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中国に関連して生じた事実

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https://blog.goo.ne.jp/fu12345/e/7cc5e1ad373775c11668b88a748c64a6 政治的文化的側面を中心に年代順に採録。
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2019年11月の記事一覧

岡本隆司『近代中国史』2013

岡本隆司さんの本を読むと、中国についてああそうなんだと何か少しわかったように思ってしまう。それでいてそのわかりよさに少し危うさをいつも感じる。以下は岡本隆司『近代中国史』ちくま新書 2013年を書棚から取り出して再び読んだメモである(写真は飯田橋駅付近横断橋より九段方面を望む 2019年10月30日)。 p.32-33 毛沢東時代の中華人民共和国は、対外経済とほとんど断絶したがゆえに、国内の統合を果たしえた、といっても過言ではない。そして現在、「改革開放」で各地が外との結

陸学藝主編《青春歲月在北大 哲學系1957級同学回憶録》2012年10月

 《青春歲月在北大 哲學系1957級同学回憶録》社会科学文献出版社, 2012年10月。内容はタイトルの通り、1957年に北京大学に哲学系で入学した人たちの回顧録である。記名されているのは40名ほど。 彼らはまさに1950年代後半、「大躍進」の掛け声のもと、農村に入っている。あの馬寅初(マー・インチュ)の形骸にまさに触れた世代である。最初本書を手にしたとき、そのとき考えていた馬寅初のことや、「大躍進」時の学生生活が読み取れることを期待したが、本書の内容はその期待を裏

北島/曹一凡/維一編《暴風雨的記憶》2012/03

  正式のタイトルは北島/曹一凡/維一編「暴風雨的記憶 1965-1970年的北京四中」生活・読書・報知三聯書店2012年。北京四中卒業生の回顧録(なお写真は名古屋駅前ビル 2019年11月17日夕刻)。ただ名前を連ねる人たちは皆社会的に活躍している著名人が多い。北京四中というのが、北京のエリートの集まるところだったことが分かる。しかしその四中も文化大革命の惨劇は、避けることはできなかった。掲載された文章はいずれも文革の実相を示す点で興味深いがここでは、文革期の惨状をかなり明

遠藤誉『チャイナ・ジャッジ』2012

 遠藤誉(1941-)さんの『チャイナ・ジャッジ』(朝日新聞出版2012年)を最初読んだとき魅了されたし、やはり中国に情報のネットワークを持っている人には、太刀打ちできないなと思った。ただそうは言いながら、どこまで書かれていることをうのみにしていいか戸惑うのも事実だ(写真は定泉寺石仏。左側に寛文十三年1673年の銘が見える)  本書冒頭の二つの章で主張されているのは、自身の名誉回復について胡耀邦(フー・ヤオバン)に恩義のあるはずの薄一波(ボー・イーボー)が、胡耀邦批判に回り、