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気候テックへの投資が過熱、日本でも徐々に。。。しかしまずは気候変動への対応の必要性を一人ひとりが感じるべきか。

9月に入ったのに続く酷暑・・・、気候変動が進んでいる証左と感じる日々です。そのような中、9月4日(月)の朝日新聞朝刊には「気候テック ベンチャー投資熱」という記事が一面の端の方に掲載されていました。


1)気候テックとは

今、世界では毎年590億トンの温室効果ガスが排出されています。産業革命からの気温上昇を1.5度に抑え込まないと、地球上の気候がどうなるのか予測もつかなくなるということで、パリ協定では産業革命からの気温上昇を1.5度に抑えるという目標が定められ、そのために2050年までには実質ゼロ(温室効果ガスを出したら、その分吸収する)にすべく各国が進み始めました。
気候テックとは、この記事でも説明されていましたが、温暖化問題の解決につながるテクノロジーのことです。この中には、温暖化問題の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を減らす技術だけではなく、温暖化の影響への備え(適応策)を進めたり、気候変動への理解を深めたりする技術やサービスも含まれる、と書かれていました。
気候テックに、気候変動への理解を深めたりする技術やサービスも含まれる、ということはこの新聞記事で初めて知りましたが、たしかに、企業のみでなく個人が意識するだけで大きな効果を生み出すのだろうと、思いますので、とても納得しました。

2)どのような企業がユニコーンとしてあるのか?

日本にいると気候テックについての話がなかなか入ってこないのですが、グローバルでみると、気候テックへの投資は増えているようです。この熱感の違いが、やはりとても大きな機会を見逃しているようにも見え、なんとか日本でも気候テックへの動きを加速したいところです。

米調査会社「Holon IQ」によると、気候テックへの投資は2022年に701億ドル(約9兆8千億円)となり、前年比で89%増えた。今年1年時点で、気候テックで評価額10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」とされるのは米国や中国を中心に世界で83社にのぼるという。

2023/9/4 朝日新聞朝刊

ユニコーンとされる主な気候テック企業には次のような企業があるようです。新聞に掲載された企業名とそれに関する情報を整理して見ました。
・ノースボルト(スウェーデン)
バッテリーセルの生産に必要なエネルギーをスウェーデン北部の地域で発電される風力発電と水力発電からのみ得ることを目指しており、完全なカーボンニュートラルバッテリーの生産に向けて工場の建設を進めている。


・オクトパスエナジー(英国)
再生可能エネルギー100%など顧客毎に最適なメニューを、デジタル技術を用いて安価に提供するという企業で、東京ガスと提携をして日本に進出をしている。

・コモンウェルス・フュージョン・システムズ(米国)
米マサチューセッツ工科大学(MIT)発の核融合ベンチャー。ビル・ゲイツも出資している。

https://alj.com/ja/perspective/the-future-is-fusion/


・クライムワークス(スイス)
大気中の二酸化炭素を直接回収する「Direct Air Capture(DAC)」と呼ばれる技術を採用している。具体的には、扇風機のような装置で空気を吸い込み、フィルターを通して二酸化炭素の粒子を集める。集めた二酸化炭素を100℃まで加熱し、二酸化炭素分子を分離。これを水に溶かし地中に送る。すると周囲の岩石と反応し、およそ2年後には石(炭酸塩鉱物)へと変化する。このプロセスは、自然界で起こる炭素鉱物化という反応を再現しているため安全性も高い。

・スパイバー(日本)
世界初の人工合成による構造タンパク質素材「Brewed Protein™️(ブリュード・プロテイン™️)」の量産化に成功したことで有名な企業。強靱かつ柔軟な「クモの糸」に代表される構造タンパク質素材を現代技術によって人工的に合成・生産し、製品化・量産化をすることを目的に設立した。

3)日本国内の企業には?

あまり普段気づかなかったのですが、同記事によると気候テックの波は日本にも届き始めているようです。その中で触れられている企業名を合わせて、挙げてみます。
・エレファンテック
環境に優しい金属インクジェット印刷による電子回路基板の量産化に人類で初めて成功したスタートアップ。インクジェット印刷の技術を応用して、使用する銅や排出される二酸化炭素を大幅に抑えた電子基板を作る会社で、計約90億円の資金調達にも成功しているようです。

・ゼロボード
企業の排出量を計測し、可視化するクラウドサービスを提供する。クラウドサービス「Zeroboard」は活動量の入力またはデータ連携の設定をするだけで、企業のサプライチェーンGHG排出量の算定・可視化・削減管理ができる。

4)気候テックは広まるのか

このように盛り上がる気候テックですが、記事の最後の方に気になる記述がありました。以下の内容です。

投資家がこうした点にリスクを感じ、投資が続かないおそれもある。気候テックの起業支援に携わる東京大学の馬田隆明さんは「支援が開発などの供給側に偏っている印象がある。需要をどうつくるかも大事だ。」という。

2023/9/4 朝日新聞朝刊

気候変動という言葉、そしてカーボンニュートラルの必要性。それが国民に浸透しているようにはどうしても思えず、また一般の企業でも、また企業に勤務している人にもその必要性がやはり感じられていないのです。
排出量の計測ができるということの前に、やはり国民一人ひとり、地球上の人間一人ひとりがこの気候変動への対応の重要性を知ることが、きっと並行で重要なのではないかと改めて感じました。
その重要性が皆感じ始めれば、ここに紹介した各企業は大きく成長をできるのであろうと感じます。その重要性をどう伝えるか・・・

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