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趙紫陽 議会民主主義を実現せよ 2000

『趙紫陽極秘回想録』光文社 2010 翻訳第六部第五章 中国語版《國家的囚徒》時報出版 2009 第37章後半(録音は2000年前後とされている)

河野純治訳p.407 「我々社会主義国家の民主主義はすべて表面的なものにすぎない。国民が主役の制度ではなく、国民が一握りの、あるいはたった一人人間に支配されている制度だ。」
p.408 「西側の議会民主主義体制ほど強力なものはない。現在、実施可能な最高の体制である。民主主義の精神ははっきり表し、現代社会の要請にこたえることができる。大変成熟した制度である。」
p.410  「中国では、より円滑な移行のために、少なくともしばらくのあいだは、共産党の支配を維持しなければならないー同時に、党による統治の手法を変えていくのである。いまの時点ではそれが正しい方法であろう。」
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中国語版p.321 「我々社会主義国家が実行する民主制度はまったく形式だけで(完全流於形式)、人民を主人とするものではなく、少数の人甚だしきは個人の統治である。」
中国語版p.321  「みるところこの制度(西方の議会民主制)は現在得ることのできる中では比較的良いもので、民主をより多く体現し、現代の要求に符合しまた比較的成熟した制度である。現在これよりさらによい制度にたどるつくことはできない。」
中国語版p.322  「中国の情況を考慮すると、過渡期においては、過渡を上手く行うためにも、少なくとも一定期間、共産党の執政地位を保持する。(そして)共産党の執政方式を変えることが、なお一種の正しい(正確的)選択である。」

河野純治訳p.410「最終目的地が議会制民主主義だとしたら、支配政党は二つの壁を打破しなければならない。一つは複数政党制と報道の自由を認めることである。段階的でもいいが、かならず実現しなければならない。二つ目の壁は党内の民主化を図ることだ、すなわち、民主的な手続きを導入し、民主的な手段を用いて党を改革するのだ。」
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中国語版p.323 「執政党はまず二つの転折点(関)を通過せねばならない。一つは党禁、報道禁の解除(解放)であり、当然この種の政治開放は逐次的方式でよいが、ただし必ず通過する必要がある。二つは党内民主の転折点である。共産党内において徹底した民主制を実行し、民主的方法を用いて我々の党の改造を進める。」

河野純治訳p.411 「かつて戦争中から共和国建国初期にかけては、権力集中と規律に重点をおく必要があった。しかし、共産党がその内部において徹底した民主制を実践しなければ、革命の党から統治する党に変わることも、社会を議会制民主主義へと移行させることもできないだろう。」「戦時体制の国から、より民主的な社会へと変わらないのはおかしい。これは絶対に必要な転換である。もちろん。人民解放軍の国軍化という問題もあるが、それよりも重要な、法制度の改革と司法の独立を優先すべきである。」
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中国語版p.323「過去の戦争年代と建国初期において、確かに集中の強調、規律の強調は必要だった。しかし革命党が執政党に変化し、全社会を議会民主政治に向かわせる指導するにあたって、党内にもしも民主制度が不徹底であれば、これは(指導は)できないだろう。」「もしも我々の党が過去の戦争年代に適合した状況からでなく、民主社会、すなわち民主国家の新状況に適合するものに転変するとすると、それ(党内で異なる意見をゆるすこと)もいけないということになるので、この転折点は必ず通らねばならない。当然このほか、軍隊の国家化がある。さらに重要でさらに早く実行するべきなのは司法の独立などの問題であり、すべて必ず解決されねばならない。」

#趙紫陽 #民主主義 #政治改革

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