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RNAコロナワクチンは細胞内で逆転写される: current issues in molecular biologyに掲載された論文から

コロナワクチンに使われているスパイクタンパクは血管毒性を持ち、肺や心臓、脳にも障害を起こす事があります。スパイクタンパクは血流を循環し、さらにエクソソーム上のスパイクタンパクは4ヶ月以上も全身を巡る事が報告されています。RNAコロナワクチンは1-メチル-シュードウリジンで修飾されており、簡単には分解されません。しかし、なぜスパイクタンパクが数ヶ月以上も体内に残るのか、あるいはスパイクタンパクの生産が体内で続くのか等、疑問は多く残っています。

以前、細胞株内でコロナウイルスが逆転写されゲノムに組み込まれるという内容の論文を紹介しました。その論文内で解析されたものはコロナウイルスのRNAゲノムについてでしたが、今回紹介するのは内在性のLINE-1によってRNAコロナ「ワクチン」が細胞株内で逆転写されてDNAになるという論文です。

Intracellular Reverse Transcription of Pfizer BioNTech COVID-19 mRNA Vaccine BNT162b2 In Vitro in Human Liver Cell Line
Aldén et al. (2022) current issues in moleculr biology
https://www.mdpi.com/1467-3045/44/3/73/htm?s=09
Pfizer BioNTech COVID-19 mRNA ワクチン BNT162b2 のヒト肝細胞株での細胞内逆転写について

ファイザー社とビオンテック社が開発したCOVID-19 mRNAワクチンBNT162b2の前臨床試験において、BNT162b2注射を受けた動物に可逆的な肝機能の作用が認められた。さらに最近の研究では、SARS-CoV-2 RNAが逆転写され、ヒト細胞のゲノムに統合されることが示された。本研究では、BNT162b2がヒト肝細胞株Huh7に及ぼす影響をin vitroで解析した。Huh7細胞をBNT162b2に暴露し、細胞から抽出したRNAに対して定量PCRを行った。その結果、Huh7細胞においてBNT162b2が高レベルで検出され、内因性逆転写酵素であるlong interspersed nuclear element-1(LINE-1)の遺伝子発現が変化することが確認された。BNT162b2 で処理した Huh7 細胞で LINE-1 open reading frame-1 RNA-binding protein (ORFp1) に結合する抗体を用いた免疫組織染色により、LINE-1 の核内分布が増加することが示唆された。BNT162b2で処理したHuh7細胞のゲノムDNAをPCRしたところ、BNT162b2に特異的なDNA配列が増幅された。この結果は、BNT162b2がヒト肝細胞Huh7に速やかに取り込まれ、LINE-1の発現と分布に変化をもたらすことを示している。また、BNT162b2のmRNAはBNT162b2曝露後6時間という短時間で細胞内でDNAに逆転写されることも示している。


ファイザーがEMAに提出したコロナワクチンの評価報告書のラットの薬物動態分布試験によると、コロナワクチンは複数の臓器に分布し、その中でも肝臓に分布する割合が大きい事が分かっています。そこで筆者らは、コロナワクチンがヒト肝細胞に入るかどうかを調べるために、ヒト肝細胞株Huh7にファイザーのRNAコロナワクチンを曝露させました。

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スパイクタンパクを増幅するためのプライマーの位置はスパイクタンパクの終点辺りです。

筆者らはHuh7細胞を三種類の濃度 (0.5、1.0および2.0 µg/mL) のコロナワクチンとともに6、24および48時間培養しました。その後、細胞からRNAを抽出し、取り出してリアルタイム定量的逆転写PCRを行うと、どの濃度のものからもコロナワクチンが検出されました。コロナワクチンは培養細胞へ効率良く取り込まれるようです。筆者らはLINE-1 (Long Interspersed Nuclear Element-1、長鎖散在反復配列1 ) についても定量的逆転写PCRを行いました。結果、対照実験と比べてLINE-1発現は有意に増加しました。

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トランスポゾンは細胞内においてゲノム上の位置を転移することができる塩基配列です。動く遺伝子、転移因子とも呼ばれます。トランスポゾンの中にはRNAに転写されたものをさらに逆転写する事により転移するものもあります。これがレトロポゾン (レトロトランスポゾン) です。ヒトのゲノムにも古代に寄生したレトロポゾンがたくさん残っています。その中でも多くのコピー数を持つものがLINEです。実際ヒトLINEの量はヒトゲノムの約17%を占めるほどです。

LINE-1はヒトゲノムに残る唯一の活性型トランスポゾンであり、内在性逆転写酵素の供給源でもあります。LINE-1自身のみならず、Alu、SINEなどの自前の逆転写酵素を持たない他の非自律型要素の複製とゲノム上の移動を媒介することができます。内因性LINE-1の発現はコロナウイルスを含むウイルス感染時にしばしば増加します。LINE-1タンパク質の核内への侵入がレトロトランスポジション (RNAの逆転写とその後のゲノムへの組み込み) と関連しています。

