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心のときめきは免疫力を高める

今日のおすすめの一冊は、帯津良一氏の『不養生訓』(山と渓谷社)です。その中から『「いき」に生きる』という題でブログを書きました。

本書の中に「心のときめきは免疫力を高める」という興味深い文章がありました。

半世紀を超えるがん治療の現場での経験のなかで、わかってきたことがいくつかある。なかでも最も確信をもって言えることは、心のときめきほど免疫力や自然治癒力を高めるものはないということである。 

なぜ、心のときめきがそのような効果をもたらすのか。これに解答を与えてくれたのが、フランスの哲学者、H・ベルクソン(1859~1941) である。すなわち生命の躍動、によって生命があふれ出ると私たちは歓喜に包まれる。

しかもその歓喜はただの快楽ではなく、かならず創造を伴っている。何を創造するのか、自己の力をもって自己を創造するのだという。自己を創造するとは換言すれば“自己実現”ではないか。

ときめきのなかに自己実現が含まれているとすると、それは免疫力も自然治癒力も高まるだろう。すっと腑に落ちるというものである。 患者さんに、ときめきのチャンスは誰にでも平等に訪れるのだから、これをしっかりつかんでほしいと言うと、「先生はどういうときにときめきますか?」と逆襲を受 けることがある。

だから、この問いに真摯に答えるために、私のなかの引き出しには、 ときめきの材料がいろいろ納まっている。 たとえば、最後の晩餐、原稿の締切、朝の太極拳、女性と語らいながら酌み交わす酒などである。

作家でもないのに、原稿の依頼は後を絶たない。ありがたいことである。書き初めはどちらかというといささか憂鬱だ。ところが折返し地点を過ぎる頃になると、原稿用紙に向かうのが嬉しくなってくるのだ。

さらに締切が近づいてくると 尚更である。『癌とたわむれて』の著者A・ブロイヤードが全身骨転移の前立腺がんを 宣言されたとき、心のときめきを覚えたという。なぜか? 我が人生にも締切が設け られたという。どうやら締切のときめきというのは、東西共通のようだ。

そしてまた、 その後に続く文章がいいのだ。「わたしが感じたのは、ある日、なにかがわたしの緩慢な日常生活を中断するのだという明確な自覚だった。陳腐に聞こえるかもしれないが、 わたしは、初めて自分が永遠を持っていないことを認識したのだ。時間はもはや無害退屈なものではなくなった。なにものも もはや、さり気ないものではなくなった」と。

自分がどんなときに「ときめく」のは、知っておいた方がいい。「ときめく」というと、愛とか恋と思ってしまうが、それだけではない。たとえば、子どもの頃、遠足に行く前の日など、ドキドキワクワクして眠れなかった、ということは誰でもあるはずだ。

「海外や国内の旅行に行くとき」「高級なホテルに泊まる日」「ワクワクしながら好きな本を読むとき」「今まで会いたかった人に会える日」…。

これは、立命館アジア太平洋大学の出口治明氏のいう「旅、人、本」が人生を豊かにするということと同じだ。逆にいうなら「ときめく」ために必要なのが「旅、人、本」ということになる。

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