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TDLの価格は適正なのか

1983年の開園以来、躍進を続ける東京ディズニーランド。わたしがはじめてこのテーマパークにいったのは、1984年の夏だった。あの夏はいまでも覚えている。シンデレラ城の近くから周りを眺めると園外の景色が全く見えない。そして夜になるとネオンがさらにおとぎの国の装いを深めていく。ひょっとしたらシンデレラに会えるかもしれない。そうやって閉園まじかになる。帰るとき、なにか買い物をしたくてしょうがなかった。

そしてわたしにしてはめずらしく買い物をした。記念として。

40年後の2022年の夏。こうして振り返ってみると名古屋市から5時間かけて浦安ににいったこと。とても疲れた。栃木の友人が泊めてくれたけど、浦安からは遠かった。いまでは千葉県の東葛地区に在住。車でたったの40分。しかも高速を使わず。

この2年は、コロナ過でまったく入園せず。浦安市運動公園に車をとめて、外から眺めるだけで過ごした。これも不思議で近くに住んでみるとテーマパークの中にはいかない。

先日、ある集まりでディズニーのチケットの価格は適正なのか。2000円の有料パス導入は効果が出るのかを話す機会があった。わたしは、どうもこのチケット価格、1日パスが、大人ひとり9千円というのが高すぎると考えている。そのように考えた背景を文章にしてみます。

要約としては、価格設定全般。まず、おとなの入園料9千円の価格設定は高すぎる。おかしい。有料パス、つまり、プレミアム・ファーストパス導入はちょっと変。夏休み中、子供料金を半額にしてしまうのは不可解。次に来客ゲスト。夏休みの対象であるローカルのひとたち、つまり、東京圏外から来る地方からの人達への負担がかなり大きいこと。そして営利企業としても儲けすぎ。かなり独占支配力が強くなってきていること。

どういうことでしょうか。

ほとんどの来園客は、ネットで入園料を払うことでしょう。そこでオフィシャルサイトからたどっていくと7~9千円とあります。日によってはおとなひとり9千円の入園料。これは高い。高すぎて、まず、普通に考えれば、こんなに高いのか、じゃやめよか、ほかのところは、という反応が起きる。

園内にはいるだけ、アトラクションに乗らないのに9千円。わたしのように園内だけでも満足できるのであれば別でしょう。

そして4月に導入されたプレミアム・ファーストパス。これは時間を買うというサービス。2千円を支払えば、特定の時間スロットを予約できる。人気アトラクションである美女と野獣がそれほど待たないで乗ることができる。実際に乗っているライド時間は8分間。つまり1分で250円をさらに追加で消費している。8分間で2千円。これはどうでしょうか。高い。

1分、250円だなんて。そういう反応もあるでしょう。ただ、東京圏外から来た人にとっては、暑い夏、30度越えをして、警報がでているような夏。炎天下で1、2時間待つのはつらい。待っているだけで体力を消耗する。熱中症対策もしなければならない。夕方から夜にかけて園内で食事をして、それから帰宅。それも高速を使って2時間以上、場合によっては3時間かけて帰るのです。

首都圏、東京、神奈川、千葉、埼玉から来ている人たちに比べて、東京圏外から来る人達にとってはとても負担がかかる。通常は、3時間待っても美女と野獣に乗れないときもあるという。そうなるとしかたなくプレミアム・ファーストパスを買う。そんなところでしょうか。これはもともと東京圏外からきたひとが時間を節約するためにできた有料サービス。

これに対して東京圏のひとたちはどうするか。もちろん2千円など追加では払わない。どんなに暑くても外で待つ。そして夏休みは子供料金は半額、ならば、家族で夏休みに行こう。そういう計画を立てます。これはいたしかたありません。

ところがここでとても変なことを考えるひとたちが出現します。それは東京圏にいる大学生以上のおとなたち。どういうことでしょうか。夏休みになにがなんでもTDLにいってしまう。2000円の追加は払わない。がまんして外で待つ。そうして人気アトラクションを楽しもうと考えるわけです。

