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ふと想い出した本について

およそ4年ぶりに、看護師に戻ろうかと考えてるところで、ふと想い出した本がある。ウィリアム・パトリック「看護師として生きる 自分の選択」(西村書店)

これは、アメリカの看護師たちの個人的なエピソード集。その多様な生い立ちや、看護師として働ける領域の広さには驚かされる。
 旧ソ連からの移民もいれば、元救命士からなったという人もいたり、海軍衛生下士官として戦地で長く働いていた人もいる。

本書の冒頭には、ウォルト・ホイットマンの「包帯を巻くのが私のつとめ」という詩からはじまっていた。
 私は病棟では長く勤まらなかったから、看護師として働くことは自分のつとめではなかったのだろう。それは、病院という治療の場が好きではなかったかもしれないし、医師を頂点にした序列の世界を気に食わない、と思っていたかもしれない。
 しかし、その後介護を続けてきて、それが自分のつとめだと感じてきた。看護師とか介護士という特定の職種ではなくて、広く“ケア職”として働くことは自分の天職なのかもしれない。

そういえば、ヨーロッパの国には看護師と介護士の職業上の区別がない国があるらしい。たとえば、オランダでは、看護師の中にランクがあって、いちばん上は専門看護師から、下は介護補助者まで、分かれていると聞いたことがある。
 同じケア職として、あえて看護と介護を分ける必要を感じない。日本もそうなればいいと思うけど、お役所的な都合があるらしい。たとえば、看護師は厚労省医政局の管轄である、一方介護士は、厚労省老健局の管轄になるらしい。
 このように、ケアの本質とはまったく違うところで、たんにお役所的な都合から看護と介護が分断されている現状が、事実としてある。