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[3/3まで]また多数の良書がKindle本50%セール対象になったので解説付でまとめる

色んな良書がKindle本50%ポイント還元セール対象になっているのを発見したので取り急ぎいつも通り雑な解説付きで対象の良書をまとめました。

Hello Design

デザイン思考の非常に良質な入門書。デザイン思考を、その名前からして「クリエイティブ系やアート系の人の話でしょ?」などと誤解している人も多いが、それは全く違う。デザイン思考は社会に潜む課題を特定しそれを解決するもので、新規事業開発、起業や公共政策立案等、およそ社会一般に有用なアプローチ。デザイン思考は私がスタンフォード留学中に学んだことの中でも特に良かった学びだった。大変お勧めの本。

なお、下記の本は、デザイン思考ではないが「いかに社会に潜む課題を具体的に特定し解決するか」と言う点でこの本に通ずるので、こちらも併せて読むと相乗効果があると思う。特にマーケターや新規事業に携わる人に(注:こちらは今回のセール対象ではない)。

プロダクトレッドグロース

旧来からのセールス主導の成長戦略ではない新しいプロダクト主導の成長戦略を具体的な事例を交えつつ明快に整理する。プロダクト主導ゴリ押しではなく、セールス主導の戦略が妥当な場面もしっかりと整理してくれているのも良い。プロダクト主導型ビジネスへの転換方法を詳細に説明するが、旧来型のセールス主導ビジネスでもパーツパーツで応用が効く。マーケター必携。この本、なんと今月の半額セールの対象本でもあるため、2/17日現在、値段が半額になったうえでさらにポイントが50%も付いている。私も今回買えば良かった・・・。

リフレクション

内省の効果は下記ツイートのように非常に高いとされているが、この本はその具体的な方法を分かり易く解説。特に近年は「アンラーン」(過去の経験に基づき凝り固まった自分の意見や価値観を効果的に捨て去り、最新のものにアップデートすること)の重要性が説かれるが、それをどう行うか等で学びがあった。

『リフレクション』は実践に向けられたハウトゥー本だが、実践というよりもう少し深く学びたい人は下記がお勧め(注:下記はセール対象ではない)。

Brain Driven

スタンフォードMBAの授業の人気授業の一つに、脳神経科学に基づいたストレスマネジメントやモチベーションマネジメントがあり、私も受講した。その授業は色々目から鱗だったのだが、その後この本を読んだら、その授業で学んだこととほぼ同じような内容だった。モチベーション、ストレス、クリエイティビティ等、従来心理学や個々の成功者の経験で論じられていた領域を、脳神経科学の観点から解説する。なお、その授業は多分単価で受講すると40万円位するはずなので、この本はもの凄くコストパフォーマンスが良い。視覚的にも分かり易い作りで、お勧め。

関連書籍として、下記もセール対象になっている。

ロジカルシンキング・ロジカルライティング

論理的思考力を鍛えるための良書。できれば社会に出る前に読んでおきたいが、若手社会人、中でも特にコンサル、弁護士等の若手にお勧め。仕事中によくありそうな具体例が豊富でイメージがつかみやすく、図表が多く分かり易い。

多様性の科学

多様性の追求と業務等の成果の向上は二律背反ではないどころか、現代の複雑な問題の解決のためには多様性の追求こそが成果の向上に繋がることを様々な論拠から明快に説明する。昨今色々なシーンで多様性が持ち出されるが、これに懐疑的な人こそ読むと良い。

なお、多様な文化圏に属する人々を意思疎通の齟齬なくうまく統率しマネージする方法を学ぶには、以下の本がお勧め(注:下記はセール対象外だがとても良い関連書籍なので紹介しておく。)

ライフシフト系の本

かつて70年位だった人生は、今では医学の進歩等により100年に達しようとしているし、その後も伸びていくと思われる。寿命があまりに延びたため、22歳まで勉強し、その知識をもって60歳頃まで働き、そこで引退して余生を楽しむなどという人の人生が70年そこそこだった頃に確立された伝統的なモデルは成り立たなくなってきている。そうした時代の人生戦略を考えるために役立つ本。

ライフスパン

ライフシフトと併せて上記もどうぞ。医学等の進歩により、人はどんどんと老いなくなってきている。「30代でFIRE」等と言っている方は、FIRE後に自分が100年生きる可能性がそれなりにあることを考慮に入れて下記ツイートの学生のように慎重に計画を練る必要がある。

教養としての金融危機

過去の9回の金融危機をストーリーで振り返ってくれて読み物として楽しい。なお、金融の前提知識がちょっと必要な本なので、そのインプットのために下記の本など大変お勧め(注:今回のセール対象外。また、「入門」とあるがカジュアルな本ではなく読み応えがかなりある。)。

もっとカジュアルに金融危機を娯楽として楽しみたい(?)方には『世紀の空売り』がお勧め。リーマンショックの際、その兆候に誰よりもいち早く気づき、リーマンの破綻に賭けて空売りしまくった人たちの話の小説化。基本前提知識無しに読める。『マネーショート』として映画化されており、映画もおすすめ。(注:2/20現在、ポイント還元幅が大きくなっているもののセール対象ではないよう)。

