は丸フレームを推してくるだろうけれど、これは断固として断らなければならない。

またメガネをかけたことがないので、どういうのが似合うのかという判断基準を持ち合わせていない。どうせこんな歳になっているので、似合うかどうかは脇に置いといて、ちょっとは笑いも取りたいという気もするけれど、メガネで笑いを取りに行ってスベるのはなんとなく避けたい。一日に何度かは他人様にメガネ顔をお見せすることになるから、もしスベったらメガネをかけるのが怖くなって、本を読まなくなってしまうかも知れないし。

そんなこんなでいろいろ理由をつけて先延ばしにしてきたメガネを買うかどうか問題を、2020年できっぱり終わりにして、2021年から新しいメガネ人生を歩んでいこうかと思っている。

眼鏡なんて合わなくなったらどうせ買い換えるんだし、ぐだぐだ理屈をこねていないで、さっさと眼鏡屋に行けや、ボケ!というあなた。あなたは絶対にモテない。

そよ風が吹いただけで揺れ動いてしまうような乙女心を理解できないようでは、絶対にモテませんよ。

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