英語との付き合い方

大学までは受験英語。入学後も英語を学ぶ。その方がよい。そうはいっても読者の大学生の方たちはじゃあ、一体英語力はどのくらい必要なのか。そういった疑問を持っていることでしょう。これまで大学生にとって英語は大学に合格するために学んできました。

中学1年生のときから大学生になるまで6年間。その後大学4年間を過ごしたとすれば10年間。10年英語を勉強してどのくらいのレベルに達しているか。あるいは達していなければいけないのか。そういったことに対するわたしの意見を書いてみます。

大学卒業時、22歳。就職を控えて英語力がどこまで達しているといいのか。そういう疑問です。前提を書きます。

大学というところは高校と違います。高校は普通科といっておそらくいまでも国語・数学・理科・社会、それに英語が加わって5大教科といわれるものを学びます。それに体育や芸術(音楽、絵画)というものを学ぶこともあります。大学はどこが違うかというと専門的なことを学ぶ。なので大学4年生になっていれば専門をある程度極めていなければいけない。

例えば経済学。これはマクロ経済やミクロ経済の理論を学ぶところ。金融機関に就職する人たちが多い。経済学部→金融機関という就職口になりましょう。金融機関というのは銀行、証券、保険。不動産もありましょう。

また機械工学。機械ですから将来は重工業、自動車、船舶といったところです。電気工学。データベースやネットワークを学ぶ。卒業後はIT企業に就職する。コンピューターを使った仕事をします。


英語のレベル


そういった専門性をある程度大学で習得した。あわせて大学在学中に英語力がどのレベルまで達していなければいけないのか。

その前に専門を磨いたのだけれども英語はあくまでも趣味にしたい。趣味で海外旅行にいったときに必要なくらい。だから英語を学んでおこう。そういうひともいるでしょう。旅行先で困らないようにしたい。ちょっと仲間にかっこいいところを見せてみたい。そこで受験英語ではない英会話を学ぶ。それがあります。

この趣味で学ぶ英会話というのはあくまで趣味。レベルはある程度あればいいのではないか。これが一例です。

Rarejob, ウェブサイト

この表はオンライン英会話のレアジョブのホームページから引用しています。これによると旅行にいって困らない程度の英語レベルというのはA2です。A2というのはTOEICでいえば500点くらいです。500点をとれるようであれば海外で特に困ることはない。電車やタクシーに乗れて食事がオーダーできる。十分です。さらに旅行先で音楽やスポーツについて外国人のひとと会話ができる。

もう少しレベルをあげておきたい。外国人と興味のあることについて30分程度の話がしたい。それにはB1の下のレベル。TOEICでいえば600点。

もう少し高いレベルをめざす。ボランティアガイドとして浅草を案内する。そのガイドを養成する研修にも無理なく参加できること。そうなるとB1の上のレベル。TOEICでいえば700点。まずこのくらいはレベルとして持っていたい。ガイドをしながら外国人の観光客とやりとりができる。わたしはボランティアガイドを18年間浅草でやりました。

600点あればガイドはできるといえましょう。ボランティアガイドとして十分に活躍できます。700点あればさらにいいでしょう。国内にいてガイドとして活動ができます。

海外旅行ができて旅行先でちょっと外国の人と話ができる。ほとんどの大学生の方はここまでは英語のレベルを上げておくのが必要でしょう。600点はほしい。無理ではないはずです。

ところが大卒で専門をもつ。例えば経済学。理論だけでなく普段から新聞、テレビ、ネットで起こっているニュースの中からある程度の幅を持たせて幅広くを理解する。そうなると経済だけでなく政治、経済、社会といったところまで範囲が広がる。国際社会についても広げる。そして法律、ビジネス、技術、文化にも広げていく。そういったところまで英語で理解して討議する。つまり論理的に話がしたい。そうなるとB2。つまり700点を超えて800点に向かうのです。

このTOIEC800点、上級レベルにいくことが大学生にとって英語レベルの最終目標でしょう。大学生で800点をとれる人はそんなにいないはずです。しかしながらこの点数に向けて英語を学んでおくことは意味があります。なぜでしょうか。つぎの表を見てください。

日米会話学院、ウェブサイト

この表は四谷にある日米会話学院のホームページから引用しています。ここは良質な教育をするところで知られており、講師の方々も英語教育の専門家をそろえています。試しに受けてみることをお勧めします。わたしは社会人になって東京に来て通っていました。

