【毎週ショートショートnote】スベり高等学校
志願者数が万年三位の健全高等学校。教頭が全教員を招集して対策会議を行っている。
「来年度こそ二位になりたい。皆さんの知恵をお貸しください」
「学力に差はないんだけど」
「イメージが地味だよね」
「校名が堅いから？」
「もうちょっとトガッた名前の方が」
「校名、変えてもいいですよ」
校長が言った。
「本当に？何がいいかな」
「手が届かない感じは？高嶺の花的な」
「チョモランマ、エベレスト……富士山でいいか」
「山もいいけど海は？海王とか」
「ウチ、水泳部ないですよ。チャンピオンは？」
「それなら一番がいい！」
「皆さん、校名に関しては私にも考えがあります」
「教頭、どんな名前ですか？」
「スベり止めと真逆のイメージで『スベり高等学校』。超難関で受験生がスベりまくるエリート校と印象付けるのです！」
「それ、いいですね！」
教員達はみな賛同した。
校名を変えて迎えた受験シーズン。
「教頭、大変です！志願者が五人しかいません！」
この高校自体がスベっていた。
（410文字）
※こちらの企画に参加させていただいています
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