アトピー患者として、つらい冬をどう乗り越えるか。
アトピーときいて一般の人は、身体中にできものができていて、しょっちゅう掻きむしっている…そんなイメージがあるだろうか。
たしかにそういう重度の患者もいて、ほんとうに気の毒だと思うが、大半のアトピー患者はもっと軽症だと思う。
しかし、時期によったり、ストレスがかかったりするなどして、皮膚の状態が悪化して湿疹があちこちにできたり、痒みが強くなったりする。とくに冬の時期に、衣服が擦れたり圧迫されやすい部分がとくに悪化しやすい。
対策の基本は、とにかく保湿すること。皮膚のバリア機能を高める。私の場合、朝と夕にヘパリン類似物質を塗布する。外出中もワセリンを持っていき、休憩時間にかゆい部分に塗ったりしている。
それでもかゆみが強い箇所や、発赤・湿疹がひどい箇所には、ステロイドをごく少量使用する。それもただ塗るだけだと、無意識に触ってしまうため、かならずガーゼを上から当てて保護する。ガーゼをテープで固定すると、今度はテープが当たっていた部分が痒くなったり新たに湿疹ができてしまうから、皮膚が本当に過敏なのである。
また、衣服の素材にも注意する必要がある。とくに冬の時期に、下着に何を着るかはきわめて重要だ。できるだけ綿100%のものか、それに近い素材のものを選ぶようにする。
ポリエステルやナイロンなど化学繊維は、下着には極力避けるようにしている。化学繊維は明らかに、アトピーを悪化させるからである。
塗り薬や衣服の選択のほかに、なにかアプローチはないのか?
以前なら、飲み薬として抗ヒスタミン薬のレスタミンを飲むことがあった。私はこれを人には勧めない。単なるかゆみ止め以上に、強い向精神作用があることが問題である。
たとえば、レスタミンを飲んだ後には強い眠気を生じる。私は不眠症に悩まされてきたが、たぶんこの薬が一因になっていると思う。副作用に強い眠気があるくらいなら、その反動として強い不眠症状が出ることも考えられる。
ほかに、食材の面からアトピーやアレルギーに効果的な食べ物はないのか?
ちょっと調べてみると、レンコンがいいという記事を見かける。アレルギー症状を緩和する効果があるのだという。だから私も、レンコンを意識して摂るようになったが、正直効果は実感していない。
アトピーというのは、いってみれば“もぐらたたき”と一緒である。ある箇所が良くなれば、今度は別の箇所がかゆくなったり、発赤ができる。そこが改善すれば、また別のところが悪化する。これを、冬のシーズン中の間はとくに、ずっと繰り返すことになる。そして、気候がよくなれば、だんだん皮膚やかゆみも良くなっていく。
肝心なのは、ぜんぶを一度に叩こうとしないことだろうか。ある程度、かゆみを自制できる範囲に留めることができたら、それで良しとしています。