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「会社を辞めて博士号を取った後どうするの?」への回答

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねていました。いまは有給休暇の消化中です。8月下旬に退職します。

ぼくは大学院での学業に専念するために会社を辞めます。実際にそのように会社に言っているし、その通りです。いま博士課程後期の1年生で、3年から5年かけて「博士号(文学)」を取得する予定です。博士号を取得したころ、40歳代のなかばになっているでしょう。

こういう話をすると、かなり多くのひとから、「会社を辞めて博士号を取った後どうするの?」と質問されます。

この質問には、虚を突かれました。
「博士号を取った後の人生計画だって??そんなこと想定していなかった。まったくの慮外のことだ。自分の短慮が招いた見落としだ。指摘して頂いてはじめて気づいて、心配になってしまった。やはり社会人たるもの、3年から5年、ときには10年、20年先まで計画的に生きないとダメですよね。不勉強でした、慚愧慚愧」
……というわけじゃないです(笑)

「そんなの、博士号を取ってみなくちゃ分からないじゃないか」
とぼくは言いたい。
本当にそのように思っている。
あっさりしたもんですよ。

大学院の勉強は「すごい」もので、みるみる知見が開かれていく。3年前は想定していなかった世界にいるし、2年前は見えなかった景色を見ているし、1年前に持っていなかったものが手中にあります。
あと3年から5年、勉強(研究)を続けたら、自分がどのようになっているか、まったく予想がつきません。アラフォーの中年だけど、みるみる成長しちゃって、まじで「やばい」ですからね。

いやいや、そんな夢見心地の少年みたいなことを行っているんじゃなくて、職業とお金をどうするか?ってことなんだよね??
大学院に在籍して生じた「キャリアのブランク」をどのように埋め合わせるのか?社会復帰したくなったら面接でなんて言うつもり?「好きなことを勉強してました?」とか社会を舐めてるよね??絶対にどこの会社にも入り直せないし、やっていけないよ??、そんなふざけた生き方で就職先のアテはないよ??
とか、そういうことを聞きたいんですよね。分かります。いや、同意はできないけど分からなくはないです。
国民年金は払えるの?介護保険の負担もあるんだよ?老後資金はどうするの?きちんと2000万円なり4000万円なり、貯められるの??そもそも家賃や生活費は??学費だってかかるんだよね??

…………。

そんなの知ったことではないですよ!!

会社員をやっていたら、1年後はこれぐらいの立場で、3年後までには人事異動があって、中くらいの評価をもらい続けたら年収がこれぐらいで、、という人生プランを考えます。
逆に、このように「半分以上、すでに見えている」未来から逸脱することに対する不安も大きかった。「大きなミスをしなければ、このレールから外れない」と未来を算段できるということは、反対にレールを逸脱する場合の恐怖との戦いです。
敢えて煽るならば、せいぜい毎年1%~3%ぐらいの成長しか見込めない人的資本(自分の価値)の上昇幅を想定しているから、未来がそのように「計画可能」だと思うのでしょう。

ぼくはいま41歳で(あと2ヶ月で42歳)、45歳のとき、博士課程の4年生か、あるいは博士号ホルダーになっていますが、どんな見識をもった人物になって、どんな仕事が「くる」ようになっているか、どんな仕事を「したい」と思っているか、予想できません。
新規上場の株と一緒です。数年後、価値がゼロになっているかも知れないし、10倍になっているかも知れない。20倍かも知れない。

「会社を辞めて博士号を取った後どうするの?」
に対する回答は、「あはははー、どうするでしょうかねー、ぼく全然ダメですねー、どうにかなると良いですけどねー、困りましたねー、えへへー」が「会社員」的には正解なので、そんな感じで答えてきましたけど、そんなの分かるほうが変ですし、なんなら愚問だと思いますけど。如何。

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