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「2021.11.6 アイルランド代表×日本代表」観戦レポート

アイルランドキャプテン、ジョニー・セクストンの100キャップ目となるアイルランドでのホームゲーム。「勝って皆でお祝いしたい」。その一心でアイルランドの選手は、燃えていた。

日本代表は、その気迫に押され、プレッシャーを受け、やりたいことをほぼやらせてもらえなかった。浮き足だった日本を相手に、アイルランドはどんどんボールを動かし続けた。長短のパスを織り交ぜながら、空いているスペースにボールを運ぶ。一人一人の強さもさることながら、絶対に俺がボールを前に運んでいくんだという強い意志が見られた。アタックのシステムが機能していたことやスキルが高かったことだけでない、気持ちの充実が際立った。

個々の判断も秀逸だったように思う。システムに忠実なだけでなく、誰かがこのプレーをしてみようと仕掛けると、周りの選手も素早く反応していた。よりナチュラルなアタックになり、日本としては想定外のディフェンスを強いられ、新たなスペースを作られることになった。流れるようなアタックに対して日本のデフェンスはさらに後手に回り、「どうしたら良いのか??」と、少しパニックに陥っているようにも見えた。

本来の日本ならば相手一人に対して二人でタックルに入る(ダブルタックル)がさせてもらえず、強さで押し込まれ、グラウンドの横幅70mをフルに使ってボールを運ばれ、縦にも横にも揺さぶられた。セットプレーのラインアウトからはモールを有効に使われて、モールに人をかけざるを得なくなり、人が集まった時には、そこから一気に展開されトライを奪われた。モールの周辺の穴を突かれてトライされることもあった。的を絞らせないアイルランドのアタックは流石だった。

ここまでアイルランドの良さばかり書いたが、それほどにアイルランドが良かったし、日本は上手く戦えなかった。

試合中にどう修正するのか?誰が修正するのか?を考え、対応することは、日本代表の新しいキャプテンのラピースにとって良いレッスンになったようにも思う。

アイルランドキャプテンのセクストンは良くレフリーと話をしていた。ボールを早く動かそうとして、ペナルティから速攻を仕掛けた。そのプレーは残念ながら認められなかったが、レフリーに会釈して、肩をポンと叩いていた。また、自陣でアドバンテージを得た時には、早くペナルティをくれと、促すこともあった。メンバー交代で自分自身がベンチへ下がる時には、レフリーと握手をしていた。良いリーダーシップであった。
レフリーも人である。このようなコミュニケーションがあるとセクストン及びアイルランドには強く言えなくなる。百戦錬磨の男のしたたかさを見たなと思う。

しかし、こういった経験も一度味わってみないとなかなかわからない。ラピースもここから学んでいくのだろうと思う。前キャプテンのマイケルもぜひともサポートしてあげて欲しい。

日本の唯一のトライは、ディフェンス中、相手が孤立したところで反則を誘った。そこからすぐに仕掛けて、相手ディフェンスが思い切って前に出れない状況を作り、トライを取った。素晴らしいプレーだった。その前後でもどんどん仕掛けるアタックが垣間見れた。心配されたセットプレーにおいては、スクラムは良く耐えた。
ただし、ラインアウトは良くなかった。相手の方が大きいので、相手より早くセットするなど色々な工夫を考えていたはずだが、何かしらの要因があってできなかったのであろう。次の試合に向けての課題となった。

ここからは今後について考えたい。

次の試合はポルトガル戦。ランキングとしては、日本より下位になる。結果も求められるが、何よりも過程が大事だ。自分たちが大事にするラグビーは何なのか?そのラグビーを実現するために大事なことは何か??ひたむきさや選手同士のコミュニケーションが重要になってくるのではないかと思う。もう一度自分たちを見つめ直すには良いきっかけを頂けた。ここからの頑張りに期待したい。

ヨーロッパツアーの初戦のアイルランドから学べたことはフィジカルやスキルだけでない。個々のひたむきさとその試合にかける大義ではないかと思う。


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