介護職として、働く職場をどう選べばいいのか?

ちまたには、介護を必要とする家族に向けて、施設選びの参考になるような記事をよく見かける。
 それでは、介護の現場に身を置くものとして、どうやって施設を選ぶのがいいのか、正直難しいものがある。実際のところ、働いてみないとわからない点では、ほとんどギャンブルと変わらない。

だから、多くの介護職があえて常勤を選ばずに派遣で働く、というのもわからないではないと思っている。派遣なら、かりに「ハズレを引いた」としても、契約期間を更新しないで辞めればいいだけだから、ずっと気楽に働けるのはたしかだ。

介護施設を評価する着眼点として、少なくとも以下の4つのポイントがあるように思える。  
 ①給与・待遇面 ②施設・設備と立地条件 ③ICT・テクノロジーの活用 ④人間関係と働きやすさ。
 ①については、言うまでもないでしょう。近年、介護職の処遇改善が行われてきたとはいえ、他職種・他業界と比較して給与は安いといわれている。とくに今のような物価高、エネルギー高の時代に、介護職が自立して働けるためには重要な点でしょう。
 ②については、たとえば防災の点から、避難経路は確保されているか、消火器やAEDは設置されてるかとか。あるいは、立地面から津波や水害リスクの高い場所に建設されている介護施設も多いときく。これもまた大きなポイントでしょう。
 ③人手が足りないのなら、情報技術を活用して効率化を図ることはいっそう重要である。また、国の方針として近年、ビッグデータを活用しての科学的介護というのがいわれている。
 ④これは、介護職の離職率をもっとも左右する大きな要素といわれており、これも外せない重要なポイントでしょう。
 また、職員の心理的安全性が保たれていること、現場の不満を自由に表出できるような組織風土であることなども重要でしょう。

私が常勤で働くとして、こだわりたいと思うポイントは他にもある。それはたとえば、公共的な施設かどうか、公益性が高いかどうか。特養や老健や介護医療院は、有料老人ホームにくらべて公共的だと思っている。
 派遣で有料老人ホームで働いてきたが、施設の装飾には凝ってるし、金時計や金のブレスレットをしている入居者もいた。どこか金持ち向け、というイメージがやはり有料にはある。私はむしろ「貧しくても平等にケアを提供されるべき」と思っているので、どこか違和感を持っていた。

 老健は治療の場ではないものの、雰囲気は病院の病棟、という感じがする。一時的にリハビリのために滞在するもので、終の住処にはなりえない。  
 介護医療院は、以前は療養型病院とよばれていたものだろう。以前に認知症疾患治療センターの病院で看護師をしていたこともあったが、身体合併症をもっている方も多く、状態は不安定でちょっと大変、という感じはあった。

 やはり選ぶなら、特養だろうか。以前に常勤の介護職としてユニット型で働いていたこともあるが、人手が不足すると途端にガタガタになる、というのがユニット型にはとくに顕著だと感じていた。早番がいないから、夜勤者が早番の代わりまでやらなければならないとか、そんな話はザラであった。
 また、ユニット型は“家庭的な雰囲気”を売りにしているが、見方を変えれば、自分と合わない相手だと途端に気まずくなり、居心地が悪くなりやすい、ということでもある。
 また、特養を運営している社会福祉法人は、その多くが“親族経営”であるといわれる。この21世紀の時代に、施設の幹部や要職を身内だけで固めてる、ということ自体が驚きなのだが、そうした古い体質を引きずっている面があるように思える。

結局、どこの施設を選ぶかは、個人の好みしだい、運しだいということだろうか。
 

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