見出し画像

~19年間、海のそばに住んでみて~(海のそばにいることで感じたこと)

僕は現在48歳。

19年前から今の町に住み、現在の家には16年弱住んでいる。

この町は太平洋に面し、北、南、東の三方を海に囲まれたところ。
面積は東北地方の自治体では一番狭く、人口は18,000強という町。

三方を海に囲まれているので、半島のようなものだ。

海沿いをぐるっと走れる県道があり、隣接している市からその県道を走ると、海を眺めたり、波に乗っているサーファーを横目に見ながら、ちょっとしたドライブができる。

でも東北地方で一番面積が狭いところなので、20分もあれば町を一周できてしまうという狭さだ。

「えっ、そんなもんで一周できちゃうの??」

と驚かれることも多い。


僕がこの町に住んだのは知人の紹介で家を借りたから。

仕事の関係で仲良くしていた人で、その人もこの町に住んでいた。

この町には特に縁もゆかりもなかったけど、
海のそばに住むのもいいかな~
なんて軽い気持ちで住んでみた。

職場までは車で20~30分。
特に問題はなかった。

妻の実家も車で30分もあれば行ける。

結婚したばかりだったので、お互いの実家からそれほど離れてないので、何かあっても大丈夫な距離。


小学生の頃も海のそばに住んでいた。
でも当時、海までは1.5kmくらいはあった。
それでも近いと思っていたけど、この町に住んだ時は海まで200mくらいの距離。

漁港近くだったので、釣りもしたし、天気のいい日は散歩もしたなぁ。


この町に住む前は、山が近いところがいいと思っていた。

山の方の少し田舎の景色がすごく好きで、ドライブするにもどちらかというと内陸が多かった。

山の雪景色はいまだに好きだし、山の幸も好き。

でも住んだのは海のそばだった。


海のそばで大変だと思ったのは一度だけある。
それは10年前の「東日本大震災」。

当日の仕事は早い時間からスタートだったので、14:30くらいには帰宅していた。
一度眠ろうと思って寝始めたら、携帯から初めて聞く「緊急地震速報」が鳴り響き、
「何、何??」
と思ってすぐにどでかい揺れ。

「やばい!!いよいよ宮城県沖地震が来た!!」
と思い、ちょうど家族3人いたので浴室に避難。

はっきり言って凄まじい揺れだった。
みんなも経験したことのないような揺れだっただろうけど、
「なんだよこの揺れ方!!」
と、もう恐怖。

そしてあの時の揺れの長いこと。
家の中はいろんなものが落ちてすごいことになっていた。

揺れている間に思ったのが、
「息子がまだ小学校から戻ってない。すぐに迎えにいかないと!」
ということと、

「絶対に津波が来る!」

ということだった。

停電したから、会社から預けられているガラケーでTVを見た。

そこには
【津波警報】【6m以上の津波】
の文字が!

その後すぐに
【10m以上の津波】
に修正。

びびったびびった。

絶対津波が来るとは思ったけど、10m以上ってやばすぎる!

すぐに着替えて息子を迎えに外に出ようと思ったら、ちょうど息子が友達と帰ってきた。

「良かったー!無事だ」

息子の友達も車に乗せ、高台に避難。

避難場所になっているところの駐車場に止めていたけど、普通は「でかい地震」と感じるような震度5クラスの余震が何度も来る。

あの日は雪が降っていたため、津波の第一波が来たときは車の中でラジオを聞いていた。

海が見えないところに車を止めていたから、津波がどうなっているのかはまったくわからず、ただ恐怖を感じていた。

天候が回復し、周りの車の人たちも車から降りて海が見える方に歩いていってたから僕も行ってみた。

もう【唖然】とするしかなかった。

海沿いにあった家々がほとんど無い。
4階建ての町営住宅は3階まで津波が来ていた跡がある。
田んぼは一面水浸し。
田んぼの中には何軒かの流されてきた家もある。

津波の恐ろしさを目の当たりにした。

自宅もダメだろうと覚悟した。

津波と余震を警戒し、20時くらいになってから自宅まで戻ろうと車を動かした。

いつもの道が通れない。
電柱が倒れて電線が道路をふさいでいる。

迂回しながら家の近くに行ける道はどこか探した。

自宅は無事だった。
でもすぐ近くまで津波は来ていた。
家だったであろう木片が当たり一面を覆っていた。

夜中には近くにある石油コンビナートが爆発、炎上。

もうこの世の終わりなんじゃないかとさえ思った。


その後いろいろ震災の影響はあったけど、それでも結局は海のそばがいいなと思ってる。

でも少し高い場所ね。住むのは。

あんな津波はそうそう起こるものじゃないし、津波にさえ警戒していれば普段は景色はきれいだし、海岸でぼーっとしてるのもいい感じ。

県境の山々は見えるし、海の向こうには直線距離で30kmくらい離れた半島も見える。

やっぱりこの町が好き。

海のそばに住んで良かったと思う日々。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?