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【今日のコラム:芸は身を亡ぼす】

私は幼いころから絵心があった。
子どもの頃の夢は、画家になることか、漫画家、とにかく絵に携わることであった。
そして、私は作品(といってもキン肉マンのキャラクターの絵)をみんなに見てもらい、褒められることに大きな喜びを感じた。
その魂は形を変え、今では音楽で表現し、評価を大事にしている。
 
大学生のころ、あまりにもやることがなかったので、教授全員の(悪意のある)似顔絵を描き、全員全裸で大事なところはモザイクっぽくした絵を作り上げた。
当時からイタズラ好きな私は、学生が閲覧する掲示板のガラスが開いているのに気づき、その絵を掲示板のど真ん中に貼った。週末のことだった。
 
翌週、キャンパスに行くと、何やらにぎやかな雰囲気が漂っていた。
パトカー2台、警察官4、5人が掲示板の前にロープを張り、何かを検収していた。
どうやら私が描いた似顔ひわい絵が、学長の耳に入り、名誉棄損で警察に通報したとのことだった。さすがに私も恐くなり、その場から逃げ去ったが、犯人は事件現場に戻るのと同じで、また掲示板近くにいくと、今度は指紋を採取していた。
 
こりゃやばいな、退学どころか、前科がつくのか?
 
と半ばやけくそになり、居酒屋に飲みに行ったが、結局、犯人(私だが)は特定されず、未解決事件のまま、30年が経過している。時効だ。
 
今日も、私よりひとまわり下の女社長が、ね、似顔絵描いてみて、と突然ふられたので、しぶしぶ描いた(というのは私が描くと、かならず悪意が出る)。特別、お世辞で(誰にお世辞言うのか?)言っているわけでもないが、うちの社長は美人である。私が似顔絵を描く時に一番苦手なパターンだ。悪いところがないので、デフォルメするところがない。よって、真剣に描けば描くほど本領が発揮できず、出来上がった絵は豊川悦司になった。
もちろん、社長はガチ切れし、帰ってしまった、のでこのブログを描いてある。
 
芸は身を助けるというが、身を亡ぼすこともあるのだと悟った梅雨明けの午後である。
 
 

つづく



 


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