細胞を三種類の濃度のコロナワクチン (0.5、1.0、2.0 µg/mL) で6時間処理し、LINE-1 ORF1タンパクに対する抗体で免疫蛍光染色を用いると、どの濃度のものからもLINE-1のタンパク質レベルが増加しました。LINE-1の増加は細胞全体領域および核においても見られました (図4b〜d) 。核領域でもLINE-1が増加している事が重要です。

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LINE-1が上昇した時にコロナワクチンがDNAに逆転写されるかどうかを調べるために、0.5 µg/mLのコロナワクチンでそれぞれ6、24、48時間処理したHuh7細胞からゲノムDNAを精製し、RNaseで処理してRNAを除去し、コロナワクチン断片をPCRで増幅しました (図5) 。コロナワクチンのPCR産物は、3つのタイムポイント (6、24、48時間) 全てで検出されました。つまり、細胞へのコロナワクチン暴露の6時間後にはすでに逆転写が効率良く起こっています。PCR産物の塩基配列はサンガーシークエンスにより確認されました。

今回の論文で分かったのは、コロナウイルスだけではなくコロナワクチンも細胞内で逆転写されるということです。この際、改めて逆転写酵素の遺伝子を細胞に導入しなくとも、細胞内にもともと存在する酵素によって逆転写が起こりました。

シュードウリジンなどの化学修飾を受けたRNAでも分子生物学の実験手法で逆転写をする事は可能です (Potapov et al. 2018)。実際モデルナコロナワクチンの塩基配列を確認した報告もあり、そうした実験ではRNAコロナワクチンをin vitroで逆転写後にディープシークエンサで塩基配列を決定しています。

筆者らはゲノムDNAを精製してPCRを行なっていますが、通常のゲノムDNA精製法では染色体外のDNAが取り除かれるわけではありません。今回の論文で足りない点を指摘するならば、逆転写されたコロナワクチンのDNAがゲノムに挿入されるかどうかを直接確認していない事でしょうか。たくさんの種類があるmRNAの中でなぜコロナワクチンが逆転写されるかはこの研究の範囲ではわかりません。他の遺伝子についての対照実験も見てみたいです。また、コロナワクチンのスパイクタンパクの全長が逆転写されるかどうかも不明です。

LINE-1はレトロトランスポゾンであり、逆転写した自分自身のコピーをゲノムに挿入する働きを持ちます。また、LINE-1は自分自身の遺伝子だけでなく、自前の逆転写酵素を持たない他の非自律型要素の逆転写とゲノムへの挿入を触媒できます。LINE-1は2つの遺伝子、ORF1とORF2を持ち、このうちORF2が逆転写酵素とエンドヌクレアーゼの活性を持ちます。ORF2はエンドヌクレアーゼ活性によってゲノムを切断し、その切断されたDNAの末端に会合させた自身のRNAから逆転写を行います。つまり通常のLINE-1のレトロトランスポジション (逆転写による転移) においては、逆転写とゲノムへの挿入はセットになっており、同時に起こるということです。

コロナウイルスゲノム (30 kb) と比べるとスパイクタンパク遺伝子は3.8 kbと小さく、スパイクタンパク遺伝子は分子生物学のin vitro実験の逆転写反応でも十分逆転写が可能なサイズです。6 kbのLINE-1よりも小さいくらいなので、LINE-1の逆転写酵素が逆転写可能な範囲でしょう。スパイクタンパクの片方の末端は逆転写されているので、そこからスパイクタンパク全長が逆転写されても驚く事ではありません。

RNAコロナワクチンが逆転写されてゲノムに組み込まれるかどうかについては議論となっています。しかし、そもそも遺伝子ワクチンとしてDNAもコロナワクチンに使われている時点で既に問題なのです。アデノウイルスはゲノム挿入酵素を持っていませんが、遺伝子治療に使われるアデノウイルスベクターがゲノムに挿入される事は報告されています。DNAコロナワクチンを接種した人の中には、スパイクタンパクがゲノムに組み込まれた人が既に存在していると考えられます。ではRNAワクチンなら安全なのか?そうとも言えないというのがこの研究からわかります。

LINE-1の作用機序から考えると、LINE-1が逆転写したDNAはゲノムに挿入されることが懸念されます。転写に必要なプロモータはワクチンのRNA内には見当たりませんが、ゲノムの挿入箇所次第では転写されて、細胞が半永久的にスパイクタンパクを生産する可能性があります。

私は、コロナワクチンを接種した人全員のコロナワクチンに暴露された全ての細胞でスパイクタンパクがゲノムに挿入する、とまで言いたいわけではありません。しかしながら、確率は不明ですがコロナワクチンが細胞内で逆転写される以上、ワクチン接種者の中にはスパイクタンパクがゲノムに挿入される事態が想定されるのです。その場合、挿入されるのは全長のスパイクタンパクの場合もあれば、部分的なスパイクタンパクが他の遺伝子と融合タンパクを作る場合もあるでしょう。ゲノムに取り込まれた遺伝子を体内から除去する方法は、現時点では存在しません。このリスクは決して無視できるものとは私は思いません。




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