コロナウイルスワクチンでまれにロングコビッドのような症状が出る事がある: Scienceに掲載された記事から
最近になって新聞やテレビ等でもコロナワクチン後遺症が少しずつ取り上げられるようになりました。そしてScience誌に、コロナワクチン接種者がロングコビッドのような症状を発症する事についての記事が掲載されました。権威のある学術雑誌の多くはこうした問題に目を瞑っていましたが、少しずつ流れが変わってきたのかもしれません。
In rare cases, coronavirus vaccines may cause Long Covid–like symptoms
Brain fog, headaches, blood pressure swings are being probed by NIH and other researchers
https://www.science.org/content/article/rare-cases-coronavirus-vaccines-may-cause-long-covid-symptoms
コロナウイルスワクチンでまれにロングコビッドの様な症状が出る事がある
- ブレインフォグ、頭痛、血圧の変動をNIH等の研究者が調査中
2020年後半、Brianne Dressenはウイルスに感染した後に起こる慢性障害症候群「ロングコビッド」患者のためのオンラインコミュニティーを何時間も利用するようになった。「何カ月も、私はただ投稿を閲覧していました。 」と、ユタ州サラトガスプリングスの元保育園教師であるDressenは言います。「自分の症状と同じような投稿を次々と調べていました。」
DressenはCOVID-19に罹った事はなかったが、その年の11月に彼女は臨床試験のボランティアとしてアストラゼネカ社のワクチンを接種していた。その日の夕方には、視界がぼやけて音が歪み「耳に貝殻が2つ付いているような感じでした」と彼女は言う。彼女の症状は急速に悪化し、心拍数の変動、激しい筋力低下、そして彼女が言うところの衰弱した体内電気ショック等。症状はますます悪化した。
医師は彼女を不安症と診断した。化学者である夫のBrian Dressenは、科学文献を調べ始め、元ロッククライマーで、今はほとんどの時間を暗い部屋で過ごし、歯を磨く事も、幼い子供達に触れられる事にも耐えられない妻を助けようと必死になった。
時間が経つにつれDressen夫妻は、メーカーに関係なく、COVID-19ワクチン接種後に深刻で長く続く健康問題を経験した他の人々を見つけるに至った。2021年1月までに、米国立衛生研究所 (NIH)の研究者達はそうした報告を耳にするようになり、彼らはより詳しく知るためにBrianne Dressenをはじめとする罹患者を同機関の本部に呼び、検査や時には治療を受けてもらった。
目や耳のような感覚器官はセンサーであり、脳と繋がっています。聴覚の異常は耳の問題だけではなく脳の問題かもしれません。内耳は聴覚の受容器であり、平衡覚の受容器でもあります。耳が損傷すれば、難聴だけではなく、めまいなどの平衡感覚の失調という問題にも繋がり得ます。心拍数の変動は心臓の問題、例えば心筋炎、心膜炎が疑われます。また激しい筋力低下はギラン・バレー症候群などの自己免疫疾患によっても起こります。これらは全てコロナワクチンの後遺症として知られているものです。
この研究は規模が小さく、ワクチンが稀で永続的な健康問題を引き起こしたかどうか、あるいはどのように引き起こしたかについて、何の結論も導き出せませんでした。NIHの取り組みを主導してきた国立神経疾患・脳卒中研究所 (NINDS) の臨床部長Avindra Nathは、患者達にはワクチン接種と健康状態の悪化との間に「一時的な関連性」があったと言う。しかし「病因的な関連は? - 分かりません 」と。つまり、ワクチン接種が直接その後の健康被害を引き起こしたかどうかは分からないというのだ。
NIHの患者とのコミュニケーションは2021年後半にはフェードアウトしたが、Nathは水面下では作業が続いていると言う。この引き揚げはScience誌が取材した患者の間に困惑と失望をもたらし、彼らはNIHの研究者だけが自分達を助けてくれていると語った。現在、世界の少数の研究者が、それ自体まだ十分に解明されていないロングコビッドの生物学がワクチン接種後の特定の副作用を引き起こす謎のメカニズムと重なるかどうかを研究し始めている。
