見出し画像

【書評?】殺人出産

殺人出産 村田沙耶香著 講談社文庫

まずはじめに

書評というようなものは書けないなと思うので、ネタバレしない程度に自分の思ったことを書いていけたらな思っている。村田沙耶香さんの作品は初読。【コンビニ人間】で芥川賞を受賞されたことは知っていつつも、なかなか読む機会はなかった。

表題作を含めて4篇からなる短篇集なのかな。総ページ数も200ページ足らずと読みやすい作品だと思うけれど、設定はぶっ飛んでらっしゃる。そしてそれが読みやすい。不思議。というわけで、表題作と私の気に入った作品を紹介しようと思う。

殺人出産

10人の子どもを産んだら1人を殺せるシステムが導入された日本が舞台となる今作。命を奪うものが命を産みだすという『殺人出産システム』で日本は人口を保っていた。

会社員の育子には周りには話していないが【産み人】となった姉が存在しており、もうすぐ姉の10人目の出産が迫っていた。

殺人出産が当たり前となった世界で、過去の普通を求める同僚早紀子、流行に敏感なチカちゃん。そして産み人になる人が居れば死に人になる人も居る。産み人にならずに殺人を犯すと、死刑ではなく産刑という死ぬまで、出産を繰り返させられる刑に処される。

そうして産みだされた子どもたちはセンターに預けられ、センター子と呼ばれる。

私の感想としては不思議な世界だなと思った。合理的だと思える反面、産み人になってまで殺したい人間、その人を思い続ける情念って凄いなと。過去の普通を求める早紀子は普通の人のはずなのに、この作品の中だと狂気を孕んだ変人に見えてくるから不思議だ。

どういう結末になるのか、ぜひ読んでほしい。

トリプル

カップルで付き合うのが普通だったのは昔の話で、今の流行りはトリプルで付き合うことだ。トリプル…その名の通り三人で付き合う。それは性別を超越している付き合い。

トリプルなんてふしだらだという親には黙って、トリプルで交際する真弓、カップルとして付き合う友達のリカ。カップルとトリプルでは付き合い方がまるで違う。真弓はカップルになったことがなく、トリプルとしてのセックスやキスしか体験したことが無かった。

自分がトリプルとして付き合っていることが母にバレたその日、彼女はカップルのセックスを目撃する。

私の感想としては、こんな世の中が来たって不思議じゃないなということ。性別なんて曖昧で良くて、付き合い方も曖昧というかどんな形でもいいんじゃないかなって思うという意味で。

どんな結末になるかは、もちろん自分で読んでほしいのだけれど、トリプルのセックスの描写、よく思いつくなって思ったとだけ言っておこう。

終わりに

読書メーターだったか、Twitterの読書アカウントだったかで見つけて気になって購入した本だったけれど、あたりだった。他の作品も読んでみようと思うけれど、おススメは何があるんだろ。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,831件

よろしければサポートお願いします。頂いたサポートは治療費や創作活動に使用させていただきます。