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2014年中カ国際列車+エカテリンブルク旅行(2)

 カザフスタンに入国すると、入国カードを渡されます。このカードにスタンプが2か所押されていたら、滞在登録が済んでいることを表しますが、陸路での入国だとそれがなされずスタンプが1か所しか押されないことがあります。その場合は、入国後5日以内に、滞在登録をする役所に出向いて登録を終えなければなりません。

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 去年は2か所押されていたので小躍りしたものですが、同じところから入国したにも関わらず今年はなぜか1か所しか押されていませんでした。係員はわざわざ2か所目のスタンプを押すところを指さしてカードを渡してきました。おそらく滞在登録はできてないからな、と言いたいんでしょう。このときもう少し食いついて「なんでや!」って言うべきだったかもしれませんが、羊のように従順な私はあっさり引き下がってしまいました。もっとも、5日間未満の滞在ならその限りではないらしい(在カザフスタン日本大使館のHPより)のですが、やはり中央アジアといえば不良役人や警察のタカリ。難癖をつけられたくないので、できれば登録を済ませて出国したいと思うわけです。
 そういうわけで、ホテルで休憩後、オヴィールという役所へ出掛けました。ホテルからオヴィールまではバス1本で行けました。建物の中に入ると、なにやら人でごった返しています。窓口はどこかと見渡してみましたが、英語らしき表示は見かけません。こりゃ参った、誰かに聞いてみようかとしばらくの間様子を眺めていましたら英語らしき言葉が聞こえてきました。どうやらロシア語圏外の外国人のようです。その人の様子を見ていればどうすべきかわかるだろうと思い、様子を見てみました。どうやら一番人が群がっている窓口で申請用紙らしきものを受け取るようです。それでは自分もと思い、窓口から紙を受け取って中をみてみると、ロシア語オンリーの書類でした。自分は英語力も十分ではありませんが、それでもなんとかしようという気はおきますが、ロシア語は読むことだけはできますが意味はまったくわかりません。もう駄目です。混雑する窓口にくらいついて書き方を教えてもらうガッツもありません。さっきの外国人もロシア語はできないようです。ここは私にとってハードルが高すぎます。ので、一旦ここから引き上げることにしました。
 じゃあどうしようかということで、実はここの近くに日本人が経営している日本料理店があり、そこで料理を食べつつちょっと助けてもらおうかなと思ってそのお店に向かいました。ところが地図が悪いのかお店を見つけることができません。仕方がないので、またお昼に近いので一旦昼ごはんを食べにホテル近くのバザールに行くことにしました。

 オトラルホテル近辺には、見どころがあまりないアルマトイの数少ない観光スポットであるパンフィロフ公園と中央バザールがあります。値段が多少高くてもこのホテルを選んでいるのはこれらが歩いてすぐのところにあるからです。
 暑くてへばってしまったので、昼食はどこにしようかと思いまして、じゃあバザール見物を兼ねてそこで食べようと思い、一旦ホテル近辺まで戻りました。そしてホテルには戻らずにバザールへ向かいました。ところがどうも様子がおかしい。入口が見当たらない。どうやら閉まっているようです。「地○の歩き方」を見たら、月曜日は休みでした。一体今日は何をしているんだろうと思うと、なんか本当に疲れてしまいました。で、どこで昼をとろうかと思ったんですが、バザールの横にバーガーキング(だったかな)を見つけたんです。出発前は中央アジアめしが楽しみなんて思っていましたが、なんだか無性に慣れ親しんだものを食べたくなりました。セットもので注文しましたが、値段も味も普通。中は全然混んでいません。冷房が効いています。ここで午後の作戦を考えホテルに帰りました。
 ホテルのすぐ南はパンフィロフ公園で、ロシア正教教会や大祖国戦争(ソ連側の第二次世界大戦の呼び方)のモニュメントなどがあり、市民の憩いのスポットでもあります。そして公園の南東に在カザフスタン日本大使館の出張所があります。その公園を見物しつつ、日本大使館に行って例の滞在登録について助けてもらおうと考えました。ところで自分は今まで日本大使館の中に入ったことがありません。思い込みですが、大使館が現地滞在者の対応はきっちりするが、旅行者への対応はまちまちで、運が悪いと本当に冷たくあしらわれるのではないか、ロシア語ができないくせにこんなところをうろうろするなんてなどと嫌味を言われやしないかと思っていましたが、まずは行ってみることにしました。
 公園自体は、特段おもしろいものは目につきませんでした。正直もう二度とアルマトイに行くことはないかなと思いました。そして出張所のあるところに着きましたが、ここが大使館だという印がありません。周りをうろうろしましたが全く何もありません。人に尋ねてもダメです。もうあきらめました。滞在登録はあきらめました。明日は陸路キルギス入りですが、短期滞在を理由に関門を突破することにします。もし賄賂をたかられたら値切りながらもそれを払って通過しよう。そう決めました。
 結局今日一日を無駄に過ごした徒労感を感じながらホテルに帰りましたが、精神安定のためにスマホで在カザフスタン日本大使館のHPの中にある5日未満の滞在に関する記述を確認しようとしたら、アルマトイの出張所は2014年1月1日をもって閉鎖とのこと。ついでに、7月15日から1年間日本人はカザフスタンにビザ免除で入国できるようになったとのこと。なかなかうまくいきません。もっともノービザのことがどれだけ関係者に伝わっているかわかったものではないので、お守りとしてビザを取るのもありかと思います。
 アルマトイ編はもう少し続きます。

