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[5/12まで]今回のKindle本最大70%OFFセール対象の良書を解説付でまとめる

5月12日までのKindle本最大70%割引セールで様々な良書がセール対象になっていたので、いつも通り雑な解説付きで対象の良ビジネス書をまとめました。

イノベーションオブライフ

今回のセールの目玉。一番お勧め。名著『イノベーションのジレンマ』や『ジョブ理論』を書いたハーバードビジネススクールの故クリステンセン教授の本。各章の冒頭で経営学の様々な理論が紹介されてそれ自体勉強になるのだが、なんとそれらが実は経営にとどまらず個々人のプライベートな人生にも大いに活用できることを示してくれる。テーマはキャリア構築から子育てや人間関係の構築まで多岐に渡る。企業のマネジメントを超えて人生のマネジメントを学べる。

異文化理解力

下記ツイートのスレッド参照。今回のセールでも屈指のおすすめ本の一つ。

キャズム

出だしは好調でイケイケだった新製品やスタートアップが一時を境に突如停滞しやがて死に至ることは巷によくある話。それがなぜ起こるのか、どうすれば防げるのかを解説した本。マーケティングや起業関連を学ぶ上での前提知識として必要。というか議論の出発点すぎて、ビジネスパーソン全般の必読書だろう。

アントレプレナーの教科書

リーンスタートアップのコンセプト元となった本。エリックリースの『リーン・スタートアップ』は言わずと知れた必読書だが、リーンスタートアップのコンセプトは誤解されがちで、誤用するとかえって痛い目に遭う(これは起業の失敗パターンを整理した良書『起業の失敗大全』でも頻繁に触れられている。)。リーンスタートアップの概念を正確に理解するためにも、ぜひこの本を読んでおきたい。

The Model

特に説明不要の名著がセールになっている。この機会にぜひ。

賢い人がなぜ決断を誤るのか

人の意思決定は全くもって理性的ではない。意思決定に潜む潜む認知バイアスとその対処法について。例えば、利益相反関係が存在する場合、人は「自分はしっかりした倫理観があるので利益相反の影響なんて受けない」と無闇に確信していることが多い。しかし、実際は利益相反関係が存在することそれ自体で、人の無意識的な意思決定に影響が及んでいる。そのため、巷によくある「利益相反関係の存在を開示させて透明性を担保する」という制度設計は認知バイアスによる悪影響を防ぐのに役立っていない。このバイアスによる影響を回避するためには、利益相反関係が存在する人を意思決定そのものから除外する必要がある。本書では、こうした各種のバイアスについて具体的な研究と共に分かり易く説明されている。

ビジネスモデルナビゲーター

世に存在するビジネスのビジネスモデルを55パターンに分かり易く分類。そのモデルがどう収益を上げているか等を図を交えて解説。自分のアイデアに全然別のビジネスモデルを適用したら全く新しい形の事業が構築できないか?等を考えていくとアイデアが膨らむ。

起業家はどこで選択を誤るのか

自分はいつ起業すべきか、創業チームはどうするか、投資家としてVCを入れるのか、誰を雇うべきか、報酬はどうすべきか等々、スタートアップが必ず直面する難題を、過去の失敗事例にも着目して解説する。米国の本だが、一部を除き日本でも妥当する。これから起業する人には大変参考になる。なお、最近邦訳発売の下記はセールではないが大変おすすめなので併せてどうぞ。

恐れのない組織

心理的安全性の第一人者であるHBSエドモンドソン教授の本。同教授はこの言葉が世に知られる前からずっと心理的安全性を研究していて、色々な組織論の本で研究が引用されている。心理的安全性とは何かに留まらず、陥りやすい罠等も解説。組織作りに関わる人は必読。
下記も関連書籍としてお勧め(下記は今回のセール対象ではない)。

チームが機能するとはどういうことか

同教授の本では、上記も併せてどうぞ。組織作りの参考になる。

学習する組織

組織論関係ではこちらも。

ティール組織

今回は組織論関係の必読書が沢山出ている。この本も同様。人類のこれまでにおける組織形態の進化を具体例とともに解説し、今後見えてくるあるべき組織の姿を描く。組織論の色々な議論の前提になっている(と同時にこの本もいろいろな議論を前提にしているので読み込むのは簡単ではないかもしれない。)。

なぜ人と組織は変われないのか

色々な議論の前提になっている系の本で言うと、これも同様。人は分かっていても変革を起こすことができないが、それはなぜなのかを詳細に分析。結構読むのに骨の折れる本(邦訳版を読んだので、もしかしたら翻訳の問題かもしれない)だが学びが多い。

