さんかく図書館
今日のおすすめの一冊は、リチャード・カールソン氏の『読むだけで運がよくなる77の方法』(三笠書房)です。その中から「人と争わず、あっさり逃げる」という題でブログを書きました。
本書の中に「“目に見えない”報酬の受け取り方」という素敵な文章がありました。
私のところにカウンセリングに来た女性が、「誰も自分を理解してくれない。聖書に書かれている通り、私はいつも自分がしてもらいたいと思うことを、誠意を持って人にしてあげてきました。でも、人はその通りにしてくれません」
私は答えた「あなたは既に報酬をもらっています。人に親切にすること自体が報いなのです…」彼女は大きな誤解をしていた。人に親切にすれば、まるで「契約」のように、その見返りが来るものだと思っていたのだ。
彼女は自分の誤りに気がついた。親切、忍耐、理解、寛容…何でもいいが、人に何かよいことをしてあげるとき、そのことができること自体が大きな報酬である。何か別の見返りを期待するのは間違っている。誰かに「いいこと」をすればするほど、ツキは引き寄せられる。だから、すでに目に見えない報酬を受け取っているのだ。心も清々しい気分でいっぱいになっていると思う。
彼女と同じような間違いを、私たちもついうっかりしてしまう。何かをしてあげて、ありがとうもいわない人がいると、気分を害する。人間関係をギブ&テイクで考えるのは間違っていない。でも理想のギブ&テイクは、両方がギブ&ギブを実践することで、結果的にギブ&テイクに見えるときだ。
運が悪い人ほど、相手にこれだけの恩恵を与えれば、これだけの見返りがあるだろうと、初めから計算をしてしまう。
「みんなの図書館さんかく」というのが、我が隣町にできるというので、先日、概要をしらべてみました。3つのポイントがあるということです。①開館中は無料で自由に本が借りられる(まあ、これはどこでも普通) ②春夏秋冬4クオーターで連続講座をしている(これはちょっとありそうで無い感じ) ③仲間が見つかったり、チャレンジの場所として活用できる(ええ!?図書館で仲間が見つかるって、不思議だ…)
そして、(隠れた?)大きな特徴は、供給される本は「持ち込み」ということ。オーナー制度というのがあり、約60センチ×30センチの広さの棚を毎月お金を出して借ります。そして、そこに本を棚の広さの分だけ置けます(もちろん自分の本ですよ)。そして、オーナーの特典としては、お店番をする権利、なんかあるそうです。
「ええ!?お金出して、本を出して、しかもお店番??これっていったいどういうこと?」従来の商売の考え方がまるっきりひっくり返ってしまいます。それなのに、先行して設置されている静岡県焼津市の「みんなの図書館さんかく」では40数個の棚が全部埋まっているそうです。
とっさに頭に浮かんだ言葉は「盗人に追い銭」(笑)。まあ、言葉はメチャクチャ悪いですが、感覚としてはそんな感じです。我々ビジネスの世界に生きている者たちは、すぐに「キャッシュポイントは?」とか「マネタイズはどうすの?」と考えてしまいます。つまり、何かをしたときにそれに対する正当な対価があるのか、ということですね。
しかし、この「さんかく図書館」は理解の範囲を超えています(笑)。でも、これはもしかしたら、ドMな変態的な変わり者や、ヘンテコリンな価値観を持ったユニークなオーナーやお客を集める磁石のようなものなのではないか、その受け皿になるプラットフォームになるのかもしれない、と、ふと思いました。今は、ネット上での「サロン的な場」が全盛の感があります。そのサロンに参加すれば、ユニークになれるかも、他にはない独創的な知見が得らえるかも、と参加します。
しかし、ある面でいうと、サロンに参加した時点で、しかも、そのサロンが大きければ大きいほど、それはコモディティ化します。他にはない独創的な知見などと言われるものが、一挙に広がるわけで(もしそのような独創的なものがあるとして)、それが一般化しちゃうんですね。
そう考えてくると、日本全体を対象にしたサロンは、日本全体を対象にしたがゆえに、あっというまに希少性は薄れますが、反対に地方の都市にできたリアルな交流の場やサロン(プラットフォーム)は、地方なるがゆえに、その希少性は保たれる可能性があります。つまり、コモディティの反対の「差別化」だったり「ブランディング」です。
この「さんかく図書館」、まさに、「ギブ&ギブ」のクラスター(コロナじゃありませんよ)です。昨今、資本主義制度の終焉が近づいている、と言われたりしています。もしかしたら、こんなところからちょっとずつ変わっていくのかな、と考えたりする今日この頃です。
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