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【今日のコラム】 車のナンバーについて

【今日のコラム】

※少し内容が怖いため、閲覧注意

運転中、前の車のナンバーが気になるのは私だけであろうか。

数字4桁がランダムに配列されたナンバー、いわゆる陸運局任せのナンバーは然程気にならないが、明らかに何かを意図した配列のそれについては、その意味を推理してしまう。

よくある例として、自身やその愛する家族の名前、例えば私の名前、ヒロシだったら『164』、ミツコだったら『325』等等、文字っている人も少なくない。

また、自身の生年月日、特に生まれた年を西暦で表現している人は比較的分かり易い。

『1998』ナンバーの可愛らしいミラに乗っている人は、やっぱり「女子大生」だったり、『1985』のハイブリッドカーに乗っている彼は、想像通り、中堅頑張りどころの30代サラリーマンだったりする。

そんなことをぼんやり考えていた時、私の横を猛スピードで『1467』ナンバーの三菱パジェロが通り過ぎて行った。残念ながら顔は確認出来なかったが、乗っている奴は間違いなく室町時代の戦国武士、あるいは落ち武者の亡霊であることは言うまでもない。

その確信を得るため、何度か信号待ちの後方から、そのパジェロの運転者を垣間見ようと試みたが、もちろん証拠を掴めるほどしっかり確認することは出来なかった。

つい先日、その「落ち武者」のことを忘れかけていた時であった。

サイドミラー越しに、追い越し車線から例のパジェロ(彼にとっては馬なのである)が猛スピードで近づいてくるではないか!

慌てて私もそのパジェロ(馬)と同じスピードを保つべく、アクセルをふかした。

馬は想像していたより速く、一瞬で私の車を抜いて行ってしまったのである。

しかし、たしかに確認できた。

乱れた長髪、頭の頂点の禿かた、そしてマスク。(マスクの表面には血のような物が付着していたように見えた)

間違いなく、あの方は戦国武将の、しかもかなり位が上の落ち武者であり、乗っている『1467』ナンバーのパジェロは「応仁の乱」の時に共に戦った馬なのである。

今一つ確固たる確信が持てないのは、パジェロ後方部に貼ってあった「ももいろクローバーZ」のステッカーである。が、それはあまり意味を持たないと捉えている。

家族や取引先などに、この事件について話しているが、誰も信じようとはしないし、優しい目で私を安心させようとする。

あれからパタリと見かけなくなったが、今でも手に取るように、あの武将と馬を思い出すことが出来る。

ここ最近、通勤路にある大型パチンコ店が閉鎖された。時間は確かに流れている。

その跡地は、どうやら駐車場にするため整備されているようだ。

淡い体験に想いを巡らせてながら煙草に火をつけると、私のことを嘲笑うかのように、『2114』ナンバーの軽トラックが通り過ぎていった。

つづく




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