COVID-19ワクチンに関連したより個別の副作用が認識されており、アストラゼネカとジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン接種後に発生する稀だが重篤な凝固障害や、ファイザーとモデルナのメッセンジャーRNA (mRNA) ワクチン接種後に記録された心臓炎症がある。副作用の可能性を探る事は、研究者にジレンマをもたらす。一般に安全で、有効で、命を救うのに重要なワクチンに対して拒絶反応を起こす危険性があるからだ。COVID-19ワクチンと合併症を結びつける前に「非常に注意しなければならない」とNathは警告する。「間違った結論を出す可能性があります。...その意味は大きいのです」。そして、Dressenのような複雑で長引く症状は、患者が明確な診断を受けられない事があるため、研究がさらに困難なのです。
同時に、これらの問題を理解する事は、現在苦しんでいる人々を助け、もし関連性が解明されれば、次世代ワクチンの設計の指針となり、おそらく深刻な副作用のリスクの高い人々を特定する事ができるだろう。カリフォルニア大学デービス校の免疫学者であるWilliam Murphyは「有害事象を嫌がるべきではありません」と言う。彼は2021年11月にThe New England Journal of Medicine誌に、SARS-CoV-2スパイク蛋白によって引き起こされる自己免疫メカニズムが、ロングコビッドの症状といくつかの稀なワクチンの副作用の両方を説明するかもしれないと提案し、可能な限りの関連を探るための基礎研究を増やすよう呼びかけました。「ワクチンを理解するために、研究的にあらゆる事が行われていると一般大衆を安心させる事は、単にすべてが安全であると言うよりも重要な事である」とMurphyは言う。他の人達と同様、彼はワクチン接種を奨励し続けている。
現在主流のコロナワクチンは遺伝子ワクチンであり、接種者の体内で抗原を生産します。これが抗原そのものである通常のワクチンと異なる点です。コロナワクチンを導入された人間の細胞はスパイクタンパクを細胞表面に発現するようになります。ワクチンに対して作られた抗体は、ウイルスだけではなく、スパイクタンパクを発現する私達の細胞自身も攻撃対象と認定します (抗体依存性自己攻撃; antibody dependent auto-attack ( ADAA) )。これが心筋炎、心膜炎を起こす作用機序の一つと考えられています。
コロナウイルスに自然感染した場合、先ずは体に備わっている自然免疫系が対処します。そして、そこで対処しきれずにコロナウイルスが免疫系に抵抗して増殖し始めた頃には免疫系の精鋭部隊である獲得免疫が出動し始めます。コロナウイルスが体内で増殖する場合には、そういった形で免疫系の抵抗を受けるため、ADEが起こったりしない限り、感染していきなり身体中に爆発的に増えたりはしないでしょう。それに対し、コロナワクチンは接種後に細胞内でスパイクタンパク生産を開始しますので、量はいきなり最大量に達します。
言い換えると、大量のスパイクタンパクに暴露するという点ではコロナウイルス感染の重症者とコロナワクチン接種者は同様です。ロングコビッドの症状とワクチン後遺症が似ているのはむしろ自然な事でしょう。スパイクタンパクはコロナウイルスの毒性成分ですが、毒性のあるタンパクの毒性を排除しないままワクチンにしている事がワクチンの問題の根本的原因の一つだからです。さらなる問題は、コロナウイルスに感染した上で重症化する人は、それ自体が稀であるのに対し、コロナワクチンは健康な国民の大多数に接種されるという事です。
「検査で異常が見られない」ために、ワクチン後遺症が不安症などといった心の病気と診断されたり、病院をたらい回しにされたりといった話は既に何度も聞いています。
Dressenのような副作用がどれくらいの頻度で起こるかは不明である。オンライン・コミュニティには何千人もの参加者がいるが、誰もこのような症例を公に追跡調査していない。この症状には、疲労、激しい頭痛、神経痛、血圧の変動、短期記憶障害も含まれる。Nathはこれらが 「極めて稀なケース」であると確信している。
一方、ロングコビッドはSARS-CoV-2感染者の約5%から30%が罹患するという。研究者達は、その基礎となる生物学についていくつかの考えを持ち、暫定的に前進している。ある研究では、ウイルスが特定のケースで組織に留まり継続的にダメージを与える可能性を示唆している。また、体がウイルスを除去した後でも、最初の感染による後遺症が関与している可能性を示す証拠もある。
例えば動物実験から得られた証拠は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質 (多くのワクチンが防御免疫反応を引き起こすために使用しているのと同じタンパク質)を標的とする抗体が、付随的な損傷を引き起こすかもしれないという考えを支持している、とベルリンのドイツ神経変性疾患センター (DZNE)とシャリテ大学病院の神経学者であるHarald Prüssは指摘している。2020年、COVID-19に対する抗体療法を模索していた彼と同僚達は、SARS-CoV-2に対して強力な効果を示す18の抗体のうち、4つがマウスの健康な組織も標的にしている事を発見した。これはワクチンが自己免疫問題を引き起こす可能性があるという兆候であった。