ファクトフルネス

人々はあまりにも思い込みや既に覆された過去の通説に基づいて物事を判断しがち。動きの速い現代社会では、常に最新の知見をアップデートすることが世界を正しく捉えるのに必須。

ビジョナリーカンパニーゼロ

名著ビジョナリーカンパニーシリーズの最新刊。著者のジムコリンズは元々スタンフォードMBAの超有望な若手教授だったが、あまりに有能すぎて嫉妬を買って学校を離れたというような話を学内で聞いたことがある。

他のビジョナリーカンパニーシリーズも併せてどうぞ。全巻揃えると圧倒される量に思えるが、実は本文部分が短く、結構手軽にすぐ読み切れる(注:下記はセール対象外)。

Listen

傾聴の重要性はよく強調されるが、人は意外と他人の話を聞いているように見えて聞いていない。どうすれば傾聴できるようになるか等が学べる。

ストーリーとしての競争戦略

良い戦略にはストーリー(各構成要素の有意な繋がり)がある。何が戦略か・何が戦略ではないかに始まり、事業戦略と全社戦略の差異、事業戦略構築のための2パターン、そして戦略の各構成要素毎の繋がりの作り方までを、順に読んでいくと総ざらいできる。豊富かつ適切なたとえ話や具体例のおかげでイメージがつきやすい。読み始めから本論に入るまでは少し冗長感があるがそこを辛抱して読めば後は非常に勉強になる。

好き嫌いと経営&好き嫌いと才能

ストーリーとしての競争戦略を書いた楠木先生は、上記など他の本も基本お勧め。

ゲーム理論関係の本

ゲーム理論の入門から発展までを豊富な具体例で解説。下記ツイートも参照。

なお、下記関連本も今月の半額セールの対象なので併せてどうぞ。

失敗の科学

失敗から学んできた航空業界と失敗をうまく学べない医療業界を対比しつつ、なぜ人は同じような失敗を延々と繰り返し、失敗から学べないのか・どうすれば失敗から学ぶことが出来るのかを解き明かす。昨今バズワード化している心理的安全性の議論に通ずる本。今回のセール対象の中でも屈指の良書で皆読んでほしい。

なお、心理的安全性について学ぶのなら以下がお勧め(注:前者は2月の月間半額セールの対象。後者はセール対象外)。

金融商品取引法入門

黒沼先生の金商法の入門書。金商法は金融関係者なら一度は横断的に押さえておくべきだが非常に複雑なので、とりあえずはガチ系の本よりこの手の入門書がお勧め。

両利きの経営

HBS故クリステンセン教授が論じた『イノベーションのジレンマ』は破壊的イノベーションがいかにして既存業界を一変するかを解き明かしたが、既存業界側がそれをどう防御するかについては言及が薄かった。この本ではその防御策を提示。イノベーションのジレンマを読んだ方はぜひ。なお、著者のオライリー教授はスタンフォードMBAのエース教授で日本のことも詳しかったはず。下記、両利きの経営についての旭硝子を題材としたケーススタディーも併せてどうぞ(注:今回のセール対象ではないが、Kindle Unlimitedで無料で読める)。

なお、『両利きの経営』の前提の『イノベーションのジレンマ』については下記参照。名著(注:今回のセール対象ではない)。

外資系コンサルのスライド作成術

スライド作成についての手っ取り早いHow to 本。一つのスライド中に複数のメッセージを詰め込んでしまう人や、プレゼンの準備の際にいきなりスライドから作り始めてしまうような人は一読した方が良い。特に若手社会人や普段スライドを作成しない人に即効性があり、お勧め。

コンサル一年目が学ぶこと

コンサル1年目というより若手社会人が学ぶべきスキル集なので若手社会人にお勧め。

外資系金融のエクセル作成術

MBA1年目の財務モデルの授業の前提知識の習得に有用だった。セル結合は御法度、ファイル保存前はA1にカーソル位置を戻す等の基本から書いてある。本書内は基礎編とモデル編に分かれており、前半はおよそエクセルをあまり使わない層一般にお勧めのエクセルマナー等が書いてある(「エクセルは内容が伴ってれば見た目やフォーマットなんて何でも良いでしょ」と思っている人は一読お勧め)。後半は財務モデリング初心者用。

定量分析の教科書

私がMBAで受けたマーケティングの基礎の授業と重なる。複数の事象間の因果関係をどう推論するか、A/Bテストの基礎、マーケティングリサーチの基礎等。例えばアンケート調査を行う場合、選択肢を奇数にすると人は中立的な中央の選択肢に引き寄せられてしまうので偶数にする、選択肢の言葉遣いに中立性が表現されたものを使わない等、一通り基礎的なことはカバー。定量分析に関する史実の面白い具体例も沢山載っており、例えばスペースシャトルチャレンジャー号の墜落事故(打ち上げ前日に行われた、事故の原因となった部品の低気温での安全性分析の際、用いられた表に、過去に不具合が出た例のみをプロットしており、不具合が出なかった例をプロットしていなかったため、低気温で当該部品が故障しやすいことがうまく分析できなかった。)。こういう基礎レベルだと正直スタンフォードなど行かなくてもグロービスの本で十分。

