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蓄電池が世界で普及期に・・・日本は?

■蓄電池の普及と日本のシェア
今朝4/30の日経新聞には、蓄電池が普及期に入ったとの記事が出ていました。そしてそのその急拡大する蓄電池市場を牽引しているのは、米中欧という状況で、グラフを見る限りでは、日本はまったく絡めていない状況で日本は全体のたった2%という状況のよう・・・しかも実証実験では15年までは世界最大規模だったにもかからず、商用化で遅れたようです。

再生可能エネルギーの拡大に不可欠な蓄電池が普及期に入った。2023年に世界で新たに追加される容量は前年比87%増の30ギガワットと、5年で約10倍に増える。リチウムイオン電池の価格が5年で6割も安くなり、各国政府による多額の補助金も下支えする。もっとも、温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標には届いておらず、供給力の一段の向上が急務だ。
再生エネの主力電源化に、蓄電池は欠かせない。太陽光も風力も天候によって出力が左右される。発電に適したタイミングで蓄電池に電気をため、悪天候時に使う仕組みを整える必要がある。
米調査会社ブルームバーグNEFが集計した。市場をけん引するのは、国を挙げて再生エネの導入を進める中国だ。22年には21年比2.3倍となる5.6ギガワットの蓄電池を新たに導入した。全体の34%を占め、地域別で世界最大となった。
全体の27%を占める欧州でも大規模な蓄電所の建設が相次いでいる。スペインの電力大手イベルドローラが22年に2800万ユーロ(約41億円)を投じ、アイルランドで0.05ギガワットの大規模蓄電所を稼働させた。
一方、日本は全体の2%にとどまる。15年まで各地で実証実験が行われ、世界最大の市場だったが、商用化で出遅れた。日本の再生エネは発電した電気を需要の有無にかかわらず決まった値段で買い取る固定価格買い取り制度(FIT)で普及したため、電気をためる用途で使われる蓄電池の需要が伸びなかった。
ブルームバーグNEFによると世界の蓄電池の追加容量は30年に世界で87ギガワットと、23年の3倍弱の規模に達するとみられる。30年まで年平均23%で拡大する見通しで、蓄電池がようやく普及期に入ったといえそうだ。

2023/4/30 日経新聞 朝刊

■そもそも蓄電池は脱炭素の上でなぜ必要か
蓄電池とは、1回限りではなく、充電をおこなうことで電気をたくわえ、くり返し使用することができる電池のこと。スマホやノートPCなどに内蔵されているバッテリーなどもその一種。

カーボンニュートラルを進める上では太陽光発電や風力発電などの再生エネルギーの活用がキーを握る。しかしこれらの再生エネルギーは出力(発電量)を天候に左右されてしまうということもあり、ここで蓄電池を利用すれば、再エネ電源が需要以上に発電した時には使い切れない電気を蓄電池に貯めておき、必要な時に放電して利用するということが可能になります。
また太陽光や風力などの再エネは天候によって出力が大きく変動するということは、電力が平準化されていないために、電力系統に大きな負荷をかけてしまいます。変動が大きくなれば、最悪、停電なども発生してしまいます。
よって再生エネルギーの広がりにともなって、蓄電池は必要になります。

これまでは固定価格買い取り制度(FIT)という制度があったために再生エネルギーを生み出した電力を電力会社への売電するということが目的となってしまっていましたが、FITの制度が終われば、今後は再生エネルギーの電力を蓄電池に蓄えて、自宅で利用するという使い方になっていきます。
しかしそもそもFITという制度でなく、再生エネルギーを蓄積する蓄電池に対する補助金制度がしっかりしていれば、もっと蓄電池市場における日本の市場シェアは大きかったのではなかったかな、とか思ってしまいます。
やはり長い目で目的を見据えて、制度を導入しないと、結局は進んでいた蓄電池技術も他国の技術に負けてしまうか。とても残念だと思いました。

■でも日本でも動きが
ちょうど4/28の朝刊にあったホンダとGSユアサの記事は、このような状況に一石を投じる動きかなと思いました。ぜひ、他の企業も続いてほしいです。そして早く日本にも再生エネルギーが広がってもらいたいところです。
日本の電力会社が、エネルギー費の高騰によって揃って赤字を出しているのは、再生エネルギーに大きく舵を切る、逆によい機会なのではないかと思いました。ぜひ、日本の電力会社も再生エネルギーを大きく進めてもらいたい。

ホンダとGSユアサは国内で電気自動車(EV)や住宅に使う電池の開発や量産に4000億円強を投資する。国内でまず年20ギガワット時以上の生産能力を目指し工場を新設する。2023年に共同出資で設立予定の新会社が主体となり、電池や部材の開発や設備投資を進める。経済産業省が1500億円程度を補助する。
電池を巡ってはEV市場が世界最大の中国や、誘致策を拡充する米国に投資が集中し、技術や雇用の海外流出が懸念されている。国内生産を強化し産業基盤を維持する。
量産をめざすのは、EVや住宅向けのリチウムイオン蓄電池。20ギガワット時以上の電池は、数十万台分のEVに搭載できる規模という。ホンダとGSユアサが新設する共同出資会社は、EVに使う電池だけでなく、開発や販路開拓、企画といった幅広い領域でも協業する。
政府は22年12月に蓄電池を「特定重要物資」の一つとして閣議決定した。蓄電池で補助対象が明らかになるのは初めて。有事などに備え、国内での安定的な開発や供給が必要と判断した。

2023/4/28 日経新聞 朝刊



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