JEITA/JAIST北陸セミナー2024「DXとソフトウェアデファインド」(2) DXとは
2024年9月20日開催の「JEITA/JAIST北陸セミナー2024」で講演した「ソフトウェアデファインドともうひとつのDX」を紹介していきます。
今回は講演の前振りが終わって、いよいよ最初の章となる「DXとは」になります。
前節:(1)概要 次節:(3) ソフトウェアデファインド
DXとは
本講演の最初の章は「DXとは」になります。質疑応答込みで40分の講演なので、DXの説明は端的に行うことにしました。それに前の2講演でもDXについては触れていますので、差分を中心に説明することにしました。
DXの定義
ここでDXの定義のおさらいをしました。最初にストルターマンの定義とDXレポートの定義を1行でまとめています。
そしてこれを図式化したものを掲載しています。この図では、定義にはない「データ」がDXの鍵となることを明示しています。
注意:よく質問がくる「DXはいつまでするの?」「DXの終了はどう判断するの?」に対する回答「DXは継続的に変革し続ける(重ね言葉!)」というものも図に加えています。質問封じではありません。たぶん。
デジタル技術
次に「DXのD(デジタル)とは何か」について紹介しました。デジタル技術は色々ありますが、DXの文脈でのデジタル技術はなにかという話です。
DXの定義で出た「データが鍵」ということから、ここではデジタル技術とはデジタルデータを扱う技術というように読み下しています。
そして具体的には、AIやデータ分析などの高度なデジタル技術から表計算などの汎用的(原始的?)な技術までありますが、DXのデジタル技術としては、なんでもいいというように説明しました。
そうなのです。デジタル技術はなんでもいいのです。
しかし発展性を考えれば、ネットワークに繋がっているデジタル技術は必要かと思います。表計算ソフトでもネットワーク上でやりとりできるのが便利です。きっと。
トランスフォーメーション
続いて、DXのX、つまりトランスフォーメーションとは何かについて紹介しました。
トランスフォーメーションの訳語としては、DXの文脈では「変革」と訳されているのが一般的です。でも「トランスフォーマー」では「変形」ロボのように思う人も多いでしょう。そこでここでは変革よりも強い(?)「変身」の訳語がぴったりだと説明しました。
・・・本当は「変態」、つまり蛹から蝶に変態するようなイメージの方がぴったりに思いますが、変態には悪い意味があるので自重しました。
そしてDX沼に嵌ると、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの違いに気を奪われますが、ここでは一応それを図示して説明しました。
しかし、これらはまったく気にする必要はないことを訴えました。こんなことを気にせずに、より良くするために活動しましょうということです。
そして一番大事なことは、変革とは「相対的」なものだということです。ある組織にとっては単なるデジタイゼーションであったとしても、デジタル的に遅れている組織にとっては大変革、つまりDXであるという真実もあります。
DXをしないとどうなる?
DXの説明をしてきましたが、ここではこのDXをしないとどうなるかという「脅し」を紹介しました。これで社長や顧客を脅迫すれば、DXが進みます。たぶん。
まず、最初の脅しはこれです。「DXをしないと、成長機会の損失、競争力の低下」という脅し文句です。これで半分程度は脅迫に屈してDXを仕方なしに進めるようになるかもしれません。
でも「わが社は安定的に成長している、10年はこれで食える」という社長には効き目がありません。実際に10年は大丈夫ということが確実なのでしょう。
そこで最後の脅し文句は「創造的破壊」に耐えるためにDXは必要と言う脅迫文が通用します。そしてこの創造的破壊の例として、よく出されるのが、「銀塩カメラ」から「デジタルカメラ」、そして「デジタルカメラ」から「スマホ」へという創造的破壊があります。DXで会社のビジネスや製造を変革していないと破壊されます。
二極化するDX
2018年のDXレポートから始まったときに積極的にDXを取り組んできた会社と、周りがDXで騒ぎはじめ、その必要性を認識したがDXには消極的に推進している会社と二極化していることを説明しました。
そして今はこの消極的DX推進の会社がDX推進の主力になりつつあります。主戦場です。企業規模からいけば、中小企業がこの消極的DX推進派の多くを占めています。
「もうひとつのDX」として、この消極的DX推進の会社、その多くは中小企業のDXについて論じることにします。
中小企業のDX
DXは、会社の規模に関係なく、必要です。前の脅し文句にもあったように、DXなくしては成長機会の損失、競争力の低下、創造的破壊に耐えられません。
しかし現実問題として、中小企業は大企業と比較して、お金や人材のリソースは少ないことは厳然たる事実です。しかし中小企業の方が小回りが利きます。素早いです。時間の流れが大企業と違います。これは非常に強いポイントです。
これを活かして、中小企業のDXを推進しましょう。決して悲観することはありません。希望はあります。
・・・という結んで「DXとは」の章は終わることになりました。ここまでありがとうございました。
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