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オッペンハイマー


※ネタバレします。

観てきましたよ、IMAXで。
内容が内容だけに大音響が苦手な方にはお勧めできません。わかってはいても顔が歪む、身が縮む。いま首が痛い。ガチガチに構えていたみたい。
日本人は「原爆が人に使われた場合」をよく知っているから、映画で見せられることなど何億分の一でもない、と
思うことでしょう。それでも十分に
恐ろしい。もし自分がキノコ雲の下にいたら…と思うと絶望しかない。

私たちは広島、長崎の惨状を知っています。けれど実際に原爆を研究し、完成させたオッペンハイマー自身は、人的被害をどこまで想像していたのか。砂漠での実験ではサングラスに日焼け止めクリームの見学者もいるほど無防備です。そして8月6日、広島に原爆が投下されたことをオッペンハイマーはラジオで知るのです。

あくまでもオッペンハイマーの視線でストーリーは進むので日本の惨状はイメージ程度にしかでてきません。これに関しては「ゴジラ−1.0」の山崎貴監督がアンサー映画を作りたい、と語っているので期待していますマジで。

核兵器開発を中心にあらゆる人間関係が蠢いていきます。人種、思想、複雑な恋、研究の中での嫉妬や友情。特に戦後の「赤狩り」「マッカーシズム」
についてはかなり詳しく描かれているので、興味深く感じました。レーガンはこのへんで上手く立ち回ったのかな…などと。

オッペンハイマー自身はまごうことなき天才で、ある時には冷たく、身勝手にも見えますが、無邪気な子供のようでもあります。「オッピー」とか呼ばれて有頂天になったり、意外と浮気してたり。オッペンハイマーという「人」が時代という濁流に呑まれたのか、もしくは彼が創り出したカオスだったのか。3時間が短く感じられるほどテンポ良く、濃い映画でした。


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