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後藤宗明さんのリスキリング

2011年から約5年間、筒井鉄平のSNSを応援した。筒井は三菱商事時代の年下の知り合いだった。内容は海外留学を後押しする活動。ただその活動の中に実はMBAを取得して帰国したひとたちが起業をするというもうひとつの柱があった。その潜んでいた柱を支える月例イベント。そこには担当の畑千絵さんの知り合いが登壇した。畑さんのネットワークにはいっている魅力的な人たちだった。

その中のひとりに後藤宗明さんがいた。わたしは畑さんとイベントに先駆けて表参道で打ち合わせをした。当時の印象ではなんというバイタリティーのあるひとなんだろう。イベントでのプレゼンはバイタリティーそのものだった。後藤さんは事業の立ち上げの専門家だ。体格もよくブルトーザーのようにパワフルであった。

7月26日付の読売新聞。その10面に専門家の経済講座というコラムがあった。そこに後藤さんの写真が載っていた。なつかしい。タイトルは「リスキリング 企業成長への投資」後藤宗明氏とある。後藤さんはいろいろなことを手掛けているけれども立ち上げ専門。根っからの起業家である。そんな彼のことをわたしは気に入っていた。

記事によるとこれから配置転換を目的としたスキル習得が始まるという。あくまで学びだけで終わることなく配置転換という実体が起きること。分野はデジタル。人工知能の発達が背景にある。ITのスキルを習得して配置転換をはかる。

ただ、人工知能というのはまだ早く、どちらかというとデータサイエンス。このデータサイエンスというところを記載しているので地に足のついた取り組みをしているといえる。AIはまだまだ先の話だ。AIということばに振り回されないようにしたい。

日本はこの取り組みに遅れていてこれからになる。そして経営者、特に人事部が新しいチャレンジとして取り組まなければならないとある。

わたしはこの記事を読んで2点述べることがある。ひとつは後藤さんに賛成している点。もうひとつは記事には掲載されていないこと。できれば後藤さんに聞いてみたい点がある。

まず賛成する点としては配置転換というソリューションだ。企業は新たにひとをよそから採用するのではなく今いる社員をリスキリングしていくだろうという点。転職ではない。

転職組というトレンドにはならないだろう。転職というのは40歳くらいまで、40歳を超えてからの転職は成功しない。雇う側も使い方に苦労する。45歳は遅すぎる。上場企業の平均年齢は49歳という高齢化だ。50歳になれば配置転換などできない。

ただごくわずかのひとは生涯学習を通じて50歳以上でも配置転換に耐えることができよう。

この転職組をいれるのか、それともリスキリングで配置転換かという問いに対しては配置転換という傾向になろう。その点には賛成する。問題は記事に載っていないところにある。

というのはデータサイエンスでマーケティングのノウハウが蓄積する。それを10年くらい先にどうやってAIにのっけていくかということだ。その時に企業は内製するのか、それとも他から買うのか。その問いがある。後藤さんははたしてどのように答えるだろうか。その問いが彼の中にないはずはない。

2010年代に後藤さんが行ったプレゼンの内容はちょっと思い出せない。ただ彼は隠し事はできない人。起業家としての特徴を備えていた。そしてあのバイタリティ。立ち上げの専門家として変わらぬ活躍ぶりだ。野心家でありブルトーザーのような体格はいまも健在であろう。そして人事部を相手に人材育成という一貫した分野と進んでいる点。

わたしはどうやら過去にそういった燃えるものをあきらめてしまったのかもしれない。成長と変化のために大切なものをどこかに置き忘れたのかもしれない。新聞を見て思い出した。どこかでもう一度お目にかかりたい。