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障がいをこえたコミュニケーション

 オムロン太陽50周年記念式典にお招きいただいた。テーマは「未来の働き方」。主役は人であった。

 以前工場を見学をし、障がい者の雇用を先進的に進められているオムロン太陽さんの取り組みとそのイノベーションを学んだ。
 今回は、式典でクロストークに参加させていただいた。その後の特別工場見学では、様々なことを学んだ。

 一つのチームは、聴覚障がいのある方が2名、車いすの方が1名、健常者が1名だった。そのチームは、手話、筆談、目、声、とあらゆる方法でコミュニケーションを取りながらプレゼンしていた。お互いの能力を活かし、テクノロジーも使いながら助け合って仕事している様子を目の当たりにして、コミュニケーションの本質に気づかされた気がした。

 また、マスクではなく、フェイスシールドだった。理由は、マスクだと口の動きが見えず聴覚障がいの方が理解しにくいからだそうだ。
 コロナへのリスクを気にする考え方もあるかもしれないが、それよりも、この時間は円滑にコミュニケーションが取れることを大事にしたいという考え方に、僕は賛成だ。

 相手が誰であれ、普段のコミュニケーションでもつい、これぐらいでわかるだろうとこっちの事情で話をしてしまうことがある。相手の状況の見極めが雑なこともある。それでは伝えたようで、伝わっていない。

 しかしこのグループのプレゼンは、相手に伝わることを第一に対話をする。伝えようとする心があるから、伝わる。相手を観察し、その気持ちに寄り添うように伝える。
 これらがコミュニケーションにおいてとても大切であることを、目の前で実感できた。

 思いやりのある対話が当たり前になっている時間には、なんだか優しい空気が流れていた。オムロン太陽の立石社長はとても温和な方なので、その空気はリーダーの雰囲気も影響しているのかもしれない。皆、とても楽しそうだった。

 他には、覚えるのが得意ではない仲間のために改訂された作業書の話や、ひとりひとりの個性に応じて、仕事をしやすくする道具やシステムの作成についてなど、日々改善されている努力について伺った。

 それらは、障がいのある方のための改善を目的とした技術開発であったとしても、結果的に健常者の理解促進やスピードアップ、全体のコスト削減につながっている。

 社員の方は、これらの改善・開発が、仲間との接し方を考えるキッカケになったと仰っていた。

オムロン太陽は小さな改善をずっと繰り返し、5400日を超える無災害稼働を続けている。社員の一人は、ここで定年まで楽しく働きたいと言っていた。
ひとりひとりが自分を活かし、良き仲間と仕事をする。理想的な企業像だと思った。

 今後、障がいのある方とともに働くノウハウを社外へ共有する活動をしたいとも伺った。本当に素晴らしいことだと思った。

 僕としては、この普及・PRの一つの方法として、スポーツを掛け合わせてサポートできないかと考えている。アフリカなどの新興国で一緒に広めていくのも良いかもしれない。夢が膨らんだ。

 仕事ではあったが、心からワクワクする文化祭のような一日だった。
 
 その夜に宿泊したホテルは、バリアフリーの部屋も準備されていて、申し分ないように感じたが、現実は、バリアフリーの部屋のお風呂が深くて出るのが大変だったとか、大浴場の温泉は段差があって入れないなど、まだまだ改善が必要な部分もあった。

 もちろん全てに対応することは非常に難しいと思う。それでもあらゆる人が温泉などのレジャーを満喫できるようになって欲しい。そのために声を上げ、皆が楽しめるように作られたものを選択していきたい。

 素晴らしい式典と工場見学を経て、さらに視野が広がり、皆であらゆる違いをこえたコミュニケーションをとってより良い世の中を目指したいと改めて感じる大分訪問だった。




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