初期の臨床データも同じような方向を示している。過去1年間、研究グループは、SARS-CoV-2感染後の人々から体自身の細胞や組織を攻撃する事ができる異常に高いレベルの自己抗体を検出している。2021年5月のNature誌でイェール大学医学部の免疫学者Aaron RingとAkiko Iwasakiらは、急性COVID-19患者から免疫系と脳を標的とする自己抗体を発見したと報告し、現在、自己抗体がどの程度持続するか、組織に損傷を与えるかについて調査している。今月、Cedars-Sinai Medical Centerの心臓専門医Susan Chengとタンパクが専門の化学者Justyna Fert-Boberは、Journal of Translational Medicine誌に、自己抗体が感染後6カ月まで持続する可能性があると発表した。ただし研究者は、自己抗体の持続と進行中の症状には相関が無いとしている。
DZNEは、これらの自己抗体が人に害を与えるかどうかを理解するために、ロングコビッドの患者の脳脊髄液からマウスの脳組織に反応する抗体を調べている。もし抗体が反応すれば、ヒトの神経組織も攻撃する可能性がある。Prüss教授らが間もなく提出する論文では、患者の少なくとも3分の1でマウスの神経細胞や他の脳細胞を攻撃する自己抗体が見つかったと述べている。一方、ノースウェスタン大学のグループは、2021年8月のプレプリントで、COVID-19後に神経学的合併症を起こした人々において、T細胞のサブセットが進行中のSARS-CoV-2感染で起こるような持続的活性化を示しており、何らかの異常免疫反応または残存ウイルスを示唆していると報告している。
一部の研究者は、ロングコビッドのもう一つの原因として、血液中の微小な凝血塊に注目している。SARS-CoV-2の急性感染症では、小さな血栓ができ、それが血管を構成する細胞を傷つける事があるのだ。南アフリカのステレンボッシュ大学の生理学者であるResia Pretorius氏と彼女の同僚は、8月にCardiovascular Diabetology誌に、感染が治まった後も微小な凝血塊が残る可能性があるという予備的な証拠を発表した。この血栓は酸素の運搬を妨げ、ブレインフォグのようなロングコビッドの症状を説明する可能性がある。Pretoriusは現在、同僚達とチームを組んで、この微小血栓の診断法を開発し、ロングコビッドの治療法を研究している。
Pretoriusによれば、彼女と同僚達は、ワクチン接種後に慢性的な問題を抱える患者 (推定20人未満)も見てきたという。これらの患者には、深部静脈血栓症のような他の凝固の心配だけでなく、ブレインフォグのようなロングコビッドのような症状も含まれると彼女は言う。アストラゼネカとジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン接種後の非常に稀ではあるが重篤な凝血の原因はまだ不明であるが、PretoriusはすべてのCOVID-19ワクチンも時には微小な凝血の問題を誘発するかもしれないと疑っている。Pretoriusによれば、ワクチン接種によって微小血栓が発生する可能性があるという予備的証拠があるとの事であるが、ほとんどの場合それは気づかれずにすぐに消失してしまう。
コロナウイルス感染やコロナワクチン接種は自己免疫疾患のトリガーとなり得、これは「病原体の呼び水」と言う事もできます。抗体が認識するのはタンパクのほんの一部で、抗原の抗体結合部位は一般的にはアミノ酸5~8個程度です。ワクチンに使われるタンパクの全体が自己抗原と似ていなくても、ごく一部分が似ているだけで自己抗原に対する抗体が作られる事があるのです。例えば、セリアック病、橋本甲状腺炎、多発性硬化症はコロナワクチン接種から予測される自己免疫疾患です。
新型コロナウイルスの抗原性エピトープ (抗原決定基) のイン・シリコ (in silico) 解析から予測されている他の自己抗体は、獲得免疫系を構成する分子に対するものです。コロナワクチンの副反応として免疫不全が示唆されていますが、その作用機序の一部は自己免疫疾患によるものと考えられます。
血栓は血管内にできる凝血塊です。血栓によって血管が詰まれば、その場所から先に栄養分、酸素の運搬ができなくなります。例えば血栓が心臓の血管で起これば心筋梗塞を、脳の血管で起これば脳梗塞を引き起こす可能性があります。コロナウイルスは血栓を起こし、肺や心臓、脳にも障害を起こす事がありますが、血栓を起こすにはウイルスは必要ではなくて、スパイクタンパク単独でも同様の障害を起こします。これも早くから警鐘を鳴らされているコロナワクチンの副反応です。
