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すべての上司は無能/すべての部下はやる気ゼロ/その対策

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

すべての上司は無能である、という命題があります。

ピーターの法則
有能な人は限界に達するまで上位の階層に昇進し、その人にとっての最上位の階層で無能化します。 そして、無能な人は昇進せず同じ階層にとどまり続けます。 そのため、結果的に階層社会のすべての人が無能化することになります。

法則の理解

仕事の難易度が、10の役職、20の役職、40の役職、80の役職があったとします。※倍々ゲームになっているのはぼくの経験則
能力が50のひとは、40の役職までならば、トントン拍子で出世する。そして最後に、40の役職から80に出世すると、能力不足になる。「無能な上司」が完成するでしょうと。

法則への疑問

上記の法則をはじめて知ったとき(15年ぐらい前か)、違和感があったんです。……それでも組織は回っている、と。全員が無能化したら、組織はすぐに停止して崩壊するのではないか?

ぼくは考えました。
「まだ能力の上限まで昇進しきっていないひと」が組織を回しているのだと。力量50のひとが、期待値40の役職にいるとき、余ったプラス10によって、組織は前進している。

やはり経験則ですが、組織で評価され、当人が高いテンション(緊張感、張り合い)で仕事ができるのは、「いつ昇進してもおかしくないとき」だと思います。力量が50で、期待値40のときですね。
周囲からは、「もっと上席にいても不思議ではない」と言われます。尊敬されるし感謝されるから、もっとがんばれちゃいます。

ビジネスマンも含めて、成功するための人類学的な法則?として、give(贈与)を先にしましょう、と言われます。さきに他人に与えることで、やがて返報(お返し)を受けられる。
勤め人ならば、組織に多めに貢献することで、若干のタイムラグを伴い、組織からの報酬(昇進)がある。
これが「正」の応酬、スパイラルでしょう。

以上から導き出されるのは、
組織は、「役職以上に貢献しているひと」が「昇進するまでのタイムラグ」の期間を使って回しているのだと。
抽象的なイメージだけでしゃべってますけど、この記事の起点になったピーターの法則がふんわりとした直感に基づくのでご勘弁を。

現実的にはあり得ませんが、組織への貢献度を、毎日のように適正に査定し、役職や給料を毎日変動させるシステムが完成されると、その組織は(理想的で完璧な評価システムがあるにも拘わらず)成長が止まる。

だったらどうするか

法則の検討は大いに結構なんですけど、勤め人はどのように振る舞うのがよいのか。
ぼくの考えですけど、「正当な待遇を受けていないと感じたら辞める」「2年か3年、期待する昇進昇格を足踏みしたら辞める」です。

当人の能力が50として、役割40のポストをラクラクと通過し、役割80のポストに就いたとする。当人は、然るべき努力(あるいは我慢)をする。そこまで昇進した人材なので、根っから怠惰で無能ということはない。むしろ、マジメで仕事熱心です。
かの能力50さんは昇進後、100や120の成果が余裕で出ているとまでは言わないが、役割80ぐらいは届いているのではないか?と自己評価します。努力をしてしがみついているのだ。まさか自分が「無能」化しているとは思いもよりませんし、思いたくないです。
しかし、毎回の査定は低い。周囲からの尊敬も失われる。ピーターの法則が発動した状態になっている。腐ってやる気を失います。

5年、10年と粘ることで、能力50から60に改善することはあるでしょうが、そのペースは遅いし、もとからポストにマッチングしているひとには勝てない。苦労と我慢は報われません。
スタートダッシュして同年齢の平均年収を引き離していたはずなのに、徐々に平均の集団のなかに埋没していきます。

これは希望だと思うんですが、
すべての業界・職種・組織で、共通の評価基準があるわけではない。例の能力50さんは、その組織に属した場合、発揮できて評価を受けるパフォーマンスは50だというだけで、べつの場所にいけば、能力90が出るかも知れません。相性の問題が多分にあるでしょう。
(転職した結果、能力30にまで下がるかも知れませんが)

ピーターの法則で「無能な上司」となり、昇進を阻まれ続けて、さらに上位者から見れば「腐った部下」になるのは、その組織とのミスマッチが起きている状態。
過去の昇進街道を驀進中はマッチしていたが、年数が経過し昇進した結果、ミスマッチに変わった。そういうことは、全然あるでしょう。

「フォロワー」「知り合い」レベルでは良好だったのに、「友達」になるとイマイチになり、「親友」としては付き合えたものではない、みたな人間関係と同じだと思います。

希望的観測として、日本で「転職するたび生涯賃金が下がり続ける」「価値観において終身雇用の幻想が抜けない」みたいな世界が終わりつつあると思うので、組織にしがみついて、「無能な上司」「やる気を失った部下」として老害の域に突入するよりは、転職や商売がえをしたいものです。

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