学習イベントの運営負担を減らす方法

2020年2月からはじまったコロナ過。それにより多くの人が家で過ごすことを余儀なくされた。もうすでにコロナは終わりかけている。終わりかけているといってもこの余韻はしばらくは続くであろう。影響として大きかったのはどうやって学習を続けるのかということだった。ひとりでできることばかりではない。

そこで多くの人がこれまで対面で学習をしていたことをリモートに切り替えた。そこで登場したのがズーム学習だった。対面学習に比べたら主催者の負担は軽減されたかに思えた。しかしあいかわらずリモートであっても主催者の負担は軽減されないこともある。それにより学習に支障をきたし、また、友達とのネットワーキングにも影響が出る。そうであってはならない。

では主催者の負担というものはどういうものなのだろうか。そしてその負担を減らして学習効果を高め、かつ、ネットワーキングを効果的にする方法はないものか。それを探ってみた。

まず負担には2種類ある。ひとつはイベント案内を起こすこと。そしてイベント当日までにいろいろと整備することがある。もうひとつはイベントに参加して問題なく行われているかどうかそこをモニタリングすることだ。これが時間と労力がかかる。お金もかかるということだ。どういうことだろうか。例を使って説明しよう。

2010年からとぎれなく行われているエコノミスト誌を読む会というのがある。わたしは2011年6月から継続して参加している。途中、コロナになってから3年のブランクがありひさしぶりに参加してみた。facebook上でグループが形成されており、だれでもメンバーになれる。運営はたいへんである。

まず日曜日の9時から11時までのイベントを起こす。これをやらなければならない。エコノミスト誌の表紙を切り取りイベントページに張り付ける。そうすればイベントがグループ内にできあがる。しかしこれを毎週だれかがマニュアル操作でする。手間がかかる。自動化はできない。そのことを気にするだけでも時間をとられる。

そして記事が3つ以上投稿された場合はアンケート調査をしなければならない。その結果をイベント内に掲示する手間がかかる。これも毎週、マニュアルでするとなると時間がとられる。

そして日曜日の2時間のイベントのために運営者として参加するのは容易ではない。そこでまずファシリテーターを選出する。記事の討議中は時間管理をしなければならない。また運営ガイドラインに沿ったやり方がされているのかどうか。そこを取り締まらなければならない。

どこまで形式的にやるのか。気軽なチャットですませるのか。毎週2時間をそれで使うのは手間がかかる。日曜日の午前中他に優先度の高いことをするというのは当たり前のことだ。しかしそれがイベントでとられてしまっている。

どうだろう。これにとられる時間というのはどんなに慣れたとしても週あたり3時間くらいはとられるであろう。イベントで2時間。そして平日に仕事をしながらちょっと気にかけただけで30分のロスになってしまう。感心しない。

そんなことがずっと気がかりだった。こうなるとあたりまえではあるが主催者は負担を減らしたいという要望が強くなる。

主催者であってももうイベントに来る必要はなくなってきている。来なくてもよく日曜日の朝2時間は他のことのために時間を使ってよいだろう。だれも無理をしてやる必要はない。ボランティア活動なのだから。

そこでわたしが提案したのは二つのことだった。

ひとつはこのようなイベントの運営を大学生を雇ってやってもらったらどうか。月5万円くらいの報酬を与える。それでイベントをつくり、投票結果をまとめ、イベント内での運営をしてもらう。月4回、2x4で8時間くらいの労働だ。時間当たり6千円となり悪くはないだろう。忙しい社会人がわざわざ時間をとってすることではない。

そのためには運営の予算を増額すること。年2回支払っている参加費をあげること。現在は上半期・下半期ともに3千円である。その参加費をアルバイトに報酬を与えられるように増額することである。年間予算は60万円(5万x12ヶ月)である。想定として10人の参加者がいるとする。であれば年6万円の参加費にする。

年50回くらいイベントは開催される。1回の参加費は計算上は1200円になる。無理ではなかろう。これくらいアルバイトに払わなければ大学生はこないだろう。これでも雇うことができないときはどうするか。

運営をアウトソーシングすることだ。民間のイベント主催者がいる。そこに当日の運営を含めてすべてお願いすることだ。民間であるから人件費やノウハウを計算に入れて見積を出してくれる。それほどかかるわけではなかろう。

このようなボランティア活動はすでにノウハウがある。その移行も難しいことではない。要は手間を外だしすればいいだけのことだ。見積をとらなければわからないが、おそらく月10万円くらいでやってくれるのではないか。とすれば外だし費用は10x12ヶ月で年間120万円。参加者10人としてひとりあたり年12万円になる。月1万円だ。参加をするのにそれほど負担にはならないのではないか。

わたしは主催者の負担が大きすぎないのか常に気にしていた。というのはイベントは起こすものの、ホスト役がイベントにこなくなってしまったからだ。それは運営側の負担が大きすぎることによる。それを上回るだけの学習効果が期待できない。またネットワーキングが有効でないといった判断がされている。となればやがていつかは離れていくことは予想できる。今のうちに手をうっておくのはどうか。そう思って提言したのである。

わたしはコロナがはじまってズーム会議に移行したときに怪訝な顔つきになった。これでは学習できないだろう。ネットワーキングもうまくいかない。であればこれまでどおり対面にしたほうがいいのではないか。

しかし対面にはもうならないイベントもある。ズーム会議はこれまでどおり続く。ならばリモートであっても主催者の負担を減らさなければならない。となればアルバイトを雇うか、運営をアウトソーシングするしかないだろう。

大学生の読者の皆さんはどのような感想をお持ちだろうか。学習イベントを運営していくのはたいへんなことなのです。大学の高い授業料の中にはこういった運営を円滑に進めるための裏側の苦労がある。授業料の中には教務課の人たちがいろいろとお膳立てをしてくれている費用が含まれている。そうでなければ大学の授業は成り立たない。

授業料を無駄にせずに学習をしてください。