めざすはB2、上級1です。ここのレベルに到達する。ここではじめて論理的に話せるかどうかが問われます。しかも抽象的な話題についてもとりあげて話すことができる。これはアメリカの大学レベルに近い英語力です。ここまでくると英語が楽しくなります。わかるというのがこれほど楽しいものなのか。

ただ10年英語を学んだからといって800点がとれるかというとそうでもありません。英語学習には試練がつきものです。中学の時からはじめて、毎日最低30分できれば1時間。それを大学卒業までの10年間欠かさず読む、聞く。そしてなるべく話す。こうしていればとれる点数でしょう。大卒のときに800点あれば就職先では褒められることでしょう。だからといって就職できるわけではありません。

その上もあります。C1といってTOIEC900点以上。950点にも近いレベルです。さすがにここまで極める必要はない。800点で十分です。C1というのはネイティブと同じように話せるということです。アメリカの大学で単位がとれる。またはビジネススクールにいくことができる。MBA向けです。そういったひとたちであって日本で仕事をするひとがめざすところではない。

日本で仕事をする。そこでは日本人相手に仕事をしている。なので英語は必要だけれども日本語で仕事ができてしまう。であればそちらを使った方がいいではないでしょうか。わざわざ外国語で仕事をする必要がない。ただしアメリカの大学院にいくのは900点はいるでしょう。また海外移住をして現地で仕事をするとなったら800点はあったほうがいい。

大学卒業で22歳。35歳まで続けたとして13年間あります。そこまでかけて800点に近づければそれでいいのではないでしょうか。もし600点あったとします。13年かけて200点スコアをあげるのは無理ではないでしょう。

さきほどいいましたが毎日30分。それを13年かける。それでも200点あがらなかったらどこかおかしい。やり方が間違っているか。友人に相談してみましょう。その友人がある程度のスコアを持っていることが前提です。

格安オンライン英会話講師の選び方


2020年2月からはじまったコロナ過もほとんど終わりかけています。2024年明けにはコロナという話題もなくなることでしょう。ただコロナ過の影響はしばらく残ります。代表的なのがリモート学習。このリモート学習というのはズームを使ったものが多い。使い方が簡単で40分以内であれば無料で使える。ただセキュリティはあまりよくないと聞きます。

コロナの影響を受けて外国人観光客が日本にこなくなりました。わたしは東京SGGクラブというところの会員でボランティアガイドをしていました。2003年に会員資格をとり18年目を迎えるところでコロナだった。途中、偶然にもアメリカの大学院で教えてくれた教授がたずねてきてくれたこともありました。留学先の学生も観光客として招待されて来日。そのときわたしはガイドを務めました。

ガイドは浅草観光センターの表玄関のところで終えてミシガン大学の校歌をみんなで熱唱した。最高の日でした。しかしコロナがはじまるとその影はガイドに重くのしかかった。観光客がこないのです。

英語をしゃべる機会がない。どうしたらいいか。クラブの会長に相談した。すると民間のオンライン英会話というのをいくつか紹介してくれた。Rarejob、ブートキャンプ、DMMと格安で30分しゃべれるということだった。わたしはその中で会長のお勧めのRarejobというのに登録しました。一番安いプランを選択し4000円くらいだったと記憶しています。

しばらく続けてみるとどうも腑に落ちないことがありました。どの講師を選べばいいのか。男女、年齢、講師歴、大卒。そういったプロフィールが紹介されました。適当に選んで予約した。

予約をするときどんな教材でどんなテーマで話したいか。それをあらかじめ講師に伝えておくことができました。時間がきたら入室すれども講師は必ず2分くらいは遅れてくる。3分ということはありませんでした。でも時間通りには決して始まらない。これくらいはいいや。事務局にクレームをしないことにしていた。しかしながら教材を指定しているのに予習は一切してこない。これでは教材を指定をする意味がない。

受講生の希望するテーマを講師が事前に予習することはない。そうするとテーマを説明するだけで5分~10分は過ぎてしまう。実際に内容について話す時間は15分程度になりました。さすがにこれではいけないだろう。それをクレームとして数回事務局に日本語でメールしました。

ところが一応、返事はくれますが決まって「指導しておきます」だけだった。ほんとうに指導したかどうかは定かではない。というのはその後も講師が予習をすることはなかった。講師側にそういう動機がないのです。