ソーシャルイノベーションの始め方

スタンフォードは利益よりも社会的な意義を追求するソーシャルイノベーションの一大拠点と化しており、ビジネススクールにはソーシャルイノベーションセンターという専門施設が存在し、MBAの学生も社会起業を志す者が大勢いる。留学して肌で感じたのだが、この地ではソーシャルイノベーションは大きな流れになっている。この本や下記等で学べるのでお勧め。

イシューから始めよ

コンサル出身者以外は読んでおくと確立したフレームワークを基に仕事に臨めてよい。

法務DDチェックリスト

法務DDをやる人用のチェックリスト。法務の方はとりあえずお手元にどうぞ。

鬼速PDCA

「PDCAって何?どう使うの?」という人はこれを読んでおけば足りる。図解版等も出ているが不要。この本だけで良い。

顧客起点マーケティング

強い訴求力のあるアイデアを生み出すには、1000人の顔の見えない顧客より1人の実在する具体的な顧客を深く知り、その顧客がどう製品に出会いなぜ購入に至ったかを丁寧に理解することが大切。この本はとても分かりやすいし実践的。マーケティングに興味がある人にとてもお勧め。

コンサル一年目が学ぶこと

若手社会人のためのベーシックスキル習得用にお勧め。

物価とは何か

こちらは5月5日までのポイント半額還元セールの対象だが、米国でインフレが急速に進む今読みたい良書なので掲載。

ブレインドリブン

スタンフォードMBAの授業の人気授業の一つに、脳神経科学に基づいたストレスマネジメントやモチベーションマネジメントがあり、私も受講した。その授業は色々目から鱗だったのだが、その後この本を読んだら、その授業で学んだこととほぼ同じような内容だった。モチベーション、ストレス、クリエイティビティ等、従来心理学や個々の成功者の経験で論じられていた領域を、脳神経科学の観点から解説する。なお、その授業は多分単価で受講すると40万円位するはずなので、この本はもの凄くコストパフォーマンスが良い。視覚的にも分かり易い作りで、お勧め。

日本のイノベーションのジレンマ

HBS故クリステンセン教授の傑作『イノベーションのジレンマ』は繁栄を極める巨大企業が合理的な意思決定を重ねるうちになぜか突然現れた小新興企業に敗れ去る原理を明快に解説したもので、ビジネスパーソンであればどなたでもお勧めの必読書だが、同書の事例は古くかつ米国のもので、イメージが沸きづらかった。
この本はイノベーションのジレンマの具体例をテレビ、カメラ、ガラケー/スマートフォン等、主に日本企業に置き換えて掘り下げてくれており、理解を深めやすい。第三部からは独自の見解的部分が増えるので読まなくても良いが(とはいえ私はそこも大変参考になった)、少なくともその前までは万人に良い本。

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

米国の心理学界隈で最近(というか近年ずっと)流行している幸福学はとにかくポジティブさ以外の感情を排斥してポジティブを追求し、ポジティブさで幸福の実現を目指す節が強い。しかしそれには危うさもあり、かつ実はポジティブな感情以外の感情も意義深いことを説いた本。一例として、怒りは思い切ったリスクテイク、罪悪感は廉潔性の向上、不安は危機下でのアラート機能があり、場面に応じて無理に抑え込まず適切に活用すべき感情。
この本は幸福学を否定するのではなく、その意義を認めつつ内容を補足・発展させる感じで良い。例えば、幸福感は人に大局的な視点をもたらし、他方で不幸感は人に細部への着目の視点をもたらすので、仕事の性質によっては幸福感を作り出すよりも不幸感を醸成することがより適しているものもある。創造的な仕事ではチーム全体の幸福感を高めるのがクリエイティビティに繋がるが、分析的な仕事ではネガティブな感情が細部の見落としを防ぐので、組織のマネジメント手法としてもポジティブ・ネガティブを仕事の性質に応じてうまく使い分けるべき。
なお、前提となっている幸福学は例えば以下の本などが分かりやすいし読むと幸せな気分になれてお勧め(※以下の本はセール対象外)。

失敗の科学

今回のセール対象ではないが、5月11日現在なぜか50%弱ものポイント還元の対象になっているので紹介。
失敗から学んできた航空業界と失敗をうまく学べない医療業界を対比しつつ、なぜ人は同じような失敗を延々と繰り返し、失敗から学べないのか・どうすれば失敗から学ぶことが出来るのかを解き明かす。昨今バズワード化している心理的安全性の議論に通ずる本。めちゃくちゃ良書なので皆に読んでもらいたい。

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