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コンフォートゾーンから抜け出す

今日のおすすめの一冊は、出口治明氏の『カベを壊す思考法』(扶桑社新書368)です。その中から「リーダーの三つの条件」という題でブログを書きました。

本書の中に「コンフォートゾーン」の話がありました。

《一つのところでじっとしているほど危険な生き方はない》ホームグラウンドとアウェーとでは、どちらがよりたくさんのインプットが得られるかといったら、それは間違いなく後者です。温かくて居心地のいいコンフォートゾーン(ホーム)に安住するのはラクですが、そうした環境では脳は刺激を受けず、新しい情報も入ってこなくなります。
本でも人でも旅でも安住する場所を一度は捨て、新しいものに飛び込んでいくことが、深く多様なインプットを得るためのコツだと思っています。毎日違う道を通り、違う店でランチを食べ、違う本を読んで、違う人と酒を飲む、いってしまえばたったそれだけのことですが。
仕事でも、それまで自分とは関係がないと思っていたテーマのセミナーに参加してみたり、他部署と合同のプロジェクト・メンバーに手を挙げたりするなどの方法で自分をいつもと違った場所に追い込むことも必要でしょう。通常の価値観から大きく離れたところを自分とつながる世界として捉え直す、いわば自分のなかに「辺境」をつくる、という感覚です。
たとえば、企業の合併・買収(M&A)も、大きな「辺境」ができる貴重な機会でしょう。遠くからやってくるのは自分たちとはまったく別のカルチャーをもった、いわば異民族です。当然、仕事の仕方も価値観も異なります。そういう人たちと融合して新たな組織をつくるには相当な覚悟と強いリーダーシップ、そして効果的なしくみが必要です。
時間がかかり苦痛もともなう作業ですが、それ以上に貴重なインプットが手に入るはずです。そして、融合が成功すれば組織の緊張感は高まり、それはとりもなおさず生産性の向上に結びつきます。
人から何かの相談事をされたとき、僕のアドバイスはいつも同じです。「変化の激しい今の時代、一つのところでじっとしているくらい危険な生き方はない。その場所のルールにしたがっていれば安心と安全が未来永劫保証されるというのは幻想に過ぎない。常に広い世界に出て変化にチャレンジし続けなくてはならない」
僕がこう述べると、「でも、ここを出たら何が起こるかわからないですよ」と反論する人もいます。それはそのとおりです。踏み出した先は、きれいに舗装された街並みからは遠くへ離れた辺境の地です。そこには標識もなく足元は石ころだらけ。迷ったり転んだりして怪我をすることもあれば、はじめて会う人たちと言葉が通じず孤独にさいなまれることもあるでしょう。
でも、だからこそ、一刻も早く、そこに足を踏み出すべきだと思うのです。辺境での対処の仕方は、辺境に身を置き、そこで失敗を繰り返すことからしか学べません。そして、そうやっていったん知識やスキルを獲得してしまえば、もはや辺境は恐るべき未知のフィールドから、勝手知ったる自分のホームグラウンドになってしまうのです。
壁が壊れ、外部から侵入者がやってきたとき、そこにいる人たちに対して的確な指示を出せる「異質の辺境の民」というのは、どの共同体にとってもなくてはならない存在なのです。

コンフォートゾーンにいる人は、往々にして外で戦っている人にたいして、平気で批判したり、文句を言ったり、評論家気取りで解説したりします。自分では傷つかないところにいる人ほど、無責任な発言をしがちです。匿名で投稿されるSNSがいい例です。

そして、コンフォートゾーンにいる人たちは、その場にぬくぬくしている限り、魂の成長も人格の成長もありません。なぜなら、磨き砂で磨かれていないからです。人が成長するためには、磨き砂や、砥石が必要です。そこで磨かれない限り、決して一皮むけ、一段成長することはありません。

常に新しいことにチャレンジし、異なった場所に行き、新たな人と出会い、わくわくドキドキすること。そして、異質なことを楽しめる人になること。コンフォートゾーンを抜け出し、いつもチャレンジしている人でありたいです。

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