職場で一緒に働きにくい相手について

どうがんばっても、どう見ても一緒にいたくない職員というのがいる。そういう職員と一緒に組まされるのが嫌だと思う。
 まだ若そうな女なのに、態度がふてぶてしいというか、常に全身からイライラしてる雰囲気を発散させている。一緒にいて不快なだけでなく、必要な会話もほとんどしない。たまに口に出せば、その言葉もいちいち嫌味ったらしく聞こえてうっとうしいのだ。

派遣先の療養型病院では、週に一回入浴日があるのだが、その問題の職員とは誘導につくことになった。名簿の順に部屋をまわり、ベッドから患者を抱きかかえてストレッチャーに乗せ、着替えの準備とかをする役回りである。
 当たり前のはなしだが、患者を持ち上げたり、スライディングボードを使って移乗を行うにせよ、チームワークが必要になる。なぜか不思議なことに、タイミングを合わせて声かけをしたりすることはほとんど行わないらしかった。
 ストレッチャーをベッドまで近づけて置くと、その職員は「ここでいんですか?」と口にした。おれは、(この位置で問題があるなら、日勤リーダーのあんたがちゃんと指示を出せよ? バカじゃないのか)とそう思った。もちろん、そうした不満を口には出さないでいたが、一緒に仕事をしていて内心かなりの不満を募らせていった。
 こんなやつと今後、遅番業務なども一緒に組まされるのだろうか? その日の勤務者にそいつがいるかどうか、無意識に確認するようになってしまった。
 
おれの方も、気質的にHSPなところがあって神経質なので、そういった人間関係の機微みたいなものを敏感に察知して、気に病む傾向があるのかもしれない。
 その職員の態度や言葉はとりわけ問題だと感じでストレスに感じていたが、そこの病棟の介護職たちは全体として「サバサバしていて、ピリピリしており、淡白な感じがする」傾向が強いと感じられた。似たような傾向は、以前老健で働いたときも感じたのを憶えている。
 このように嫌な人間もいる一方、いい人もいるのに、長く働いていると似たようなオーラを身にまとっていくのが不思議なものである。この傾向に染まらない人間はどんどん辞めていくのかもしれない。
 介護職のやることには施設によって大きな違いはないし、“オムツ交換マシーン”かと思うこともしばしばだ。しかし、介護現場の雰囲気は職場によって大きく違う。この点はほんとうにそう言えるので、びっくりするほどだ。

気が合わない相手と距離をちぢめるには、飲み会などをやると役に立つ場合がある。このことはむかし自衛隊にいたときに感じた。しかし、コロナ禍のなかで飲み会なんて行うムードではないし、派遣職員のおれにとって職場に「深入りををしたくない」という思いがある。
 合わない相手とは合わないままでいい、できるだけ距離をおきたい。そうなると、チームワークを十分に発揮できないし、事故が起きる危険も増すだろう。ほんとうなら、人間関係の問題は個人ではなく組織全体で考えるべきことでしょ。
 派遣で働くおれにとっては、無事に大きな問題もなく、契約期間まできちんと勤め上げること、ただそれだけである。


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