しばらくすると予約した講師がキャンセルをしたいといいだした。代わりに他の講師を指定してきました。それは写真付きでプロフィールが載っている。30代の美しい看護婦さんだった。わたしが話したいテーマとはかけ離れたひとだった。これもキャンセルした。

こういった経緯を東京SGGクラブのズーム会議に参加してきたボランティア会員に話をした。すると若いきれいな看護婦さんが代行なんてラッキーじゃないですか。わたしなんか若い男性はいっさい代行で割り当てられたことがないです。そういうジョークで切り返された。わたしはあきれてこの会をやめようかとも考えた。

ではガイドクラブの会長はどう答えたか。講師選びのコツはなにか。以下が答えでした。

まず講師経験の長いひとを選んだ方がいいとのことだった。1年未満のひとはまだ講師として日が浅い。オンラインになれていない。講師としての苦労を知らない。多くの講師が給料が安く、かつ、やりがいがないためすぐにやめていく。しかしながら長くやっている講師はそういうことを心得ているということだった。これは正しいです。

次になるべく年配の人の方がいいということだった。20代や30代はデートのようなものである。できれば50代のベテランが落ち着いて話せるそうでしだ。内容としてもしっかりと論理性を持っている。話をしていてもまともとのことでしだ。これも正しい。

最後に長い講師歴を持った50代のベテラン講師に加えてできれば大卒の方がいいとのことだった。フィリピンではリモート講義で大学卒業資格が得られる。そこで形式教育を受けたひとのほうがしっかりと話してくれる。大卒を選ぶこと。しかも専門科目を履修しているため知識があるとのことでした。そういったことから専門の話をしてくれます。

わたしが気に入っていた講師は二人いました。ひとりは環境学を学んだ50代の男性。もうひとりはコールセンターで働いていた50代の男性。この二人に関しては不満はありませんでした。しかしながら他の若い講師と対話したときには不満が残りました。

オンライン英会話はおしゃべりと割り切る必要があります。どうも日本人のシニア会員がフィリピンの若い女性としゃべりたいという願望があるのでしょう。そういったケースがあまりにも多いため事務局がわたしに看護婦あがりのひとを割り当てたのではないか。

格安は所詮は格安です。期待してはいけません。もう少しましなことを希望するのであればちゃんとしたところを選ぶことです。たとえば四谷の日米会話学院。あるいはベルリッツといったところ。お金はかかりますがそちらの方がいいでしょう。先生がちゃんとしているし変な生徒が来ることはありません。

恋愛より英語力向上を目指す


いつも大学生の読者に向けて書いています。それは過去10年大学で講師をしていた経験があるためです。大学では主に経済学部の学生を対象に経営学を教えていました。そこでは企業研究と就職支援が狙いでした。わたしの職務経歴として外資系企業が長かったこと。17年。日系企業においても商社と商社系のシステム会社に計8年いたこと。そこでどうしてもやってほしいという依頼があったのです。

それは海外留学をする。また国際舞台で活躍する。この二つの内容ははずざないで学生を育ててほしいとのことでした。そうなると英語というのはどうしても出てきます。そういった背景からここまで英語力は一体どのくらいのレベルまでに達していればいいのかということをお話ししたつもりです。

毎日30分。読む、聞く、話す。どれでもよい。大学のキャンパスの中でできます。キャンパスの外にある学校には通う必要はないでしょう。オンライン英会話などやる必要もありません。ただ英語は毎日やらないと伸びない。急にスコアがあがるわけはありません。

そうはいっても大学生というのは18歳から22歳。まさに若さ溢れるバラ色の大学時代です。そんな中でどうしても気になるのがボーイフレンドとガールフレンドでしょう。この恋愛感情にどう付き合うかというのがあります。大学生くらいになれば魅力的な異性はキャンパスにいるものであり、その人が気になって仕方がないはずです。わたしがそうでした。それがひょっとしたら英語学習に影響を与えることがあるでしょう。

早ければ高校時代にそういったことに芽生えることがあっても不思議ではない。わたしの場合は高校時代はバレーボールと女の子のことばかりを考えてしまった。そのため英語学習はおろそかになり受験勉強をしてもなかなかスコアはあがりませんでした。雑誌で外国人の女性を見るとなにかモデルのようでとてもきれいでした。しかし身近にそういったひとがいなかったためのめり込むことはなかったといえます。

