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「みのミュージックリスナーが選ぶ名盤」に投票してみた


愛聴しているYoutubeチャンネル「みのミュージック」で、「リスナーが選ぶ名盤」の投票企画が行われ、私も投票しました。
みのさんは同い年なのに非常に博識な上に、折に触れて話す芸術評論がとても的を得ており、いつも勉強になります。

ルールは邦楽と洋楽の名盤を5つ挙げるだけ。ですが、何を持って「名盤」とするかは各々の判断なので作るのに悩みました。

結論から先に言うと、

「全体を通しで何度でも聴けるか」

を最大の評価軸にしました。
1曲目から最後の曲までを集中して聴ける、なおかつリピートして聴き込めるーそこに価値を置いています。
したがってトータルの収録時間が40分台のものが多く、レコード全盛の作品だったり、アナログで聴くこと前提の作品が多めになりました。

それから「名盤」と位置づける以上、自分の好みなのは勿論のこと、ある程度の世間的評価を確率したものに絞っています。

【邦楽部門】


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1位 A LONG VACATION / 大瀧詠一

いきなりド定番のド王道で申し訳ないですが、やはりこれ以上にアルバムの完成度として完璧な作品というのが思いつかなかったです。『君は天然色』と『さらばシベリア鉄道』という、超キラーチューンが最初と最後に入っていることもさることながら、その間の楽曲がアルバムジャケットの世界観を見事に表現しています。トロピカルな南国への幻想が80s的な享楽観と結びついてより切ないですね。もはやもうこういう夢が見れる時代は二度と来ないんだろうなって。


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2位 氷の世界 / 井上陽水

ここも超定番ですが、もはや一つの文学。音もめっちゃカッコいいのは勿論ながら、歌詞が凄い。日本語を母語とする人間に生まれて、冥利に尽きるといいますか。今の時代に繋がるというか共鳴するテーマが多く、「1973年の時点でもうここまで歌っていたんだ」と驚かされます。このアルバムの制作秘話を描いたNHKのドキュメンタリーも非常に面白かったです。



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3位 HOSONO HOUSE / 細野晴臣

『風街ろまん』は絶対入れたかったのですが、動画内でみのさんが「風街ろまんとかを選ぶようなリスナーばかりじゃないであって欲しい」と言っていたので笑。それでもあえて『風街ろまん』を推しても良かったんですが、同じくらい好きなこのアルバムにしました。土着性というか、日本の肌触りとか香りを想起させる味わいに満ちています。



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4位 HARD TO THE CORE / V.A.

反則だけどコンピレーション笑。5年前に急逝したD.L.(DEV LARGE)がセレクトした“日本語ラップ黄金期”の名曲揃い。「日本語ラップ」と言いつつ、本人はライムやリリシズムよりトラック・「聞こえ」を重視しているそうです。勝手なイメージですが、ラップミュージックはタイトでコンセプチュアルなアルバムを通しで聴くというよりも、いろんなアーティストの曲を横断的に聴く印象。このアルバムは、まさにラジオを聴いているような感覚にさせてくれる1枚です。


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5位 LAST DANCE / Blankey Jet City


個人的には1位なんですが、流石にトップ3と比べると知名度が低いし、ライブアルバムなのでこの位置にしました。ブランキーの解散ライブの音源なのですが、とにかくもう凄まじい。この場に居た人が心から羨ましいです。高校時代、ベンジー(浅井健一)の書く詞がとにかく刺さりました。
「ここではないどこか」を渇望して、不良になりバイクを走らせる。
けどどこに行っても、憧れのアメリカ映画や文学の世界は存在しない。
そんな二重の孤独が根底にあって、その繊細な心情を彼にしか出せない唯一無二のギターの音色に託す…
いずれ「Blankey Jet Cityの歌詞の世界」は掘り下げたいです。青春です。


【洋楽部門】

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1位 Illmatic / Nas

ここが一番迷いませんでした。アルバム全体をツルッと聴ける上に、全曲が神曲。音の質感のくぐもりは、あの時代のニューヨークの空気感がそのまま真空パックされているような感覚になります。(その時代を知らんけど笑)
現地で評価されているナズの歌詞の世界観とか奥深さみたいなのは正直よく分かりませんが、そんなの関係ねえ。最強プロデューサー陣が結集して作られたトラックのカッコ良さにヤラレます。
ヒップホップ入るまでは「ドープって何だよ」「コアって何だよ」と思ってたんですが、まさにこのアルバムはドープとしか表現出来ないサウンドスケープです。


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2位 狂気 /  Pink Floyd

大好きなアルバム。たぶん狂気を『Time』とか『Money』だけ聴くって人はいないと思うんです笑。アルバム全部で1曲みたいな価値観を持つものの中で、1番有名で1番売れて1番聴かれている作品なんじゃないかなと。それぐらい良い意味で取っつきやすいし。
レディへ信者だった高校時代に『Kid A』とか『Amnesiac』を「こんな実験的なサウンド今までないから!」と周囲に吹聴しており、その後ピンク・フロイドを聴いて恥ずかしくなったことがあります。


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3位 Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not / Arctic Monkeys

人生で一番聴き込んだアルバムの1つです。本当はアークティック・モンキーズの中で一番好きなアルバムは、「彼らがやりたい音楽」と「ファンが望んでいる音楽」が真の意味で一致した5枚目の『AM』なのですが、やはりこの1stの衝撃たるや。「初期衝動」という言葉がぴったりな荒々しさ、それでいてクールでダンサブルでメロウなバランス感圧倒的な若さが醸し出す無限のポテンシャル。自分の中ではロックの1stアルバムでこれを超える作品はないと思っています。
しかしその勢いが凄すぎたせいで、「ロックの救世主」的ポジションに祭り上げられたのは彼らにとっても不幸だったなー...とか考えたり、思い入れが強い作品です。


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4位 The Bends / Radiohead

正直『OK コンピューター』の方が完成度だったり成熟度だったり、様々な面において「名盤」なことは分かっています。ただ通しで聴きやすく愛着が強いので、僕はベンズを推します。わりと王道なギターロックで非常に取っつきやすいし、とにかく全曲が美メロなので心が洗われる気がします。



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5位 Voodoo / D’angelo

改めて調べなおしたら、このアルバム1時間19分もある笑。なので他とは少し毛色が違うかもしれませんが、まあ良いでしょう。実際、このアルバムを悪く言っている人を見たことがない。
ディアンジェロ は本当にオンリーワンというか、言葉でうまく説明できないです。最初はヒップホップぽいんだけど、だんだんラテンとかアフリカンな感じも入ってきて、もうジャンルとか時代を飛び越えていく感じ。『Spanish Joint』よりカッコいい音を僕は知らないです笑。


【次点の作品】

ベスト5だと、やっぱりどうしても溢れるアルバムがいっぱいあって…
最後まで迷ったのが、邦楽は山下達郎の『FOR YOU』とかRHYMESTERの『リスペクト』、洋楽ならSly&The Family Stoneの『Stand!』とBeyonceの『Lemonade』とか。

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ただ『 A LONG VACATION』があるなら『FOR YOU』はいいかなとか、『リスペクト』は通しでは聴けないなというのがあって。『Stand!』も『Lemonade』もめっちゃ好きなんだけど、流石に『Voodoo』より上かと言われると…(個人の意見ですが)


なるべく個人的な意見を抑えつつ、客観的な評価で組み立てようと思ったのですが、何だかどっちつかずなランキングになってしまいました。
でもこういうのは、考えている時が一番幸せなので後悔はしていません。
結果がどうなるのか、動画が今から楽しみです。

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