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思い込みは恐ろしい。

遅延型食物アレルギーに引っかかった。そのことでずっと憮然としている。というか唖然としている。何しろお米が陽性反応した。つまりほぼ毎日自分にとっては毒を食していたのだ。血液検査結果を得て改めて思い返す。お米を全く食べなかった時期はほぼない。しかし、極力量を減らしていた時期はあった。そのうちの一つはブラジルに居た時期。もう一つはグルテンフリーを割と真面目にしていた時期。共にこの時期は体調が良かったと思う。自分にとって悪いのはお米と小麦。(その他にもいろいろあるにはあるが食べる量から考えると特に大きい影響はこの2種類だろう。砂糖を除いては。)実際、可能な限りお米を食べないで1ヶ月近く経った今調子はすこぶる良い。検査結果が正しいことを証明している。

今になって大きな原因が分かったことに唖然としている。即応型のアレルギーは知っていた。アレルギーを論じる上で必ず登場する IgEという抗体が関与していて血液検査の項目にも上がる。自分のこの抗体が正常値よりどれだけ乖離しているかは把握している。これに対し遅延型はIgGという抗体が関与していて文字通り食べてから反応するまでに時間がかかる。数時間から数日経って反応が出ることからなかなか気付きにくい。この遅延型食物アレルギーを調べる術として(通院不要の)血液検査のサイトを知ったのは今年の6月だった。知ったきっかけの盟友(と自分で勝手に思っている)はツイッターで連日その情報を流している。にも関わらず自分のこととして血液検査を受けたのは4ヶ月経った10月だった。

何故自分のこととして、少なくとも自分にも可能性があると受け止めて検査を受けずに4ヶ月も過ごしていたのか、この1ヶ月近く自問自答していた。それまで食べ物アレルギーは子供に特有で成長して大人になるにつれ食べ物アレルギーはなくなるという通説を信じていた。(実際、今もこの通説は多くの人に信じられていることだろう。)我が盟友はその通説を否定する立派な大人であった。それでも自分にも関わることだと思えなかった。素直が数少ない美点と密かに思っていた自分としてはその考えを見直さざるを得ない。これでは自分に良いところって何も残らんのじゃないか。そう思いながらイヤ待てよと思う。別に即応型のアレルギーだけでなく遅延型のアレルギーを持っていることを認めたくないといった心理は自分にはない。むしろアトピーの炎症の主因が分かった今はホッとしている。いやホッとしているどころかむしろ嬉しい。長年知り得なかったことがやっと突き止められた。長年の悩み、苦しみの原因が分かったのだ。曇りや雨しか経験しなかったのにやっと空が晴れた。そんな心境なのだから素直でなかったとかではない。新たなそれまで自分が想像すらしなかった原因を認めたくなかったという心理も当てはまらない。むしろ何故もっといろんな可能性を疑って確認しようとしなかったかを探るべきだろう。

改めて考える。幼少の頃から長年患ってきたアレルギー体質。年齢と共に身体が変化していく。その身体と正面から向き合わずにいた。身体と対話して来なかった。自分のことは自分がよく分かっていると思い込んでいた。そんなところだろうか。

よく会社のトップがもともとの専門分野で失敗することが多いという。一番詳しい得意分野で失敗するのは一見不思議な気がするが見方を変えれば得意だと思えばこその落とし穴があるのではないか。その一つが思い込みだろう。しかも思い込みは自覚がない。自覚がないだけに始末に悪い。自覚がないだけに気づかずにその落とし穴に見事にハマる。ハマったところで失敗し初めて気づく。今回の遅延型食物アレルギーを自分にも当てはまるかもと夢にも思わなかった。検査結果を見てまさかと思った。まさにこの思い込みからだ。血液検査の結果を見るまで自分に当てはまるとは全く考えていなかった。消去法としてアレルギー反応陰性を確認するだけの念のための検査とすら思っていた。

今改めてしみじみ思う。思い込みは恐ろしい。自分で気づかないからこその思い込み。今回はむしろ気づいて良かったと思う。ヘタをしたら一生気付かずにいた可能性だってあった。そんな可能性を考えるとホント恐ろしい。

ひょっとしたらこれは何か勘違いしていないか。当たり前と思い込みがないか。行き詰まったら立ち止まって考えるのは無意味ではない。自分は良く知っている。良く分かっている。得意分野だ。そう思えば思うほど慎重にならねばならぬときがある。そう気付けただけでも本当に良かった。有難い。感謝。

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