さて恋愛と英語とどちらが大事なのか。そういった選択肢があるとします。人によってはそんなことを比較することは馬鹿げている。きれいな女性やかっこいい男性がキャンパスにいるのに英語などと言っていること自体がおかしい。そういう質問はあることは承知しています。恋愛の方が大事に決まっているではないか。確かにそれはいえます。

しかしながら英語というのは毎日学ばないと伸びない。決まった時間を費やす。耳を慣れさせ、読む習慣をつくり、そして話してみる。場合によっては書いてみる。そういうことを長く続けることで初めてものにできます。18歳までは受験英語。大学になったら専門分野で使われる英語を学ぶ。そして話すために学ぶ。会議に出て発言したり、舞台でプレゼンをします。へたでもやったほうがいい。だれでも最初はうまくいきません。こういった試練はいいことでやりがいのあることです。

そうなると恋愛とばかりいってられないときがあります。毎日30分とはいえ、これを欠かさず続けるというのは簡単ではない。必ずどこかでサボってしまうことある。そうするととりかえすのが大変です。1日サボれば挽回に2日かかる。2日サボれば4日かかる。ズルズルとやらなくなってしまう。それはとてももったいない。

LINEででれでれと夜遅くまでクラスメートと話している場合ではない。学ぶ英語というのはそれほど簡単でないことがあります。恋愛のことは多少はあります。映画や演劇では恋愛というものを取り上げます。しかし将来就く仕事ではそんなに多くはない。仕事はお金儲けですから。

恋愛より英語力を鍛えることが大事です。もし恋愛が英語学習するさまたげになるようであればさらによくありません。ただし場合によっては恋愛を優先させたほうがいい。そのような場合もわずかながらあります。

まずちょっとだけ気に入った相手がいるとします。まあお茶のみ友達というかいっしょに映画を見に行く。あるいはランニング・クラブのチームメイトであったりテニス同好会の仲間であったりします。いつもいっしょにいてイチャイチャする程度です。でもそういうときにはちょっとこの11月くらいから積極的にお誘いをしていた方がいいことがあります。

たとえば映画に誘う。12月からはクリスマスの夜に東京駅のイルミネーションを見に行く。お正月に向けて話題の映画がたくさん公開されます。映画を見て軽くカフェにいって土日のどちらかを過ごす。これには賛成です。そしてお正月になったらどこかに遊びに行く。ディズニーでもいいですし上野にある博物館・美術館でもいいでしょう。そこでお茶をいっしょにして土日のどちらかを過ごす。そうやって週末を過ごすことはいいことでしょう。いわゆるデートです。

まあ英語にいきずまっているとかそういうことは話す必要はない。息抜きにもなります。軽い運動にもなるでしょう。

そして2月になったならばバレンタインデーがあります。そこでチョコレートをもらえるかどうか。これが結構男性にとっては励みになる時があります。2月にはいってから急にチョコレートをねだっても女性からもらえることはありません。2月よりもかなり前からいろいろなところに誘っておくことでしょう。するともらえる確率が高くなるそうです。

チョコレートと英語。どういう関係があるのか。あまり詳しくは書けませんがこういうことがありました。千葉県柏市にある東京大学柏の葉キャンパス。そこのコンビニエンスストアの入り口にお客様からの声というコーナーがありました。そこでこういう声があったのです。それはコンビニの店長に向けての質問でした。

その質問者は大学院生で23歳の男性でした。5年間彼女がいない。店長、どうしたらいいか。そんな内容でした。その質問に対して店長はこう回答したのです。統計によると20代の男性60%がガールフレンドがいない。またガールフレンドにしたいという対象すらいない。しかしあなたはガールフレンドをほしがっている。そうであればチョコレートの季節に急にチョコレートをほしいといっても遅い。日ごろから女心の研究を深め、じっくりと映画に誘う。お茶をいっしょにする。あるいはランニングをする。そうしてください。

さすがに研究熱心な大学院だと感心しました。

そうなのか東大生であってもはやり彼氏・彼女のことは気になるんだな。しかも専門分野の研究一筋というわけではない。ということはバレンタインデーに向けて数か月は英語の勉強を少し減らすのはいいのではないか。後々の励みになるであろうから。