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 結果的に一日を無駄に過ごしてしまいましたが、それでも一日の最後はビールとうまい料理で締めくくりたいと思い、再度よく地図で確認したうえで、日本料理店「かぶと」へ出掛けました。今度は迷いなくたどり着けました。
 周りは住宅街でしたが、そんな中でも周囲から浮いてしまうことのない外観でした。一人でも大丈夫な店かなと思いましたが、全く問題ありませんでした。結構広い店なので、どの程度お客が入っているのかはわかりませんでしたが、私が座ったところの近くでは、パソコンに付属機器を取り付けて一人でなにやら話をしていました。現地に駐在している方っぽいです。
 メニューが豊富で目移りします。居酒屋的なものが目立ちますが、腹にたまるものをということで、一応ここカザフスタンはイスラム圏ではありますが、かまわずかつ丼を注文しました。ビールもいくつか種類があるようですが、店員が「エフェス(トルコのビールです。飲みやすいです)…」と言ったのでエフェスに即決しました。オーダーはカザフ人の店員にも日本語でOKです。
 ビールがきました。おおっ!冷えたジョッキです。うまい!カザフ人やロシア人の好みは知りませんが、日本人の好みのツボを押さえています。このようなビールを出してくれるなんてうれしい限りです。しばらくしてかつ丼が来ました。ずっと体調が悪くて水分ばかりとっていたのですが(体調が悪いのにビールとかつ丼とはなんたることかという突っ込みは受け付けません)、本当においしかった。昔は海外に出て現地のものを食べないでいる連中を馬鹿にしていましたが、自分も焼きが回ってきたということでしょうか。そんな過去はあっさり抹殺して転向です。
 しばらく店内にいると、ぼちぼちお客が入ってきます。店員に対して日本語で話していると思ったら身内では韓国語を話し始めたりする人もいたりしましたが、カザフ人のお客はこの日はみかけませんでした。誰か話し相手になる人はいないかと居座っていましたが、そういうお客はいませんでした。私は酔った勢いで店員を捕まえてぐたぐた話をするようなイタいオヤジではありませんので、徐々に酔いが醒めてくるころを見計らってお勘定してもらいました。その時、日本人男性の店員に滞在登録について尋ねてみました。カザフの滞在登録のルールは厳しいかと。返ってきた答えは国境を通過できないかもしれない、と。そりゃそうです、それがルールなら。明日の出国に向けて何か心が落ち着く話が聞けたらと思いましたが、こうなったら成り行きに任せるのみです。
 明日は陸路でカザフを出国してキルギスへ、そしてさらに夜行便の飛行機でロシアのエカテリンブルクに移動します。きつい一日になりそうです。

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 次の日は、車で陸路カザフキルギス国境を越えて首都のビシケクに入り、ある程度時間をつぶしたのちに空港に行き、深夜便でロシアのエカテリンブルクに行く、というのがスケジュールです。
 ところが先に述べたようにカザフスタン入国時に問題が発生しました。それは入国時に渡される入国カードにスタンプが1か所しか押されていなかったことです。これは当局による滞在登録が完了していないことを表します。そしてその場合は入国5日間以内に登録を済まさなければなりません。5日未満の滞在ならその限りでないという日本大使館の情報もありますが、できれば済ませたかった。なぜならば、その情報が本当ならいいのですが、仮に本当でも出国時に係官からどんな難癖をつけられるかわからないからです。さらにもしその情報が誤りならば最悪出国できないことになります。しかしながら結局登録できななかった、というのが昨日までの話です。今回の旅最大の試練です。
 ホテルを9時頃出発しました。バスターミナルは昨年も利用しています。その時は中国のウルムチ行きを利用しました。さてビシケク行きですが、一旦バスターミナル内に入りましたが、どこに行けばいいのかわかりません。呼び込みがあるんじゃないかと思い込んでいましたが、そのような声は聞こえてきません。しばらくうろうろしていましたが、そういえば道路の反対側にもターミナルらしきものがあるという記述がガイドブックにあったことを思い出し、そちら側に行ってみると、バスターミナルらしきものは見当たりませんが、「ビシケク!」という声が聞こえてきました。どうやら乗合タクシーのようです。といってもタクシーという表示とか看板はありませんので、パッと見は白タクと変わりません。ナンバーにキルギス国旗の絵が入っていますので、キルギスの車のようです。自分は車は詳しくないのですが、後ろを見るとトヨタのマークが入っています。確か「サクシード」の文字プレートが入っていたんではないかと記憶しています。ついでに言うと右ハンドル車です。運賃は3000テンゲ(約1500円)。高いのか安いのかわかりませんが、この車で行くことに決めました。ところが、当初この車には客が1人しかいませんでした。車は乗客が埋まらないと出発しません。すぐに客が集まってくるだろうと高をくくっていましたがなかなか集まりません。もっとよく調べて選んでおけばよかったかもと思い始めたころようやく客が集まり、10時前に車は出発しました。

