自転車の逆走に備える
5月9日、千葉県柏市で自転車を逆走して道路交通法に違反。その男は書類送検された。テレビでも何度か放送されている。この逆走というのはなんとかならないのか。
わたしの住む千葉県東葛地区。柏市の隣にある街では自転車の逆走を多く見かける。特に朝の時間帯は多い。わたしはなるべく左側通行をして安全走行している。それでも逆走してくる自転車と何度かぶつかりそうになったことがある。どこかに相談できないか。
最寄りの警察署にいってみた。
日曜日の薄暗い昼下がり。交通課のある警察署はもう翌週の準備をしているかのごとく静かだった。わたしは自転車を駐輪場にとめて誰か署から出てこないか待っていた。しばらくすると3人の警察官がこちらに向かってきた。
何かありましたか。ちょうど署の出入り口のところで呼び止められた。
すみません。こんな時間にお手数ですがちょっと教えてください。自転車が逆走してきて困っています。どうしたらいいですか。3人のうち背の高いリーダーのような人が答えた。
逆走には対策としてなかなかいいものがありません。トラブルだけは避けるようにしてください。ベルは鳴らさないように。右手で左側によけてという合図もいけません。そういったことでトラブルは起こさない方がいいです。
では、どうしたらいいですか。
交番に言ってください。蛇行運転の場合は110番に通報してください。これは教育の問題です。わたしはだまって聞いていた。わたしは教育者なんだけど。そのことは言わなかった。
でも目を見ると目を合わせないようにしていますよ。警察官は言った。ではやましいことをしているのは逆走側がわかっているようですね。でもトラブルは避けましょう。
ありがとうございました。交番にいくしかないか。
翌々日に最寄りの駅にある交番に行ってみた。朝9時の交番。だれもいないのを確かめて入っていった。すみません。逆走はどうしたらいいですか。そのことを話そうとしているときになにか妙な臭いがすることに気づいた。何か交番の中がお酒臭い。ここは酔っ払いを取り締まるところだ。巡査らしい人に声をかけることもなくすぐに表に出た。
どこか最寄りの交番はないのだろうか。そこで3つくらい駅を隔てたところの交番があることを思い出した。そこには巡査ではなく相談員がいた。逆走に困っています。どうしたらいいでしょうか。
トラブルは起こさないようにしてください。どのあたりですか。そういって相談員は詳しい地図を広げた。この駅のロータリーから続く狭い道です。30キロの制限であるにもかかわらずスピードを出す車が多いです。しかも右側には目の不自由な人が杖を持って歩いています。
何時くらいですか。朝8時くらいは特に危険です。わかりました。担当に取り締まりをするように連絡しておきます。
しかしこれではとっさのときに対処できないではないか。
わたしはもうこれで最後にしようというつもりで離れたところの交番に行った。この交番からは重装備の警察官が相談に乗ってくれた。まとめるとこういうことだった。
トラブルは起こさないようにしてください。相手に向かって怒鳴ってはいけません。ベルを鳴らしたり、手でシグナルを出すこともしないほうがいいです。
ではどうしたらいいんだろう。わたしは黙って聞いていた。
こうしてください。危なければ止まるようにしましょう。止まっているところに相手が逆走してぶつかって来たら相手の責任になります。過失になります。また相手が避けようとして事故を起こしたのであれば、あなたに責任はありません。これでトラブルを回避できて、かつ、なんの責任も問われません。止まるようにしましょう。
警察官は続けた。交通法にとって自転車の走行というのは取り締まりがやっかいなんです。それは自転車が歩行者用の歩道を通れるということがあります。なのでなるべく譲り合って走行することが第一です。逆走という危険運転に対しては止まる、あるいは譲る。そしてトラブルを避ける。これが一番です。
ここまで説得力のある話し方をしてくれる警察官はめずらしかった。わたしは納得してその交番を後にした。
さてどうだろうか。大学生の読者の皆さんは自転車走行で危ない目にあったことはないだろうか。千葉県では自転車保険が義務付けられている。年間約2千円を出費する。柏市のような逆走を目撃したのならば110番に通報してみましょう。だれも通報はしないけど。関わりたくないためだ。
それよりもトラブルを回避すること。止まって譲ること。これが逆走に対する対処法だそうです。安全走行を心がけてください。