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胡耀邦 党内の二種類の異なる矛盾を正確に処理する問題 毛沢東晩年の誤り  1986/04/09

『胡耀邦文選』人民出版社、2015年, 641-645(这是胡耀邦同志在端正党风
工作座谈会上讲话的一部分。1986年4月9日)

p.641  党内の二種類の異なる矛盾を正確に処理することは、私の見るところ、わが党建設の一大課題である。
    我々が忘れるべきではないのは、毛沢東同志によって、マルクス主義理論が発展しての高い峰となったときに、我々が世界の一切の事物の根本原理(方法)を明らかに認識するために、光り輝く理論著作『矛盾論』が書かれた。彼は言った、世界のあらゆるものは矛盾に満ちている。矛盾がなければ世界もない。我々の党もまた矛盾の中で発展し、前進したのである。党内にもし矛盾がなく矛盾を解決する思想闘争がなければ、党の命はすぐにとまってしまう。
  我々の一部の同志、とくに一部の若い同志は、この世界を改造を認識する根本問題において、具体実践がいつもベスト(上号)でないことに気付いている。彼は常に自覚しているかしていないかはともかく矛盾を恐れ、矛盾を回避し、矛盾を覆い隠している。それゆえこうした同志はしばしば自分が置かれた場所について、いずこも適切でないところにしてしまう。
 毛沢東同志は(19)50年代にさらに別の理論著作を書いて、社会主義社会の矛盾を二種類に分類した。これもまた光輝ある思想である。しかし第一に、彼はここで正確な方法で党内の矛盾を解決した歴史経験を述べたが、
p.642   新たな歴史条件の下での党内矛盾には踏み込んでいない。第二に、彼は「矛盾論」で党内矛盾には対抗性のものと非対抗性のものがあることを指摘し、以後この点を再度指摘しているが、彼は自身の晩年異なる性質の矛盾、特に党内の異なる性質の矛盾をひどく混同し、あまつさえ多くの問題を完全に顛倒し、「文化大革命」の発動に至って、党と国家に本来避け得た大災難を負わせたのである。
   一般的にいって、党内の矛盾問題は真剣に向き合うことが必要である。特にいえば、今日我々が実行している一連の改革政策の情況のもとでは、さらに真剣に向き合う必要がある。
   毛沢東同志の思考(思路)と私たちの今日の実際とを結びつけると、矛盾の内容と表現形態の角度から言って党内にいつも大量に存在する矛盾は以下の二つに区分することができる。一つは工作上意見が異なる矛盾であり、もう一つは個人利益と党と人民利益と(の間の)矛盾である。
 まず最初に党内の第一種の矛盾について述べよう。すなわち工作上認識上異なる意見の矛盾である。
 革命工作は極度に難しい工程である。一般的に言って(總的來説)長期の闘争の中で、異なる主張、異なる意見の矛盾は常に発生するものだ。工作中の誤りもまた避けがたいものだ。
 社会主義の建設はさらに困難である。というのは現実に成功した経験は存在しないからだ。このことは我々の党に全党の知恵をよく集中して、正確な方針を確定、正確は政策を制定、同時に認識上異なる意見の矛盾をうまく処理することを求めている。
 毛沢東同志は晩年、この種の範囲の矛盾の処理が上手くなかった。結果異なる意見を聞くことができないだけでなく、自分の意見に不賛成あるいは完全には賛成しない良い意見を、”右傾””資本主義の道を歩いている””反党”とする傾き(風気)を生み出した。
 我々の党は真剣にこの種の誤りの重大な教訓を吸い上げた。まったく異なる方法で、工作で認識上いつも生じる異なる意見の矛盾を解決した。
p.643  (1)重要な政策決定では、何度も反復して機運を高めたうえで決定する。(2)党の会議では党員に自由な意見の発表、誰であれ批判することを許し、誤っていたとしても保護される。(3)心と力を尽くしてそれでも生じた工作中の過不足は、正すことが認められる。(4)党中央の方針に不賛成でも、工作に違反がなく執行に努力するなら、意見の保留が許される。
    党内工作上の認識上の異なる意見の矛盾は、一般的には対抗的ではない。 t対抗性の矛盾になってしまうことは可能だろうか?当然可能である。すなわちこうである。(1)党中央の方針政策に対し、思想上の留保にとどまらず、工作中に抵抗した場合。(2)党の組織を飛び出て、党中央に対抗する主張や政策を広げた(散布)場合。これらは党の組織原則を破壊しており、つまり党の規律を破壊している。このような二種類の情況のもとでのみ、矛盾は対抗性を帯びうるし、このような人に対しては処分を厳粛に進め党籍を解除することができる。
 いまは(現在)さらに党内の別の種類の矛盾、即ち個人の利益と党と人民の利益のとの矛盾について話そう。またこれはどうのようなものか?
 我々はそれぞれの党員に個人の利益を党と人民の利益に無条件に服従させることを求めている。これは党員と非党群衆との根本の差であり区別である。我々は言う、共産党員の価値がある(不愧是)のは無産階級の先進部分だと。それは彼らが随時自然に党と人民の利益を個人の利益の上に置けるだけでなく、必要な時には自覚して自ら進んで個人の利益を党と人民の利益を維持保護するために犠牲にできるからである。しかし我々は常々多くの党員が、とくに一部の幹部党員がこの種の試練(考验)が通れないことを見ている。
 これは、党組織は党員個人の利益に関心は不要というのではない。可能であれば党組織は党員個人の利益に関心を払い、配慮し、党員と個人の利益と、人民の利益が適切に結びつけるべきである。
 一部の党員は党と人民の利益に関心がなく、一部の党員は党と人民の利益p.644  に熱意がなく、それなのに個人の利益は細かいところまで気にしている。
 一部の党員は個人主義が極端で、個人利益を党や人民利益のはるか上におき、法や規律を大きく破り、権力を私ごとに用いている(以权谋私)。これは完全に共産党員の基本的立場の悪用である。
 (中略)
 私は現在のわれわれの党内の主要な誤り(偏向)は、第二種の矛盾があった(搞过了)ということでなく、大量に存在する(搞重了)にあると考えている。この種の矛盾に対する主要な誤りは認識不足ではなく、すでに対抗性質、すでに先鋭に(人民と)対抗的矛盾となっているものにあえてまっすぐ立ち向かう、鮮明な姿勢(立場)の欠如である。これはまさに鄧小平同志が指摘したこと、軟弱である。我々はこの軟弱な状態を克服すべきである。
 克服の方法は、中央機関が先頭に立ち、各クラスの党組織の政治生活を整え(健全)、民主集中制を整え(健全)、党の規律を厳粛にすることである。遠慮なく言えば、我々の現在の一部の党組織は健康な政治生活とはいえない、关系学(人と人の関係に取り入ろうとする)が盛んで、政治空気は希薄である。いいかえれば低俗なことが多く、政治の原則の空気が少なすぎる。(以下略)

#胡耀邦 #党内民主 #個人利益 #腐敗


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