実践スタートアップファイナンス

スタートアップの資本政策についてここまでテクニカルかつ具体的に解説した本はない。ケースで取り上げられた各企業がどの段階でどういう資本政策を採用したか、また、その評価も詳述。税制適格要件を満たそうと意図したのに満たさないストックオプションに建付けてしまったなど、資本政策上の失敗も現実のケースから学べて興味深い。上場を目指すスタートアップ関係者にとっては、これら先人達の資本政策を参考に自社の資本政策を練ることが出来てとても良い。資本政策に携わるスタートアップ関係者やそれをサポートする会計税務法務等専門家必携。
なお、『実践スタートアップファイナンス』が難しく感じる場合には、以下が入門編として良書なので、以下を先に読むのがお勧め(注:以下はセール対象外)。

賢い人がなぜ決断を誤るのか

人の意思決定は全くもって理性的ではない。意思決定に潜む潜む認知バイアスとその対処法について。例えば、利益相反関係が存在する場合、人は「自分はしっかりした倫理観があるので利益相反の影響なんて受けない」と無闇に確信していることが多い。しかし、実際は利益相反関係が存在することそれ自体で、人の無意識的な意思決定に影響が及んでいる。そのため、巷によくある「利益相反関係の存在を開示させて透明性を担保する」という制度設計は認知バイアスによる悪影響を防ぐのに役立っていない。このバイアスによる影響を回避するためには、利益相反関係が存在する人を意思決定そのものから除外する必要がある。本書では、こうした各種のバイアスについて具体的な研究と共に分かり易く説明されている。

MBAバリュエーション

古典的傑作。MBAのベーシックレベルのファイナンスの授業の内容をカバー。昔仕事で買収ファイナンスに本格的に携わり始める前に読んでおいたら、M&Aでの各種メトリクスが分かって大変役立った。その後のMBA留学のファイナンスの授業でも有用だった。

バリュエーションの教科書

企業価値評価の分かり易い解説。MBAバリュエーションよりは少しレベルが高いので、同書を読んだ後に。MBAのファイナンスのコア授業と内容にそれほど遜色ない出来。

バリュエーションの理論と実務

バリュエーションに携わる人に。会社法の第一人者である田中亘先生らが書いている。なぜかガチな本が突然セール対象。

役員報酬・指名戦略

こちらもガチな本が突然セール対象になっている。企業法務弁護士やコーポレートガバナンス等にかかわるガチの人に。

アイデアファクトリー

ビジネス等での新規アイデア出しに非常に有用。これでもかとばかりにアイデア出しに効果的な手法が多角的に大量に並べられている。全てのアイデアは既存のアイデアの修正か結合なので既存のアイデア同士をつないでみる、実現可能性等を何も考えずにとにかく課題に対して100個アイデアを出すと80個目以降くらいから突拍子もない独創的なアイデアがひねり出される、同一の課題を毎日5分でも良いから真剣に考える癖を付けると脳がその重要性を無意識的に認識し日常のふとした瞬間に解決法が思いつく、あえて多数の課題を同時に考える等。誰でも独創的になれる。「自分にはクリエイティビティがない」などと思っている人に大変お勧め。何度も読み返して定着させるに値する良書。

トレイルブレイザー

成長企業のための企業文化本。なお、米国の本にありがちな自叙伝チックのストーリー多めの本であり、こういう本は英語に抵抗がない方であればオーディブルで英語の原典を聴くと頭に残ってお勧め。

未来に先回りする思考法

テクノロジーの進化で先を見通すことが困難になった現代において、なお未来を予測して動けるヒントが学べる。

財務諸表分析 ゼロから分かる読み方・活かし方

財務諸表分析についてざっと理解したい人にお勧め。グロービスの本は結構外れがない。海外MBAに無理に留学しなくても家でグロービスの本を読めば良い。

経営指標の教科書

ROE等のビジネスに出てくる経営指標の実際の意義が実は曖昧な人はぜひ。

インパクト投資入門

私がスタンフォードのファイナンスの授業で一番驚いたのは、こちらではインパクト投資が非常に浸透していることだった。授業の至る所で当たり前のように出てくる。この本では「インパクト投資ってそもそも何?」「インパクト投資のリターンはどう考える?」といったインパクト投資の基礎からしっかりと解説。日本では現状他にあまり類書がない。著者は私のスタンフォードの留学同期の信頼できる方。よく分からないままに会社の方針で日々SDGsとかESGとか言ってる人はぜひ読むべき。

人に頼む技術

下記ツイートを参照。

なお、同一著者の下記の本もセール対象。これらは即効性を追求したハウトゥー本なので、関連研究等を深く学びたい人には向いていないが、非常に分かり易く簡潔に書かれており「小難しいことはいいからとにかくやる気を出したい」といった人に最適。

また、同一著者の本だと下記もお勧め。下記ツイート参照(注:今回のセール対象ではない。)。


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