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プランド・ハプンスタンス・セオリー

今日のおすすめの一冊は、井上大輔氏の『マーケターのように生きろ』(東洋経済新報社)です。その中から「マーケターのように生きろ」という題でブログを書きました。

本書の中に「計画された偶然(プランド・ハプンスタンス・セオリー)」のことが書いてあったのシェアします。

「計画された偶然」とは、「プランド・ハプンスタンス・セオリー」のことです。スタンフォード大学の心理学者、ジョン・D・クランボルツ教授により提唱された考え方で、成功者のキャリアは偶然の積み重ねで形成されていると主張するものです。
この理論は、「キャリアを計画する」という考え方は非現実的であるとし、実際にほとんどの「キャリアプラン」は実現しないこと、個人のキャリアの8割は偶然の出来事で決まること、その偶然に全力で対処する経験の積み重ねでよりよいキャリアが形成されることを明らかにしています。
クランボルツ教授自身が高名な学者であり成功者だと言えますが、そのキャリアはまさに「計画された偶然」理論どおりのものでした。教授が心理学を専攻に選んだのは、たまたまテニスのコーチが心理学を教えていたからでした。そもそもテニスを始めたのは、自転車に乗って知らない道を走っていたら子どもがテニスをしているのを見かけ、楽しそうだったからだそうです。
当然のことながら教授は、「自転車に乗って知らない道を走ることで、将来高名な心理学者になる」というキャリアプランを立てていたわけではありません。私も、この考え方を支持しています。私の周りにはビジネスで成功し、富や名を成した人が何人かいますが、全員が口を揃えて「自分はラッキーだった」と言います。
いいタイミングでいい出会いやチャンスに恵まれ、何も考えずただそれらに食らいついていたらここにたどりついた、と。まさに偶然の積み重ねというわけです。しかし、その人たちは、本当に「ただラッキーだった」わけではありません。そこには、「単なる偶然」を「キャリアアップの機会」に変える、何らかの意識的な働きかけがあったはずなのです。
では、その「意識的な働きかけ」とは何なのでしょうか。たとえば転職の誘いを受ける、異動の打診をされる、興味のあるプロジェクトのメンバーが公募されている…これらはたしかに「偶然」ですが、それに応じるか否かは自分の意思で選択できます。このように、自分にどんなカードが配られるかはたしかに偶然ですが、その中から1枚を選択するのはあくまで自分の意思です。そして働いている人は、毎日何かしらカードの選択を行っていると言っても過言ではありません。
「偶然」を「キャリアアップの機会」に変えるには、そうしたカードの選択を一貫性を持って行うことが重要です。そして、その一貫性の拠りどころを、これまでの工程で策定した「誰に」「どう貢献するか」に求めるのが、「マーケターのように」自分自身の価値を作り出すということなのです。
どちらのカードを選択すれば、自分が果たすべき貢献が大きくなるのか。どちらのカードを選択することが、果たすべき貢献につながる経験を導いてくれるのか。そう問い続けることは、いつでも正解を保証してくれるわけではありませんが、カードの選択にたしかな一貫性をもたらしてくれます。

「好ましい偶然を引き寄せる」ことは、セレンディピティとも似ています。セレンディピティとは、ふとした偶然からヒラメキを得て、そこから思わぬ幸運をつかみとる能力のことです。好ましい偶然ができるだけたくさん起こるようにするためには、「素直であること」「子どものような好奇心があること」「思い込みやこだわりを捨てること」「明るく、楽観的であること」「いつも笑いがあること」「行動的であること」「感謝の気持ちで生きること」等々です。

人生は計画通りには進まないし、ほとんどが偶然から生まれるというのが、「プランド・ハップンスタンス理論」。日々、好ましい偶然を引き寄せる努力を重ねたいものです。

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