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排出量取引制度の参加促進によって、国民の環境行動を変える

1/12の日経新聞一面に大きく、「政府の脱炭素20兆円支援、排出量取引参加を要件に業種別に削減指針」という記事が出ていました。最近、環境関連のニュースに触れていなかったので、整理をしながらまとめたいと思います。


1)GX推進法とは?

脱炭素社会の実現に向けた新法GX(グリーントランスフォーメーション)推進法が2023年5月12日に可決、成立しました。これにより10年間で20兆円規模となる新しい国債「GX経済移行債」を発行できるようにし、民間資金と合わせて150兆円超の脱炭素投資を進めるというものです。さらにこの新法では、二酸化炭素の排出量に応じて企業に負担を求める「カーボンプライシング」の導入などが盛り込まれました。

このGX債による主な支援分野とは
・鉄鋼・化学などでの製造工程の脱炭素投資
・薄型太陽電池や洋上風力の供給網構築などの再生エネルギー分野での投資
・断熱窓や高効率の給湯器導入などのくらし面での投資
などです。

2)排出量取引の促進

排出量取引とは、「温暖化ガスの排出量を削減する手法の一種で、効率的に温暖化ガスを減らせるカーボンプライシングの一つ。企業が排出枠を売買する仕組みだ。実際の排出量が目標値を超える企業が、取り組みに余裕のある企業から排出枠を買い取ることで目標の達成を目指す。」というものです。
今後は、二酸化炭素の排出量に応じたカーボンプライシングが導入されていきますが、排出量の目標達成が難しい企業がこのような仕組みを使うことになります。

そしてその排出量取引制度への参加を促し、かつ業種別に削減指針が示され、「排出する二酸化炭素(CO2)を何%減らす」といったように温暖化ガスの削減割合を定量的に示すことになるようです。以下がその記事です。

政府は総額20兆円の脱炭素支援をてこに企業に排出量取引制度への参加を求める。企業が自ら判断している現状に対し、政府の支援を受ける要件にして実効性を高める。温暖化ガスの排出削減で業種別の指針をつくり、それに基づく目標を達成できない企業には指導や勧告を検討する。
経済産業省はグリーントランスフォーメーション(GX)推進法の改正案を2025年の通常国会に提出する方向で、こうした対策を盛り込む。
参加を支援の要件にするのは、欧州などに比べ遅れている日本の排出量取引を実効的なものにするためだ。今は参画する企業は国内排出量の5割ほどで、対応が必要な業種で取り組みが不十分との指摘がある。
温暖化ガスの削減が進んでいない企業にとっては、排出量取引に参加しないことで政府の支援を受けられない影響は大きい。要件にすれば企業に対応を促すことになる。

2024年1月12日 日本経済新聞朝刊より

3)やっと動きだした感があるが・・・

正直にやっと企業を巻き込み動き始めたかという感じがしましたが、第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が終わった後に、日経新聞にかかれていた社説では、30年時点で19年比で43%もの削減をしなくてはいけないのに、今のままでは2%しか減らない状況とのこと。

すでに、地球の平均気温は産業革命前より約1.1度高い。上昇を1.5度に抑える世界目標の実現には、温暖化ガスを30年時点で19年比43%削減する必要がある。今の対策では2%しか減らない。

2023年12月16日 日本経済新聞朝刊より

日本は環境への対応に積極的でないと言われています。今こそこのような仕組みを通じて日本企業が団結して日本国民を動かし、そしてグローバルへも影響を及ぼせないか。それがきっと日本経済の強化にもつながるはずと信じています。

カーボンプライシングは、地球に環境負荷を与えている企業からモノやサービスを購入すると、購入者は余分なお金(そのお金が温室効果ガスを減らすことに使えるはず)で負担をしてもらうという非常に理にかなった考え方だと思います。これはきっと国民の行動をも変える一つのきっかけになる、そんな気がします。


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