ですので12月、1月くらいは少しペースをゆるめてもいいかもしれません。そういうことがなければ恋愛よりも英語の学習を優先すべきでしょう。

さらにもうひとつ付け加えることがあります。それはもし好きなひとがいるとしましょう。あるいは気になる異性であってもいいかもしれません。もしその人がとてもいい人で、かつ、両親がとても裕福な場合です。その場合は英語の学習のペースを落とすことには賛成です。それは卒業後もお付き合いをして後々結婚をするためです。

大学時代というのは異性に多く出会える4年間です。そこはある程度同じような背景を持った学生で構成されており、同じような環境で4年間を過ごします。大学に行く目的は結婚相手を探しにいくことが第一ではないにしても将来のパートナーになるひとがいる確率は高いです。特に首都圏にある大学ではそういった事情と素性が同じような人が多い。そうなると親にとっても安心なのです。

私立大学の場合はさらにその確率が上がります。東京六大学に通う大学生にとっては将来のパートナーが同じ大学であったほうがいいでしょう。そういった場合は大学時代にデートを重ね、将来30歳くらいになったところで結婚をするというのはとてもいいことなのです。

しかしながらこういった恋愛がうまくいくとも限りません。であれば英語を毎日学ぶ。そちらの方を優先した方がいいでしょう。それは専門を磨くため。視野を広げるため。そして将来は海外で活躍できるようにするためです。その機会を失うようなことですとそれはもったいないです。わたしは講義をしていてこれがいいたかった。伝わったかどうかわかりません。

英語力と年収の関係


英語力がある場合、はたして年収と相関があるのでしょうか。つまり正の相関があって英語力があるほど年収が高いのでしょうか。そういった文章を書いてみます。

結論から言うと英語力と年収には正の相関はありません。関係が全くないとはいいません。英語はできた方がよいです。しかしそれで高い年収がもらえるわけではありません。理由は英語は必要条件であって十分条件ではないからです。

英語を使う仕事は様々なものがあります。わたしが経験した仕事では外資系銀行員というものがあります。確かにバブル時代は年収はよかった。しかしいまでは外資系銀行員というのは前の時代ほど年収がいいわけではないでしょう。日本のメガバンクとそれほど変わらないのではないでしょうか。投資銀行はリーマン・ショック後は壊滅的になりました。

経営コンサルタントはどうでしょうか。外資系の経営コンサルタントが頭に浮かびます。マッキンゼー、BSC、ベインといったところが筆頭に挙げられます。おそらく30歳くらいで1800万から2500万くらいの年収があるのではないでしょうかか。あくまでこれは予想です。しかし彼らのクライアントは日本のひとたちであり英語でレポートを出すことは多くないはずです。それよりプレゼンも日本語でする機会が多いはずです。

商社員はどうでしょうか。確かにわたしが三菱商事で働いていたときは多くの人たちが海外赴任の経験のある人たちが多くいました。商社ですからそれこそ世界各国にネットワークが張り巡らされています。そこで海外とのやりとりも多く発生しています。しかしながら社内では日本語によるコミュニケーションがほとんどでした。できてあたりまえなのですがそれでどうということもなさそうです。

わたしは経験したことはありませんが大使館の職員や国連の職員というのはどうなんでしょうか。IMFのエコノミストであればシニアエコノミストとして2千万円以上の年収はあるはずです。ところが一般の職員にいたってはそこまで高額な年収はもらっていないのではないか。そう予想します。

ではこういった比較的年収の高いはずの仕事で英語がそれほど使われない。ならば英語力がなくてもいいといっているわけではありません。わたしは英語は仕事に活かせるだけの力は持っておいた方がいいと思っています。ただし英語力があるからといって年収が高くなることはなさそうです。

海外留学の推移、特にMBAは減っていることもあります。外資が日本の客を相手に仕事をしていることもあります。そして年収の高い職場で必ずしも英語を必要としていないことがあげられます。

まず海外留学の推移です。日本人の海外留学。特に長期という1年以上の滞在期間を経て単位取得を目的とした留学数は減ってきています。年平均5万8千人程度です。中国やインドではアメリカの留学が増えています。おとなりの韓国でさえ10万人が留学します。しかしその韓国より人口が倍以上いる日本は留学が減ってきており増えないのです。

経産省、未来人材

ということは若い人が海外留学に行きたがらないということがいえます。学費や滞在費用が高いというのもあります。しかしもっと大事なのが留学をしても年収があがらないという実態があります。日本の会社で雇用されている場合は留学経験や英語のスコアが高いということだけで報酬がいいと聞いたことがありません。つまり差がつかないのです。