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 自分の席は一番後ろの左側です。隣はキルギスかカザフかわかりませんが若い女性が座っています。トヨタ車は軽快に走ります。2時間以上走った頃でしょうか、途中に検問らしきものがありました。全員身分証明書を出しました。自分もパスポートを見せました。すると入国カードを出せみたいなことを言ってきます。カードを出すと、係員はカードの、2つ目のスタンプが押されるであろう部分を指で示しました。おそらく「ここにスタンプがないぞ」と言っているのではないかと思いますが、パスポートにあるビザのページを指して、まだ3日目だと指で示したら、カードを返してきました。どうやら入国カードは外国人にとって大事な書類のようです。係員は解放してくれましたが、やはりここに2つ目のスタンプがないのはまずいようです。しかしながら今さら引き返せません。もう何かあっても突破するしかありません。

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 3時間ほど走ったら、国境の街に到着しました。カザフ側の国境はちょっとした町になっていました。車は一旦両替所の前に停まったので、ここでキルギス・ソムを入手しました。そして検問所に到着しました。ここで客は荷物を持って歩いて建物の中に入っていきます。中は出国審査場でした。ブースはいくつかありますが結構混んでいます。同じ車に乗っていた人たちは普通にそこを進んでいきました。そして自分の番です。
 パスポートを提出すると、自分は無表情な顔を作って、係員と目を合わせないようにしました。心を落ち着かせるため、そして係員に自分の心の中を悟らせないためです。ついでながら声をかけるなオーラも出ていたかもしれません。すると係員は「イイダ・ヒロシ?」と言ってきます。やはり無事には通過できないようです。返事をするとなにやら言ってきますが、なんとなくオマエ何語ができるかと言っているような気がしましたので、「アングリースキー(英語)」と答えました。係員は入国カードを持って、スタンプがないと言っているような感じでしたので、自分はカザフスタンに入って3日目だと、ブロークン英語で言い返しました。すると係員は「OK」と言い、入国カードを持って、ここに自分の名前を書け、ここに日本と書け、ここにはカザフスタンと、そしてここにパスポート番号を、と指示されましたので書き加えると、最後に、ビザはこれで終わりでいいんだなと確認してきましたので、了解すると出国スタンプが押されてパスポートが返ってきました。無事というか、なんとか出国できました。
 正当に通過できたのか、係員の裁量で仕方なしに通過できたのかはわかりません。ただ腑に落ちないのは、去年と同じ国境を通過したのに、前回はスタンプが2か所押されたのになぜ今回は1か所しか押されなかったのか、ということです。得体のしれない外国人を扱える人が今回その場にはいなかったということでしょうか。謎です。
 カザフ側の建物を出ると、どぶ川のような匂いを発する川を越えてキルギス側の建物に入ります。ここでは第三国人のパスポートは一旦係員に別室に持っていかれ、しばらくすると入国スタンプが押されて返ってきました。これで終わりです。国境通過できました。一安心です。反対側のキルギス出国側はこちら側の数倍の人数が並んでいます。逆コースだと一体どれくらい時間がかかることでしょうか。
 闇両替の声を無視して歩いていくと、自分が乗っていた車が前方に停まっていて、運転手が手を振っているのが見えてきました。カザフ通過に手間取っていたので、ちょっと待たせてしまっていたようです。これで首都ビシケクに向けて再出発です。
 時間がかかった言い訳ではないですが、隣の女の子に自分のパスポートを見せてみました。驚いたわけではないが、だから何?というわけでもない表情で眺めています。国境通過前の休憩時に、運転手が「トヨタ車はいいねぇ。日本車はいいねぇ」とか言ってきますので、「ラハマットラハマット(中央アジア語でありがとうありがとう)」と返事をすると、この子、外国人がロシア語でなく現地語を話すのが可笑しいようでケラケラ笑っていました。年齢はわかりませんがいい子です。
 キルギス側の道路の舗装はカザフ側と比べて若干悪いようで車がよく揺れます。自分にとっては8年ぶりのキルギスです。運転手がどこへ行く?と聞いてくるので、アフトヴァグザール(バスターミナル)と答えたので、そこで降りました。そこで街中に行くバスを確認してバスに乗り込みました。とりあえず中心部に行きますが、エカテリンブルク行きの飛行機に乗るまでの時間をどう過ごそうか。

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