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カーボンニュートラルを実現するために

引き続き読み進めている超入門カーボンニュートラル(講談社+α新書)であるが、具体的なカーボンニュートラルを実現することが業界ごとにまとめられている章にたどり着いた。大体以下のような感じだ。

電力・・・洋上風力発電ポテンシャルが高く、着床式で128GW、浮体式も加えると552GWもあり、これだけで日本国内のすべての電力を十分にまかなえてしまうとのこと。(日本風力発電協会「洋上風力の主力電源化を目指して」)

交通・運輸・・・温室効果ガスの排出量が多く、世界における温室効果ガス全体の16%を占めているが、電気自動車(EV)や燃料電気自動車(FCV)がその解決策となる。

ICT・・・私自身も身を置いているICT業界においては、今後あらゆる分野のデジタル化が進むことで、その分だけ電力需要が増加していくようである。AI活用による電力消費量の最適化や、さらには量子コンピュータによる大幅な電力消費量削減がその解決策になる。この書籍には書かれていなかったが、富士通ではサーバーを液浸(冷却液に入れて直接冷却)するシステムも開発していることを以前に新聞かなにかでよんだ。ググってみると、こちらの内容のようだ。

石油化学・・・プラスチックリサイクル技術には廃プラスチックを細断したうえで再度溶かして成型する「マテリアルリサイクル」と、廃プラスチックを化学的に還元して単純な分子に戻して、もう一度化学反応させてプラスチックを成型する「ケミカルリサイクル」というのがあるようで、リサイクルの度に品質が劣化していくマテリアルリサイクルではなく、品質劣化が発生しないケミカルリサイクルに注目が集まっているようである。

セメント・・・生産過程で二酸化炭素が大量に出てしまう素材であるが、ソリディア・テクノロジー社では、なんと従来型よりも70%排出量の少ない製法でコンクリートを生産することに成功しているようである。Webで少し調べてみると、「当社のセメントは、水ではなく二酸化炭素と反応します。硬化の間に、当社のセメントとの化学反応によって二酸化炭素の分子がばらばらになり、炭素と結びついて、コンクリートを接着してまとめる石灰石ができます。」とのことが書かれているページがあった。「コンクリート(地球上で二番目に使用されている材料)を地球の炭素吸収剤に変える潜在能力があります」という技術は、コンクリートを作れば作るほど二酸化炭素を削減できるということが可能である。

建物・不動産・・・不動産建築では鉄筋や鉄骨などの鉄材やセメント、コンクリートの生産時に排出される二酸化炭素排出量が大きいため、これらの原料をカーボンニュートラル化することが求められる。そこで鉄筋コンクリート造から木造建築にしていこうという選択肢が生まれる。そのような中、超高層ビルでも木造にしようという動きがあるようだ。住友林業は、2041年を目標に高さ350mの木造超高層建築物を実現する構想W350計画をまとめ、高層建築物の木造化・木質化と街を森にかえる環境木化都市の実現をめざすとある。

気になる取り組みをまとめてみたが、色々な取り組みが行われていることを知って興味が湧いた。

一方で、思い出されるのが新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によって、「各国がロックダウン等の行動制限を課すことで、2020年の二酸化炭素(CO2)等温室効果ガスや人為起源エアロゾル(大気中に浮遊する微粒子)等の排出量は、前年比で産業革命以降最も大きく減少した」という記事。やはり人の行動を変えるような取り組みも必要な気もする。そのあたりについて、今後少し考えてみたいと思う。

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