中庭の役割

15年ほど前は『中庭=豪邸』のようなイメージが多かったように感じますが、ここ最近は中庭が割と一般的な要素になり、生活の中に取り入れられている気がします。その原因としては、もちろんトレンドということもありますが、敷地の狭小化や、プランニングの自由度アップなどが挙げられます。

中庭はプライバシー性も向上し、さほど広くない敷地条件でも直射日光や反射日光をコントロールできるので、非常に明るい空間を作り出すことができるのが非常に大きなメリットですね。私も個人的には大好きです。


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こちらの平屋は70歳のご夫婦様が暮らされているお住まいです。カラーバランスに拘り、長押を多用し、少しモダンな和風住宅を目指しました。

ロの字型に配置されたプランニングは、目の前に建つマンションからの視線を遮るために役立ち、軒の出を調整することで日射をコントロールしています。

そして中庭最大のメリットである『気圧の差を利用し、心地よい風を生み出す』ことで外が無風状態でも、気持ちよく過ごすことができるようになります。さらにリビング北側にトップライトを配置することで、生み出された風が室内へと引っ張られ、心地よく抜けていきます。


ある時、お施主様と中庭に面する窓に風鈴を取り付けました。窓を開けるとチリンチリンと気持ちのいい音が発生し、その音を聞くことで風を感じることができました。そしてそのあとトップライトを開くと、風鈴が大きく揺れ、大好きな音楽のようにずっと心地よく素敵な音を奏でていました。

この心地よく感じる風こそ、もっとも大きな中庭の効果であるといつも思っています。

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