次に外資系企業においてです。外資では英語ができてあたりまえです。特に上司が外国人である場合はそれは必要なことであってそのために日系企業よりもやや年収は高いといえます。しかし外資は日本の会社と取引をしている。その取引先が日本であれば日本語を使います。特に外資系であっても日本人の社員が9割以上の場合は英語はほとんど使わないでしょう。無理に英語を使ったことで誤解を生じさせるようなことはしたくないはずです。

外資であっても英語がそれほど得意でない人も多い。理由はそれ以外に得意なことがあるからです。ITエンジニアやデータ・サイエンティストはむしろモデリングをする方が大事です。そういったところで英語のマニュアルは読むことがありますが研究職である場合は日本語で仕事をしています。

またさきほどあげた留学の中でもMBAが減ってきている。それは国内にいいビジネススクールがあるからです。グロービスですとか一橋大学ICSは国内に居ながらにしてMBAが取得できます。そういったところで学ぶときは100%英語でやるわけではない。日本人の先生も多くいます。

そして年収ランキングがあります。東洋経済が出している30歳での平均年収という記事があります。それによると年収が高いところはM&Aの会社、商社、不動産。そういったところがあげられています。それらに属する社員は基本的な英語は理解できるでしょう。しかし日本語の方をたくさん使う。仕事ができればいいわけであって英語はツールとして持っているだけです。仕事ができるというのは文字通りお金を稼いでくる。結果を出してくるということでしょう。

日本人の中にいて英語を意識的に使うということはそれほどありません。むしろ内容面で取引ができるかどうかが大事であって売っているものが相手に伝わり買ってくれなければお金がついてこないのです。

英語はひとつのスキルとしては重要です。ですが必ずしもそれだけで年収の高い仕事にはつけない。また英語力をあげれば年収が高くなるわけでもない。英語とお金。どちらが大事かといったらお金に決まっている。そのお金を稼ぐのが仕事であるからには仕事に必要なものは何かです。そのひとつに英語があってしかるべきであり、そのほうがいいに決まっています。

最後に35歳から英語は使うようにする。仕事に役立つためには必ずしも十分ではない。そういった内容で文章を書いてみました。大学生の読者の皆さんはどうでしょうか。そうはいっても入社をするときには英語ができるかどうかは差になることは確かです。30歳くらいになったら次第に英語力よりも仕事ができるかどうかで年収が変わってきます。

英語学習は35歳までに終える


33歳でアメリカから帰国した。これで英語圏から離れる。そのことにちょっとした戸惑いと安心がありました。戸惑いとはようやく英語圏のことがわかりはじめたからです。これで終わりにしていいのか。安心とはどんなに英語圏にいたとしてもアメリカ人にはなりきれないだろう。言葉の壁というものは消えない。さてこのまま英語学習は続けた方がいいのか。どこまでも中途半端のようでした。

これだけは確かだった。20年以上英語の勉強はした。もう受験のためや学校の試験のための英語学習はやめよう。いや、やめたくなった。

わたしは外資系企業に就職が決まっていました。渋谷にある日本コカ・コーラでした。そこで1年くらいしてから社内でTOEICを全員が受けるようにと辞令がありました。試験は社内会議室で受けれるという。TOEICってなんだろう。わたしはよく知りませんでした。初めて聞くような試験でした。ただ、ざっと過去の問題を見たところわざわざ試験対策をするまでもない。なんの準備もすることなく受けました。

後日結果が送られてきました。けっこうできた感触はあったのです。935点。これってどうだったんだろう。どう評価すればいいんだろう。満点は何点なんだ。後で聞くと990点という。そうか、じゃ、それに向けてやればいいのか。一瞬、そう思ったが立ち止まりました。はて55点あげるのにどんな意味があるんだろう。おそらくもうわたしには点数をあげるだけの意味はないのではないか。

多くの人が英語学習をしています。いろいろな目的がありましょう。海外移住、海外留学、そして海外旅行。主に英国やアメリカに向けて。中には欧州やオーストラリアというもの。人の関心事はさまざまです。専門をさらに磨くために大学院に行く。海外に移住するため生活全般のことを英語でできるようにする。海外旅行であれば交通機関やホテル、あるいはスポーツや音楽といったことまで対象範囲が広がります。

