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「かぼちゃの小倉煮」

 かぼちゃは身体に良いと、母はかぼちゃをやたらと食べさせたがった。しかしかぼちゃの煮物は俺は嫌いだった。ご飯のおかずにならないからだ。

 だから、俺はおかずにかぼちゃの煮物が出てるたびに文句を言ったものだ。

 それでも母は俺にかぼちゃを食べさせたがった。母は夕飯の時間ではなく、おやつの時間にかぼちゃの煮物を食べろと言って出してきた。それは、ただの煮物ではなく、かぼちゃの煮物の上にたっぷりと粒あんがかかっていた。

 夕飯のおかずではなく、おやつとして食べたかぼちゃはとても美味しかった。かぼちゃと粒あんがこれほど合うとは、、まだ幼かった自分でも衝撃を覚えた。スナック菓子を食べるよりよほど美味しい。、

 以来、俺はおやつにかぼちゃをやたらとねだるようになった。

 そんな母は今も健在で、実家で父と居酒屋をやっている。

 かぼちゃの小倉煮を出してくる居酒屋はほとんどないだろうが、実家では看板メニューになっているようだ。

 

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