未だ実験段階であるレプリコンワクチンが、世界で初めて日本で承認されました。今回承認されたレプリコンワクチンの商品名は「コスタイベ筋注用」、その開発コードが「ARCT-154」です。ARCT-154はコロナウイルスに対するレプリコンワクチンですが、このワクチンは始まりに過ぎないでしょう。今回はNatureに掲載されたレプリコンワクチンについての記事を紹介します。
日本では主に「レプリコンワクチン」と呼ばれていますが、海外の文献ではsa (self-amplifying)-mRNAワクチンと呼ばれる事が多いです。その翻訳として、日本においては自己増殖型と自己増幅型の両方の表記が見受けられますが、ここでは「自己増殖型」と統一させていただきます。
自己増殖型mRNAワクチンが従来型に比べてごく少量の投与量で済むのは、接種後ワクチンが接種者の体内で増えるからに他なりません。しかし、実際のところどれだけ増えるかは未知であり、個人差も大きいでしょう。ARCT-154はスパイクタンパクを抗原とするコロナワクチンですが、自己増殖型mRNAワクチンは今後様々な感染症や癌の予防、治療などに使われる事が予定されています。
記事中では「自己増殖型RNAワクチンは、従来のメッセンジャーRNAワクチンの新たな武器となるだろう」との言葉があります。では果たしてその矛先はどちらへ向かうのでしょうか。
長期間の抗体誘導は免疫系が長期間抗原と反応し続けた結果でしょう。そうした場合、免疫系は抗原を危険でないものと再学習し、免疫反応を抑制するIgG4を誘導します。この様に、長期間の抗体誘導は免疫抑制を引き起こします。
saRNAワクチンの開発企業は、将来的にsaRNA技術が従来のmRNA技術に置き換わっていく事を期待しています。実際、人々がワクチン接種について国や行政、医療機関に疑問を抱かない限りそうなっていく事でしょう。
文中では「saRNAは全く別の獣 (beast)」と書かれています。実際、自己増殖型mRNAワクチンは「ウイルスのように」体内で増殖するため、獣という表現は言い得て妙です。自己増殖型mRNAワクチンでは接種一回あたりの投与量が減らせるために製造コストの削減にも繋がり、製薬メーカーにとっての金銭的な利益は大きくなります。しかしワクチンの増殖自体はコントロールできません。つまりは製薬会社の利益の為にリスクを背負わされるのは他でもない接種者なのです。
mRNA技術は、言うならば人体を薬品工場として利用する技術です。免疫系を刺激するために、細胞のタンパク合成機構によって外来mRNAから抗原タンパクを生産するのがmRNAワクチンの仕組みです。それに対し、自己増殖型mRNAワクチンでは抗原タンパクのみならず、その鋳型となるmRNAも複製され、増殖します。ウイルスのような性質を持つ自己増殖型RNAワクチンでは細胞が言わば「生物学的印刷機」となるのです。
レプリコンコロナワクチンのARCT-154は、蚊によって媒介されるベネズエラウマ脳炎ウイルスの殻の遺伝子をスパイクタンパクに置き換えて作られました。これはまさに殻の無いウイルスというデザインです。そのため、エクソソームを介してワクチンが細胞間を移行する可能性もありますし、他者に伝播する懸念もあります。そのままでは感染性はないでしょうが、ウイルスとRNA組換えによってウイルスの感染性遺伝子を取り入れるような「進化」が起こる可能性が否定できません。
mRNAワクチン技術によってカリコ博士が2023年のノーベル医学生理学賞を受賞しました。ノーベル賞は誰もが知る自然科学の最高権威と言っても過言ではありません。しかしながらその陰には、mRNAコロナワクチンが日本のみならず世界中で甚大な被害を生んでいるという事実があります。「権威」を盲信する事がいかに危険かをmRNAワクチンは如実に示しているのではないでしょうか。
今回日本で承認されたレプリコンワクチンは始まりに過ぎません。ノースカロライナ州に本社を置くアルファバックス社は、様々な感染症や癌に対する自己増殖型RNAワクチンの開発を行ってきましたが、現在、その研究はVLPセラピューティクス社に受け継がれています。
自己増殖型RNAワクチンは、現在進行形で帯状疱疹やインフルエンザワクチンから癌の治療用ワクチンに至るまで臨床試験が進んでいます。しかしながら、これはワクチンという言葉が使われているだけの別物です。本来工場ではタンパク製剤はバイオリアクターを使って生産するものですが、mRNAワクチンは人体にその代わりをさせるのです。そして、自己増殖型RNAワクチンではタンパクだけではなく、RNAの生産も人体に行わせます。免疫系の副作用を弱めるような加工はARCT-154や他のほとんどのsaRNA製品では行われていません。安全管理はそれぞれの人の体質次第という事でしょうか。
記事中にもあるように、製薬利権は皮肉にも「不屈の精神」で自己増殖型mRNAワクチンのプラットフォームを今後も拡大しようとするでしょう。実はレプリコンワクチンは既に一度2022年にインドでも緊急承認されたのですが、臨床データは芳しくなく、結果的に承認も暫定的なものに終わりました。そういった意味でも、今回の日本での承認は「真の分岐点」であり、「パンドラの箱」を開けたのは他でもない日本なのです。
このNatureの記事の論調からは、著者は全面的にレプリコンワクチンを推奨し、日本におけるレプリコンワクチンの世界初の「真の承認」を含めて称賛しているようにも受け取れます。しかし、その真意は実際どうなのでしょうか。あるいは文字通りそのままなのかもしれません。またあるいは全てが皮肉なのかもしれません。
mRNAワクチンの薬害はコロナワクチンのスパイクタンパクによるものだけで済むものではありません。日本の人々が危機に晒されているのをこのまま我々は見て見ぬ振りをするのか、さらには今後日本が加害者となり得る事態も黙って見過ごすのか。この流れを止めるために何ができるかが一人一人に問われているのです。
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