ただ、わたしはいろいろな目的はあるけれども英語学習は35歳までに終えた方がいいと考えています。ここでいう英語学習というのは意識して英単語や熟語を覚えてボキャブラリーを増やすこと。さまざまな構文を学習してそのために時間を使うこと。またヒアリング、読書、そして映画視聴などから英語を学ぶこと。そういうやり方はそろそろ卒業したほうがいいでしょう。

35歳までに英語をある程度ものにしておかなければそれ以降はやってもしかたがありません。まったく止めるということでもないのですが。

それは以下の理由によります。まず英語は35歳になったのなら学習するものではなく前提となっていなくてはいけません。つまり英語を使って何かをすることになっているはずです。それはどういうことでしょうか。

まず仮説をつくる道具として身に着けていること。仮説とははい(Yes)、あるいは、いいえ(No)で答えられる設問のことをいう。これが明らかに日本語と違う点。アメリカの大学院ではいくつも状況設定からどれだけの問いがつくられるかを学びます。その問いをいかに磨くかということを学びます。

まさにこの仮説構築力を学ぶのが大学院の目的であるといってもよいです。どれだけたくさん問いを持ち、そこからどれだけに絞りこむことができるか。さらにそれをどれだけ深堀できるかというのが英語を使う魅力です。まさにイシュー(課題)がどれだけ具体的になっているかということが問われる。問題解決のための道具です。これが仕事で役に立つはずなんです。

次にそれを賛否に分けて人とディベートをする。そこに英語に妙味があります。これは日本語ではできません。日本語で議論をしてしまうとどちらかが正しくてどちらかが間違っているということがはっきりしません。切れ味の悪い話になることが多い。これは日本人の使う日本語と文化によるところが大きいです。ところが英語で議論をすると切れ味がとてもいいことが多い。

それは言語として論理性が日本語よりもすぐれているところにあります。一体、どっちなんだというときに決めるのがわかりやすい。ビジネスにも向いています。二項対立の形式をとりどちらかに一旦軍配をあげさせることができます。こういった形式は日本語ではなかなかとりにくい。

日本語は感じる言語であり、日本人は感傷的であることもあります。ほとんどが感情に支配されて動きます。そのため論理的ではない。英語は論理的です。特にアメリカではそうなっている。日本人は数学はアメリカ人よりできますが数学を使って物事を決めません。

最後に英語学習をやめよというものではありません。英語は聞く、読む、見る。さまざまな方法を通して情報を得る道具として使えます。特に学術研究においてはまず英語で発表されます。日本語ではほとんどないか遅い。経済学やITの先行論文はほとんどが英語になっています。

いち早く最新の話題を入手するには英語が一番よいです。学術論文には仮説が必ず含まれています。仮説を証明するものが雑誌に掲載される。理論の証明の手法が統計を使う場合が多い。なので形式は決まっています。そういったところを英語で情報収集するメリットが高いです。

そういう特質があるため35歳を過ぎてからさらにボキャブラリーを増やすとか文章を学習するということはしないほうがよいです。

むしろ英語の原文をたくさん読む。そこで文章の流れをつかむ。ニュースや映画よりも良質なポッドキャストや動画を見て情報を入手したほうがいい。特に識者(大学に籍をおくもの)が一般向けに解説してあるものに触れるのがいいでしょう。

Talks at Google、TED(これは一般人も多い)、the Economist、ポットキャストの中からディベートや知識を増やすための番組。こういったものをとりいれるのがいいです。

わたしは35歳からそれほどボキャブラリーが増えてはいません。ただ読む量は大学院時代ほどではないにしても多い。読み続けている。聴く量も多い。毎日必ず聞いている。映画は前ほど見なくなった。それでも意識的に英語の方が日本語よりも多く使っています。

多くの読者は英語を学習しはじめたのはわたしと同じ中学に入ってからだろう。ということは13歳。それから35歳までとなれば22年は学習してきたことになる。十分でしょう。やめる必要はないが英語学習を続けていくならば少しだけ見直してみるのはどうでしょうか。

仮説構築、論理的な討論、そして先行研究。そういった場面で英語に触れるというのはとてもいいことです。一方、ニュースや映画を英語で見てもそれほどためにはならない。まさに英語を学ぶことから英語で学ぶことにする。そのために35歳になったら英語学習を終えた方がいいです。

ここまでどうでしたでしょうか。参考になりますように。