東京圏にいる大学生以上のひとたちは、夏休み期間中は、来園客として対象していないはず。どういうことかというと、ディズニーランドというのは、中学生以下、それも主に小学校に通う子供がいくところであって、大人がいくところではない。

大人というのは18歳以上のことをいいます。中学生くらいまでなら頻繁にいくことはありましょう。それでも高校生になれば、回数は減り、年1、2回くらい。18歳以上であれば5年に一度くらいでいいはずでしょう。

そして結婚をして家族ができたとする。小さい子供がいる家庭が対象。3歳くらいから小学校の子供がいる家庭で、大人として30歳~40歳くらいまでの人たち。そのひとたちで混雑するのならいたしかたない。でもそうではないようです。

わたしは、子供が小さい時はディスニーによく連れて行ったものですけど、それこそ40歳を過ぎて、こどもが高校生になってくらいからあまり関心を示さなくなった。

大学生になったらディズニーにはもうそれほどいかないでしょう。あれほど混雑するはずはないのです。どうしても地方から夏休みに東京に来てディズニーで遊びたい家族がいる。そういう人たちに向けて導入したのがプレミアム・ファーストパス。そこをわかっていないひとがいるのではないか。

そしてこんな意見まで出てしまうことがある。ディズニーは、慈善団体ではなく、営利企業である。ビジネスとしてやっているわけで利益を最大化することはよい。ひとが来るのだから、断る理由はなく、プレミアム・ファーストパス2千円は別に悪いことではない。そして入園料9千円にしてもそれだけコストをかけているのだからいいのではないか。

どこかおかしい。東京圏のひとは地方より年収が高いのです。物価が高いのですから。そしてアクセスが早く、便利。疲れも少ない。アドバンテージがある。それでも夏休みに行ってしまう。

ひょっとしてディズニーの実態をよく把握できていないのではないか。Googleを使ってDisney Global Annual Revenueと検索してみます。そうすると出てきます。

In the fiscal year 2021, the Walt Disney Company generated a total revenue of 67.4 billion U.S. dollars, up from 65.4 billion in the previous year.

これはどういうことかというと2021年会計年度、ディズニーの売上は、670.4億ドルであった。この売上高を現時点の為替レートで円換算をすると9.1兆円です。

9.1兆円ということは、月当たり7600億円を売り上げている。1日にしたら250億円。これはちょっと儲けすぎでしょう。そう考えてもおかしくはない。では、なぜこれほど儲かるのでしょうか。

ひとつには、ディズニーがほとんど市場を独占してしまっていること。ディズニーに代わる遊園地や空間・時間というものが東京にそれほどないことがあります。よみうりランドは、5.4千円で過ごせます。浅草の花やしきであれば、2.5千円でフリーパス。それでもいこうとしない。ディズニーはディズニーでなければ体験できない。

そのため、多少、入園料が高くても浦安にいく。しかも、対象外である東京圏のおとなが入園してしまう。それも夏休みに。夏休みというのは、東京圏外からくるひとたちがホテルに泊まって、疲れを残さないためにくるのであって、夏休みだから、いざディズニーに行こうというのではない。さあ、これからディズニーへとはならないでしょう。東京圏にいるおとなは夏休みにはいかないようにしよう。であれば、次第に価格設定が適正化する。

この2年ほど1週間に一度、イクスピアリに出かけます。そこでいろいろな人を観察します。その観察の途中でイクスピアリの建物を説明してくれる係の人と話をしたことがあります。イクスピアリだけでも十分楽しめますよ。建物の壁を見てください。そこには、波を打ったような模様があり、それは海岸から吹く風に壁が削れているところを表現したものなんです。40年間気づきませんでした。イクスピアリの案内ツアーでもあればいいのに。

東京圏に住む大人のひとたち。そのひとたちが園内にあるディズニーの魔法から解かれますように。そして夏休みだけは浦安の園内にいきませんように。