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陳雲 当面の経済問題 1978/12/10

這是陳雲同志在中央工作會議東北組的發言。《陳雲文選 第三卷 第二版》人民出版社1995年, pp.235-238

p.235   四つの現代化の実現は、わが国の歴史で前例のない、はじめての偉大な進軍であり、積極的かつ沈着に行う(必要がある)。
   今年7月31日、私は、かつて李先念同志に提出した。国務院が開催した討論会議(務虛會議)で数日の時間を用いて、もっぱら消極的意見を聞いた。我々はまずは積極的意見を聞かねばならず、また消極的意見を聞かねばならない。
 我々は実際に即すること(實事求是)を堅持しなければならない。すなわち現状に基づき、問題の解決を探り出す方法である。まず事実をあらわにする(弄清事實)。これが肝心(關鍵問題)である。
    1942年私が闘病していた時、毛主席の著作と電文(文電)を仔細に研究して、その中に、実際に即するという基本思想が貫かれていると感じるに至った。実際を明らかにすることは、容易なことではない。実際を明らかにする方法を私は六つの文字にまとめた。すなわち、交換、比較、反復である。交換というのは、つまり意見の交換を通じて、認識を全面に広げることである。意見を交換するには、積極的な意見を聞くことが必要なだけでなく、さらに消極的な意見を聞く必要がある。比較というのは、ひとつには左右の比較であり、たとえば毛主席は持久戦論を論じるときに、中国と日本の情況を比較した。すぐに勝てるという議論(速勝論)に反対し、亡国論にも反対した。正確な結論は持久戦であった。二つには前後の比較である。たとえば毛主席は統一戦線を講ずるあたって、陳独秀と王明とを比較した。一方はただ団結して闘争せず、他方はただ闘争して
p.236   団結しない。正確な結論は団結し又闘争することにあった。反復というのは、事情が一度定まったあと,(今一度)置きなおし考え直し、異なる意見を聞き直すというもの。もし異なる意見がなければ、なお自分でありうる反対意見を作り出してみる。我々が反復して研究する目的は、状況をあらわにして、事情を把握して上手に処理する(辦好)ためである。
 以下で私は経済問題で五点意見を述べる。
   (一)三五年の間、毎年の食糧輸入は2000万tに達するであろう。
 我々は緊張を広げることはできない。まずは農民にこの一件で安心させる必要がある。農民がもつ糧食、綿花、副食品、油、糖そしてその他の経済作物はすべて解決された。この件を落ち着かせる、すなわち大多数を定まった位置に置き、7億余りの人口を安定させれば、天下は定まる。
 建国から早くも三十年経った。現在なお飯が足らないでどうするのだ。すこし体を休ませるのだ(要放鬆一頭)さもなければ農民は息もつぐことができない。もしもこの問題を解決できなければ、おそらく農民は間もなく造反し、支部書記会は隊列を組んで都市に飯を要求して入ってくるだろう。
 「輸入食糧を食べることは修正主義だ」ということはできない。1961年廬山会議のとき、私は毛主席にフランスを経由して米国の糧食を購入することの可否について指示を仰いだ。毛主席はよろしいといった。現在、中米上海連合広報があり、直接米国から糧食を購入できる。
 輸入食糧の多寡は問題ではない(不要緊)。農民が落ち着けば事情はうまく処理されたのである(事情就好辦了)。もし食糧の輸入が多すぎる感じられたなら、年後半少し減らせばいい。食糧輸入の時間は少なくとも三五年、時間はさらに長くなる可能性があり、数量は少なくなる可能性がある。
 私はこれは重大なことであり、(今回の)経済措置の中で最大の項目だと考えている。
 (二)工業の外国からの導入プロジェクトは、一定の順序で進める(循序而進)べきであり,計画のまずさからの停滞(窩工)してはならない
  我々の出発点は鋼鉄3000万tである。しかしこの鋼鉄の指標だけを見ていてはならない。我々は日本、ドイツ、イギリス、フランスとは異なり、工業の基礎は彼らに及ばない。技術力量も彼らに及ばない。この2点はとても重要である。我々の工業の基礎と技術力量は
p.237  解放初期に比べてとても大きく進歩したが、日本、ドイツ、イギリス、フランスに比してなお遅れている。
   われわれはまた南朝鮮、台湾と比べることはできない。米国は意識的に彼らを支援育成した。加えて主要には加工工業を行っている。我々は現代化された工業システムを建設せねばならない。
 一定の順序ですすめなければならないが、過保護(一擁而上   抱いて持ち上げる)にする必要はない。過保護にすれば、一見早いだろうが、実際上は急いでもその目的は達せられない。プロジェクトは並べよ、失われても繰り上げ(補上)は簡単だ。計画のまずさからの停滞は、経費を増やすだけだ(窩工,就難辦了)。
   (三)各省市に一定数量の真正の機動財力を与えるべきである
 私が言うのは真正なものが必要だということで、有名無実ではだめだ。各省市の指導同志を信任するべきであり、彼らはみな共産党員であり、みな高級指導幹部である。私は彼らがお金の無駄遣いをするとは思わない。
 (四)生産と基本建設はすべて材料の不足があってはならない
 各方面皆進むとなると、しばしば不足が生じる、表面上は良く見えても、互いに押し合いへし合い。太っちょが痩せたのを締め出す。実際上は、締め出されるのは、農業、軽工業そして都市建設である。現在、購入員は東奔西走、これはそこからきている。
 材料に不足があると、中央プロジェクトか地方プロジェクトかを問わず確定(安排)できない。
   (五)観光事業の発展を重視すべきである
 私は観光局の一つの資料(材料)を拝見した。彼らの1983年計画では受け入れ(接待)は300万人、収入は30億米ドルが見込まれる。これはとても重要な情報(事情)である。観光プロジェクトは必ず優先して確定されねばならず、外国から導入する重要項目と同様に扱う(對待) ことが求められる。しかしまた、見る必要はないとするのはとても簡単で、大量の工作も必要だ。
 現在の観光事業は行政の仕事(行政管理)であり、なおビジネス(業務管理)としてではない。
 観光収入は外国貿易輸出収入に比べて、来るものが早ければ、得るモノも多い。イングランド三島の毎年収入は54億米ドル。われわれ中国はこのように大きいので、もっと多くの収入でありうる。観光収入は実際は「風景輸出」であり、年々の収入になるし、毎年多くありうる。
p.238   その悪いところはないか。無害だろうか?悪いところはある。その一つは外国がスパイを偵察に送り込むことである。それは現在もある。(それゆえ)これは小さく口を開けるか、大きく口をあけるかという問題である。その二。意思薄弱な人は買収される。(しかし)この問題は我々が注意さえすれば、何も起こらない。その三。外国人がわれわれの遅れた情況をみてしまうこと。これもまた問題ではない。われわれは本来先進ではないし、(われわれが遅れていることは)外国人がいずれ知ることだから。

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