NIHの研究者は「人々を助けようとしていた」と、Science誌に語った研究対象者4名のうちの一人で、ファイザー社のワクチン接種後に症状が始まったある医療従事者は言う。Nathによれば、34人がプロトコルに登録され、そのうち14人はNIHで過ごし、残りの20人は血液サンプルと場合によっては脳脊髄液を送ったとの事である。
しかし、時間が経つにつれて、NIHの科学者は手を引いていったと患者 (その医療従事者) は言う。Brianne Dressenが神経学的検査のために予約していた9月の訪問は、遠隔医療に変更された。12月になるとNathは患者を送るのをやめるよう彼女に頼んだ。「このような患者には、地元の医師から治療を受けるのが一番です」と彼は彼女に手紙を出した。
患者にとってNIHからの沈黙は苦痛であり、特に他の場所でケアを見つけるのに苦労していた。2021年春にNIHを訪れた人は、「科学者達はデータを取って、私達を放置した」と語る。「治療法もなく、私の体に何が起きているのかも分からない。」 何人かの患者が言うには、医師には何も提供できるものがなく、時には症状を想像上のものと断定する事さえあった。
Nath氏はScience誌に対し、NIHの施設は多数の患者を長期的に治療するための設備が整っていないと語った。その努力について医療従事者は言う。「NIHの2人の人間がするには多すぎる 」と。
患者の症例を記録したNIHのデータは、まだ報告されていない。2021年3月にNathが最初に投稿した約30人のケースシリーズの掲載を、2つの一流医学雑誌が断っている。Nathは拒絶された事を理解しているという。データは「カットアンドドライ 」ではなく観察研究だった。今月、科学者達は23人の症例シリーズを3番目の論文として投稿し、Nathは彼のグループがワクチン後の副作用の患者を含めるために、ロングコビッドのプロトコルの修正案を提出したと言う。
他の研究者は、科学界がこのような効果を研究する事に不安を感じている事を指摘している。Pretoriusは言う、「誰もがこの問題を避けているのです。」「私は多くの臨床医や様々な大学の研究者と話しましたが、彼らはそれに触れたがりません。」
ワクチン接種後に健康上の問題を抱える人々は、自分達の苦境に注目が集まる事を歓迎している。Brianne Dressenは言う、「あなたには醜い汚れがついていて、疎外され、見捨てられているのです」。「私はワクチン禁忌を引き起こす事を本当に恐れていました」と彼女は付け加える。
Jana Ruhrländerもまた「やられた」と感じている。モデルナワクチンを一回投与した後、ドイツ、カッセルの微生物学大学院生は、Brianne Dressenが経験した内部電気ショックの感覚、顔の部分麻痺、発作か脳卒中を起こすのではと思わせる筋力低下、激しい口渇、心拍と血圧の乱高下などの症状を呈した。医師は「検査で異常は見つからなかった」と彼女を見放した。彼女は自分の症状が、血圧や体液のバランスを調整するレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系と呼ばれるホルモン系と重なっている事に気づき、ACE2が重要な役割を担っている事を突き止めたのである。彼女は最近、このシステムを標的とする自己抗体が彼女の症状を引き起こしているのではないか、と考えている医師と知り合いになった。
Chengは、ワクチン接種後の慢性的な問題について語る何十人もの人々から話を聞き、彼らの症状とロングコビッドの症状との間に重なる部分がある事に説得力を感じている。そして今、彼女は意図的かつ科学的に答えを導き出したいと考えている。「私達は厳密さを保たなければなりません」と彼女は言う。「データが圧倒的に少ないのです。」
コロナワクチンが重篤な後遺症を起こす事は著名な研究者でなくとも一般の方々の方がむしろよく知っているのではないでしょうか。実際に自身の身の回りでも目にする事があるからです。後遺症を訴えても病院、マスメディアの専門家の反応が薄い事はワクチンの副反応に見舞われた方なら既に経験されているかもしれません。Science誌の記事で触れられているワクチン後遺症のほとんどはコロナワクチンの作用機序から予測されるものであり、また実際報告されてきたものです。超一流の学術誌がこれまで知らなかったとは考えにくいです。むしろ認めざるを得ないところまで来ているのではないでしょうか。Science誌が取り上げた事は大きな前進です。
*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。
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