ハチロク・リズム
6/8拍子(ハチロク)
6/8拍子(8分の6拍子と呼び、
ハチロクともいう)は様々なリズムに
変化する興味深いリズムです。
この6/8は一般的に複合拍子に
分類されます。
複合拍子は「同種の単純拍子が
いくつか複合された拍子」と定義され、
この他に9拍子や12拍子があげられます。
譜例1は8分音符3つの最小グループが
1小節内に2つで構成されているので、
通常2拍子と考えられます。
まずはタタタ・タタタ・タタタ・タタタと
感じることからはじめ、
その後、太字のタの部分が
1・2・1・2(イチ・ニ・イチ・ニ)という
サイクルでカウントできれば
自然な2拍子となります。
ここからが6/8の考えの面白い拡張例となります。
譜例2の6/8の拍子記号の横に書かれている
3/4は2拍子系である6/8拍子の後に
3拍子系である3/4が現れるという意味です。
この表記方法はクラシックでも時々見かけますが、
フラメンコの曲種であるシギリージャでも
使われます。
なぜ、こんなことができるかと考えた時の着目点は
6/8拍子ということは、1小節に8分音符が
6個入るということです。
これら6つの音は3音で
たばねれば2拍子(3×2=6)、
2音でたばねれば3拍子(2×3=6)に
なることを意味します。
1つの楽曲が2拍子だと
思っていたら3拍子になったり、
3拍子だと思っていたら2拍子に
変化したりするのは単純に遊び心があって楽しい。
ただし、6/8の上記のような概念は
知っておくべきだし、
譜例2のようなリズム譜には
慣れておく必要はある。
これらのリズムのトリックはもちろん、
音階を表現できない打楽器でもアクセントや
音色に変化をつけるだけでも十分、
表現は可能です。
譜例3は音階をだせる楽器が音程を
利用して6/8拍子において、
2拍子系と3拍子系を表現したわかりすい例です。
譜例3Aはドレミ・ドレミの3音グループなので
2拍子で感じる。
譜例3Bはドレ・ドレ・ドレの2
音グループなので
3拍子で感じざるをえない。
譜例4はギター協奏曲で1番有名な
ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」の
第1楽章の冒頭です。
2拍子系と3拍子系が効果的に使われている例。
譜例5ではアランフェスでよく使われる
2拍子系リズムと3拍子系リズムを
書き出してみました。
もちろん、これらのフレーズは
音程を伴って表現されています。
譜例6は6/8アフロと呼ばれるリズム。
ジャズやラテン音楽で使われます。
人類の祖先は10万年前にアフリカで誕生し、
世界へ広がっていったと考えられています。
このプリミティブ(原始的)でありながら、
多様な柔軟性をもった6/8はまさにアフリカ起源。
人類も音楽もアフリカから生まれたのでしょう。
わくわくするリズムです。
譜例7はクラシックギターのレパートリーから。
スペインのルネサンス期の作曲家、
サンスの「カナリオス」です。
このメロディーはロドリーゴのギター協奏曲
「ある貴紳のための幻想曲」の中でも
効果的に引用されています。
楽譜から2拍子と3拍子が
混在していることがわかります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?