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悪い期待を持つことも必要

今日のおすすめの一冊は、内藤誼人氏の『おもしろいほどやる気になる本』(明日香出版社)です。その中から「フェイシャル・フィードバック効果」という題でブログを書きました。

本書の中に「悪い期待を持つのも、決して悪くない」という興味深い一文がありました。

心理学の本を読むと、よく「ポジティブ思考が大切」などと書かれていますが、別にポジティブ思考なんて、できなくても大丈夫ですよ。悲観的なこと、否定的なことばかり考えてしまう人だって、それはそれでメリットがないわけではありませんから、そんなに気にしなくてもいいのです。
たとえば、将来に対して悪期待を持つことは、悪いことなのでしょうか。いえいえ、そうではありません。悪い期待が頭の中に思い浮かぶと、私たちはその期待を頭の中で何度もリハーサルし、ネガティブな出来事に適応しようとするのですよ。つまりは、ネガティブなことに対する耐性がつくのです。
むしろ、ポジティブなことしか考えていない人は、いきなり厳しい現実を突きつけられると、「こんなはずじゃないのに…」と現実を直視できずに、受け止められなかったりします。アメリカでは、離婚率が非常に高く、結婚した2組の夫婦のうち、1組は離婚してしまいます。なぜ、そんなに簡単に離婚してしまうのでしょうか。
アリゾナ大学のクリス・セグリンによると、その理由は、結婚に対してあまりに理想化した幻想を持っているからだそうです。たいていの人は、テレビや映画の影響なのでしょうか、結婚することには、いいことしかないと思い込んでいます。ところが、現実には、イヤなこともたくさんあるわけで、そういう現実に直面したとき、「こんなはずじゃなかった…」と感じてすぐに離婚してしまうのだそうです。
かつての日本では、たとえば嫁に行く娘に対して、親は、「ものすごく大変だぞ」という覚悟をさせました。姑にいじめられてイヤな思いをいっぱいするのだろうな、と女性も覚悟してから結婚しました。ですからわりと我慢できたのです。頭の中でさんざんリハーサルすることで、厳しい現実への耐性がついたのでしょう。
その点、近頃の日本はアメリカと同じようになってきて、結婚に対して甘い期待ばかりを抱く人が増えました。ですから、結婚に耐えきれずに離婚する人が着実に増えてきています。甘い期待を持つより、むしろ悪い期待を持ちましょう。私は、大学4年生には、「社会に出ると、イヤな思いをたくさんするぞ」とさんざん脅しています。そういう悪い期待を持たせておいたほうが、実際に社会に出たときに耐えられるだろと思うからです。親心ですね(笑)。
会社というところは、素晴らしいところだ。面白い仕事をやらせてくれて、たくさんのお金と有給をくれるものだ、などと思っていたら、せっかく入社してもすぐに辞めてしまうでしょう。そうならないように、悪い期待を持っていたほうがいいのです。仕事をするときにもそうで、悪い期待を持っていたほうが、現実に悪い結果になったときに、そんなに傷つかずにすみます。「もうなんにもやる気が起きなくなっちゃった」と心が腐ることもありません。
悪い結果も、頭の中で何度もリハーサルしておきましょう。リハーサルしておけばしておくほど、現実に悪いことが起きても、けっこう軽く受け止めることができますから。

一般的に、昔の男性が、結婚する時のプロポーズは「私と一緒に苦労してもらえるか?」が多かったと言います。つまり、結婚したら、二人で苦労して生活を築き上げるということです。しかし、昨今の男性のプロポーズの言葉は「君を今よりもっと幸せにするから」と言うのが多いといいます。

ほとんどのカップルは、結婚する時が一番幸せな時なのではないでしょうか。つまり、結婚式がピークのときです(笑)。だから、花嫁は、「もっと幸せにしてくれる」という過剰な期待で一杯です。でも、年月が経るごとにそれは嘘だとわかります(笑)。これ、現実ですから仕方ないですよね。

結婚に限らず、未来に対して過剰な期待を持つと、多くの人は現実とのギャップに愕然とします。そんなに世の中はうまくはいかないですものね。だから、すべてにわたって、「期待値を上げ過ぎないこと」はとても大事なことだと思うのです。何事も、淡々と、です。「悪くなってもよし、良くなればなおよし」という考え方です。

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